ワールドゲート事件:先物取引詐欺、規制前に「駆け込み勧誘」 10年度に被害集中
2012年11月15日
海外先物取引の投資詐欺事件で、投資コンサルタント会社「ワールドゲートカンパニー」(本社・福岡市博多区、破産手続き中)に関する10年度の相談件数が過去最多の175件に上っていたことが国民生活センターへの取材で分かった。実際の被害は同年中に集中しているとみられる。業者に規制をかける商品先物取引法が11年1月に施行されており、専門家は「駆け込み勧誘」と指摘している。【山本太一】
同センターによると、「契約解除を求めても応じない」などといった同社に対する相談件数は設立された08年度22件▽09年度87件▽10年度175件−−で増加傾向にあった。福岡、宮城両県警は11年1月、顧客にうその説明をしたとして特定商取引法違反(不実の告知)容疑で同社を家宅捜索しており、その後の相談件数は11年度15件、12年度2件(10月現在)となっている。
福岡県内の70代女性は10年9〜11月にかけて、1回あたり数十万〜数百万円を約20回、総額約3000万円を支払った。勧誘員は「年明けには返金があるから、もう少しお金がいる」としつこく勧誘。女性は「被害が大きくなる前に誰かに相談すれば良かった」と悔やんだ。
商品先物取引法は海外先物を巡るトラブル急増を受けて施行されたもので、業者は国の許可制となり、電話勧誘や訪問販売が原則禁止された。
ワールドゲートカンパニーによる詐欺被害者の弁護を担当するなど消費者問題に詳しい男性弁護士(福岡県弁護士会)は「10年の夏や秋に集中的に多くの人が金をだまし取られている。業者からすれば勧誘しやすい時期で、年明けの法施行をにらんだ駆け込み勧誘だったのではないか」と分析している。
◇新たに1人逮捕
福岡、宮城両県警は15日、タイのバンコク在住のワールドゲートカンパニー元本社営業課長、東西(とうにし)達也容疑者(34)を詐欺容疑で逮捕した。容疑を認めているという。同社による投資詐欺事件を巡る逮捕者は10人目。
容疑は09〜10年、元社長、前田博秀容疑者(54)らと共謀し、利益を出すことが極めて難しいのに6人にうその説明で投資を勧め計約1380万円をだまし取ったとしている。