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「動物とのふれあい」
人は癒されても、動物にはストレスに

ALIVE海外ニュース 2002.9-10 翻訳:宮路

■米連邦政府の見解:スイムウィズドルフィン(イルカと泳ぐ)はイルカへのハラスメント

 多くの人にとって、イルカと泳ぐのは古代からの力強いエネルギーとの触れ合いであり、自然と一体になるという純粋な恍惚感を味わうことができる体験だ。また、他の人にとっては貴重な教育的体験である。

 しかし、米国海洋漁業局(National Marine Fisheries Service:NMFS)は、イルカの背につかまって泳ぐのは゛ハラスメント"であるという見解を示し、イルカと泳ぐためにフロリダやハワイに毎年訪れる何千もの観光客に自粛を要望している。

 「イルカは水中で遊ぶおもちゃでもペットでもない。陸上の野生生物と同じように敬意を払わなければならない」とNMFSの海洋哺乳類学者スプラドリン博士はいう。NMFSは野生のイルカだけでなく、クジラ、アシカ、アザラシなどと泳ぐ行為をハラスメントとする新しい規定案を提出している。

 「これらの野生海洋動物は休息したり、捕食動物を避けたり、食物を消化しようとしているときに、そばにいって触りたいという人間に邪魔をされているのだ」とスプラドリン博士はいう。

 この件に関して、商務省の一機関である NMFSは思いもよらなかった味方を得た。アメリカの水族館シーワールドが、NMFSが提出した規定案を支持すると発表したのだ。この規定案が成立すれば、海洋哺乳類保護法 (MMPA)により海洋哺乳類に接触することは違法となり、最高2万ドル(約240万円)の罰金と1年の禁固刑が課せられる。

 「うちの施設を訪れた人は、イルカであろうとクジラであろうと、野生動物に接触することは控えるべきだということを理解するはずだ」とシーワールドのスポークスマンはいう。

●娯楽施設とマスコミの誤った宣伝

 しかし、動物保護活動家の間にはシーワールドのような娯楽施設やスイムウィズドルフィンをサポートしているいくつもの団体がこの問題を悪化させているという意見もある。米国人道協会(HSUS) の海洋哺乳類学者ローズ博士は「責任はマスコミとシーワールドにある」という。

 ローズ博士はテレビドラマ「わんぱくフリッパー」のイメージやテーマパークなどで動物が強いられている観客を驚かせるような芸、そしてイルカとの触れ合いを「執拗に」行う「癒し系」その他の企業家達が、実のところ海洋動物にとって非常にダメージの大きい人との接触を無害であると思わせてしまったのだという。

 「大勢の人々について私が案じているのは、゛ハラスメント"を自分の都合の良いように解釈することです。自分達がどうしてもイルカといっしょに泳ぎたいから、イルカも自分達と泳ぎたいだろうと思いこんでしまう。これは間違いです」

 イルカの背につかまって泳ぐ人はイルカにけがをさせたり嫌な思いをさせないよう細心の注意を払っているといい、連邦政府が今回の規定案を成立させても、イルカが人間といっしょに泳ぎたがるのを止めさせるのはむずかしいだろうという。

 「誰がイルカに向かって、人間と泳いではいけないと命令するのですか」イルカのコミュニケーションに関する本を書き、イルカのテレパシー・コミュニケーションや人との触れ合いについてのセミナーを開催してきたジョーン・オーシャンはいう。

 オーシャンもイルカの群れを追いまわし乱暴なことをする人間がいることは認めているが、そのような行為は教育によって止めさせることができるという。

 「我々の使命は人々、特に観光客に野生のイルカとの自然で充実した触れ合いを学んでもらうことだ」とフロリダにある人間イルカ研究所の設立者アトラスはいう。

 アトラスは、自分の研究所は毎年5ヶ月間のスイムウィズドルフィンの期間におよそ千人の観光客にサービスを提供しており、連邦政府の今回の見解には完全に同意するものの、自分の施設で行っている活動はこの範疇に含まれるべきではないと主張する。

 「エサをやるやらないに関わらず、イルカのほうから人にあいさつしに来る。イルカは人に寄って来るんだ。イルカがこちらへ来たら、参加者を海に入れる」

 この規定案に関するパブリック・コメント提出は4月1日に終わったが、500以上の意見が寄せられたという。

Fox News Network


動物介在療法(Animal Assisted Therapy)は、
動物にとっていいものなのか

 治療の一環として動物を使用するペット療法は最近では動物介在活動(AAA)、あるいは動物介在療法(AAT)と呼ばれている。AAAは主に犬や猫といった動物が、動物との触れ合いを必要とする人を訪れるというものだ。AATは人間と動物との絆に関する研究や討論などによってできたものであり、医師やソーシャルワーカーなどの専門家が患者やクライアントを治療する過程で取り入れる一連の動物関連活動と定義することができる。

 ある専門家は、人によって治療に適する犬のタイプが異なるという。人懐っこい犬は精神分裂症の患者や犯罪者のAATに向いているし、非常に屈強なタイプの男性に小さなウサギがぴったりの場合もあるので、組み合わせが大切だ。

