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5つ星のうち 5.0
親の目線、子供の目線、先生の目線、どこから読んでも素晴らしい。, 2012/11/2
前作「だいじょうぶ3組」もとても素晴らしい物語で心が洗われるようだった。
今作はそれに勝るとも劣らずの仕上がりになっている。
物語は子供たちが6年生になった所から始まり、卒業で幕を閉じる。
大人にとってはあっという間の1年間だけど、6年生の彼らの1年間は
本当に沢山の出来事や学びが凝縮されていて、それは濃密である。
前作でも感じた事だけど、手足がない赤尾先生との日々の生活を通して
「『普通』でない人もみんな違ってみんな良い」と子供たちが
体感していくのは本当に掛けがえのない良い経験だと思う。
移動教室でクラスの男の子たちは赤尾先生の介助をするのだけど
それは実話だとTVで乙武さんが仰っていた。
大人でも結構大変な入浴やトイレの介助を子供たちが一生懸命練習してまで
こなす姿は、彼らがどれだけ先生を慕っているのかがとてもよく伝わってきた。
また、彼らがそれをとても愉しそうに嬉しそうに行っているのが良かった。
教師という職業は大変な苦労も沢山あると思うけれど、ここまで子供たちに
慕われ、また彼らに多くの「気付き」「学び」を与えられるなんて
やはり素晴らしいお仕事だと感じた。
今作では、発達障害が全編を通しての大きな一つのテーマになっている。
言葉や簡単な知識はあっても実際に発達障害の児童が小学校生活において
どんな事に困り悩んでいるのか、親御さんのお気持ちはどんな風なのか
物語を通じて詳しく知る事が出来てとても勉強になった。
赤尾先生が3組に行った「最後の授業」(最終章のタイトルでもある)は
涙がこみ上げてきた。どんな授業かは明かさないけれど、子供たちに
「自分はどれだけ愛されているのか」を実感させてあげる物である。
誰かに愛されている、大切に想われているという事は人間が生きる上で
大きな核となるものだと思う。それが子供なら尚更である。
それをちゃんと実感出来た彼らはきっと大抵の事は乗り越えていけるのではないだろうか。
終盤で彼らが「赤尾先生が自分にしてくれた事」を言葉にする場面では
彼らと先生の絆がひしひし感じられて胸が熱くなった。
乙武先生も、彼に教わった生徒たちも本当に幸せ者だと思う。
良い先生との出会いは人生の宝物だと、身をもって思う。
最後に掲載されている乙武さんと子供たちの写真がとても好きだ。
みんな本当に良い笑顔で笑っていて可愛い。