海難事故:修学旅行の客船、瀬戸内海で座礁 高校生ら無事救助
2012年11月15日
14日午後3時10分ごろ、山口県周防大島町の南東約1400メートルの瀬戸内海で、瀬戸内海汽船(広島市)の旅客船「銀河」(602トン、前田繁船長)が浅瀬に乗り上げた。乗っていた修学旅行中の神奈川県立保土ケ谷高校(横浜市)2年の生徒ら162人と乗員9人は全員救助され、けが人はなかった。銀河は船底を損傷したが、約1時間半後に自力で離礁した。広島海上保安部が事故原因を調べている。
同海保によると、船は松山市の松山港を出発し、宿泊先がある周防大島町の伊保田港に向かう途中だった。生徒らは瀬戸内海汽船のチャーター船1隻と巡視艇2隻に乗り換え、午後6時前に伊保田港に到着した。
事故当時、現場は干潮間際で浅瀬になっていた。付近には浅瀬があることを示す「灯標」が設置され、海図にも記されていたという。瀬戸内海汽船は「修学旅行でこのような事態になってしまい、大変申し訳ない」とコメントした。【黄在龍、石川裕士】
◇「沈むと思った」
山口県周防大島町に到着した保土ケ谷高校2年、内田ひかりさん(16)は「ガタガタ揺れが続いて一瞬沈むのではないかとの恐怖を覚えた。海が(油漏れのため)茶色で、ツーンとした臭いがした」と振り返った。座礁時に寝ていた大塚航平さん(16)は「地震のような揺れがあり、船が止まった。救命胴衣を着けろと言われて不安になった」と話した。泣き出す女生徒もいたという。
同校によると、修学旅行は4泊5日の日程で、13日は松山市の道後温泉に宿泊、14〜16日は周防大島町の民家に滞在し、農業などを体験する。予定通り続けるという。【小中真樹雄】