 多くの人が人間の心身や気分に動物がどれほど役に立つかすでに知っている。人を開放的に、コンパニオンとして愛情を与えてくれる。年配者には安心感を与え、子供には責任を取ることを教え、痛みや苦しみ、落ち込みを軽減してくれる。また、血圧を下げ、ストレスを緩和し、身体的により健康的な環境を作ってくれる。見た目にもかわいらしく、感触も心地良い。気分を軽快にしてくれ、遊びにも引き込んでくれる。世話をする動物のいる人はより長生きすることが多い。

●動物が受けるストレス

 しかし、AATは動物にとっては何の役に立つのか、あるいは動物にどのような影響を与えるのか。コンパニオン・アニマルは私たちの気分やストレスを感じ取り、それが心理的、身体的に彼らに影響を与える。

 著者が癌と動物についての本を書いた際に情報を提供してくれた獣医師は、「人間のコンパニオンとして暮らす動物は人の悲しみや怒り、未解決の問題を自分達のものとして抱え込んでしまいます。つまり、動物と暮らす人は幸せでなければならないのです。私達が幸福になれば、動物は健康でいられます」という。また、別の獣医師は「ペットの病気は、遺伝子や細菌、免疫系の問題と同じ程度に、感情や精神面での問題が原因で起こるように思えます」という。

 ストレスは動物の健康を損なう。アドレナリンの分泌を活発化させ、胸腺を圧迫し退化させる。この内分泌腺は多量の白血球を生産するので、ストレスは、白血球の欠乏や免疫力の低下に結びつき、動物は疾病にかかりやすくなる。また、犬のストレスが関節炎や溶血性貧血のような自己免疫疾患を引き起こすこともわかっている。

 幸いにも、多くのトレーナーや関係者はこういった危険性を理解している。1970年代からAATについて総括的な研究を行っているデルタ協会は、マクロッホの「ペット・セラピー」を引用し、「動物が手荒な扱いや他の動物が原因でケガをする可能性があり、基本的な動物の福祉を保証できない場合、AATに動物を使用すべきではありません。これには獣医師のケア、飲み水や運動場の確保、そして動物が訪問を楽しんでいない場合も含みます」と注意を促している。

 「動物の倫理的扱いを求める心理学者の会」が発行する「社会と動物」に老人ホームでの「ペット介在療法」に関する記事が掲載された。これには、「ホームを訪れる動物は入居者との関わりを楽しんでいるように見える。しかし動物にストレスや疲労の兆候がないかどうかボランティアが常に注意を払っている。いずれかの兆候が現われた場合には、動物は休息したり水を飲んだりすることができるよう、直ちに静かな部屋へ連れて行かれる」と書かれている。 記事はさらに「動物訪問プログラムの中には訓練を受け、知識の豊富なボランティアなどが参加していないものもあり、動物が非常なストレスにさらされたり、非協力的になる場合もある。このような状況は、動物の側から見るとまったく受け入れられないものだ」と警告する。

 長年AATに関わっている心理学者ラファージ博士はAATが一般的にはよいプログラムだと思っている。「都市部で人間のコンパニオンとして暮らす動物はあまりすることがなく退屈していますが、AATでは目的のある活動に参加し、その価値を評価されます。飼い主もプログラムを通してプライドを持つことができます。また、プログラムの参加者が動物をよりよく扱うことも期待できるし、それによって他の動物の扱いも向上するでしょう」

 しかし、ラファージ博士はリスクもあるという。人間と同様、動物も「燃え尽きる」ことがある。「動物は、自分に期待されていることがわかっていても、もはやその活動に楽しみを見出せなくなる場合があり、落ち着かなくなったり、集中できなくなったりする可能性もあります」動物が施設を訪問するのに、週何回、月何回が最適、というようなものはないが、いつの場合でも、その日の動物の気分を観察することが最も重要だという。「動物が許容できる時間を尊重し、また基本的なニーズが充たされていることを確認する必要があります。動物の許容範囲を超えないよう注意しないと、動物がストレス・ホルモンを貯めこむことになります」

 一方では、また、好きな人のところへ訪問するのを禁止されることも犬にはストレスになる。「ある犬がジョーンズ夫人を訪れるのが好きだとします。でも、ジョーンズ夫人の具合が悪くなり、その犬が彼女に会いに行くことができなくなると、これも犬にとっては大きなストレスになるでしょう」とラファージ博士はいう。

 AATは成長しつつある分野で、この療法を受ける人間に効果的であることは繰り返し示されているし、プログラムのために選ばれた動物の多くは、その関わりを楽しんでいるように見える。このプログラムは、ユダヤ・キリスト教の人間主権の概念からくる、人間には自分達の目的のために動物を使用する権利があるという考えに基づいている。しかし、このプログラムを作り出した人々、そしてこの恩恵を受けている人々は、動物のニーズも考慮しなければならないという倫理的使命を認識しているようだ。おそらく、こういった人々が人間と動物との絆についてさらに関心を持つことで、動物の福祉に対する関心も促進されるだろう。また、一方で、AATが動物に及ぼす影響についての研究、そしてこの価値ある仕事のために動物を「準備」させ、保護するための最良の方法についての助言もさらに増えていくだろう。

Conscious Choice

 

 


 
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