2020年の東京五輪招致を目指す日本。最終候補地のマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)と最後の争いを演じているが、弱点とされるのが国内の支持率だ。来年1月以降には国際オリンピック委員会(IOC)による支持率調査も予定されている。東京招致委員会の鈴木徳昭・戦略広報部長(50)に聞いた。 (聞き手・久保武司)
──石原前都知事が辞任したが
「全く影響がないとはいえないかもしれませんが、招致は国家プロジェクト。政界、経済界、スポーツ団体を含めた多くの方々によるオールジャパン体制で構成されています」
──招致に向け最大の課題は国内の支持率?
「1月の調査では47%、ロンドン五輪前は58%、大会後には66%で順調に推移していると思っています」
──PRがカギを握る
「支持率調査では30%が“どちらでもない”という層で、招致を知らないか興味がない。実は若い世代の支持率が必ずしも高くありません」
──具体的なプランは
「メダリストが登場する広告や、映像などを展開していきます。学園祭などでのPRも行っていますし、これからはSNSなども展開したい」
──近くIOCの支持率調査があるとか
「調査方法は公表されないので、年内の可能性もあります。だからこそ、ことしが勝負だと思っています」
──目標の数値は
「60%台後半から70%台にいけば良いかなと…。ロンドンが招致段階では確か68%でした」
──開催には巨額の費用がかかるが
「競技施設建設費は3000億円以上といわれますが、16年の招致活動で約4000億円の基金がある。チケットやスポンサー料など、1984年のロサンゼルス大会以来赤字の大会はない。経済効果は約3兆円、15万人の雇用も生まれるという数字もあります」
──東日本大震災の被災地との関わりは
「スポーツが被災地の復興につながると信じています。被災地でのサッカー予選や、聖火リレーも検討します。あれだけの被害にあっても、五輪とパラリンピックを開催できれば世界に勇気を与えられる」
──今、日本は政治も経済も元気がない
「私はサッカーに育てていただきましたが、日本のスポーツ文化がもっと発展してほしい。招致が決まれば大会まで8年間、予選なく全ての競技の強化ができるし、国際交流も増える」
──五輪招致で日本は変わる?
「現場で活躍する日本人が増えていきますから、スポーツの力で今の日本の閉塞(へいそく)感を打破していきたい。招致活動で勝つことに全力を傾けていきます」
■鈴木徳昭(すずき・とくあき) 1961年12月3日生まれ、50歳。慶大卒業後の84年に日産自動車に入社。93年10月まで同社サッカー部の運営強化担当。語学力を生かし、2008年12月まで日本サッカー協会に在籍し、オフトジャパンの通訳として「ドーハの悲劇」を体験した。その後、国際サッカー連盟(FIFA)に出向し02年W杯招致委員会で日韓W杯開催に尽力。06年からはアジアサッカー連盟(AFC)に出向し、ことし4月に現職に就任した。