隠し武器を造る
“隠し武器”という言葉は、故・名和弓雄氏が提唱した武術用語であり、日本武術に専門用語は実はありません。
“秘武器”とか、“古武器”とかも呼ばれますが、専門用語としては、中国式の“暗器”という呼び名が最も適切でしょうね?
実際に日本武術に無い言葉なので、中国式に暗器と呼ぶ人もいたようです。
例えば、長尾流懐剣術というのがありますが、これは斧の刃に握り穴が空いているような形で、一説に中国伝来のものだとか?
これを晩年の宮本武蔵が帯刀しないで外出する時に護身用に懐に忍ばせていたという話も伝承しています。
もう結構、知られた話なので御承知の方もおられると思いますが、武蔵が子供の頃に学んだと言われる当理流は、カラクリ十手(組み立て式の護拳付きの手槍で十字架型)を左手に持って右手の大刀と連携して使う流派だったとされ、だからこそ武蔵が暗器を持ったのも不自然ではなかったでしょう。
もともと、この手の武器は武家の女子の護身用であったり、旅をする時の用心に隠し持つものだったり、後は暗殺用?だったりしたようです。
護身用にしろ暗殺用にしろ、武器を最初から露に見せてしまっていたら意味がありません。故に、“暗に持つ(武)器”という名前になったのでしょう。
この暗器の特徴として、「武器でないものに武器を仕込む」というものがあります。
代表的なのが座頭市でお馴染みの“仕込み杖”です。
しかし、日本刀には反りがあるので真っすぐな杖に仕込むのは難しく、現存する仕込み杖には反りに応じた曲がった杖が少なくありません。
曲がっていても不自然でないように自然木に見せかけた杖もあるくらいです。
けれども、仕込み杖用に造られた直刀だと、細身で短いものが多く、実はあんまり実戦的ではありません。大刀と打ち合えば折れてしまいそうなくらいです。
座頭市の杖は刀の身幅を普通の刀並みに保つ意味もあって断面が楕円形になっていました。
もっとも、仕込み杖には刀を仕込む以外に槍穂を仕込んだものもあります。これは忍者が変装して情報収集する時の護身用に杖に仕込んだりしていたようで、竹の棒の端に仕込んであったりしたようです。
これも、そのうちに自作してみようと思って、昨年だったか、錆び錆びで激安の槍穂を買った時に、「これで仕込み槍を造ってみようかな~?」と思っていたんですが、手頃な太さの竹を見かけなかったので、そのままにしていました。
小烏丸造りの刀の外装の材料を買いに町田の東急ハンズに行った時、何げなく材木コーナーの黒竹を見ていたら、太さが手頃なものがあったので、「おっ? これは仕込み槍に使えるかも?」と直感し購入してきました。
黒竹は細いものが多いんですが、表面が結構、硬い。特に、たまたま太い部分がやや楕円型になっているものがあって、ここに槍穂がギリギリ納まるんじゃないか?と思った訳です。
帰ってから測ってみると、ピッタシ!
「よし、これなら仕込み杖に使える」と思って、まず、適当な長さに薄刃のノコギリで切って、槍穂を納める箇所も切断しました。
杖としては握りの太い箇所に槍穂を納めることになりますが、杖としての長さと握りの太さは丁度良く、鞘を払うと本格的な菱形断面の槍穂が出てきます。

長さ的には杖術の杖に槍穂がくっついている感じ。

何か、予想以上にカッコイイ!

が、作業を焦っていたら槍の刃で右手親指を掠ってしまいまして、痛くなかったんですが、結構、血が出てしまいました。

「あ~、やっぱりこの槍は実戦で血ぃ吸ってんだろうな~?」と思いましたね。
錆びを落としていて使い込んだ疵が結構あったので、戦場で使われた物だろうと思っていた訳です。
そういうシロモノを扱っていると、よく怪我するんですよ。不思議に・・・。
考えてみたら、戦場での主武器は弓矢、そして槍なんですよ。
時代劇ドラマでは刀で鎧兜のまま戦ったりしていますが、実際は刀はあまり使われなかったとされています。据え物斬りならある程度、切断できても動き回って、しかも攻撃してくる相手の鎧兜を刀で切断するほど斬り込むのは不可能に近いでしょう。
戦場で使う太刀術の多くが鎧兜の隙間を突き刺すものです。当たり前ですが・・・。
まあ、それでも長巻や野太刀は使われたでしょう。巨大な野太刀(太郎太刀)で大暴れした真柄十郎左衛門の話とかあるし・・・(ちなみに十郎左衛門の息子が使ったのが次郎太刀。これを打ち破った侍が使った関の孫六兼元の刀には“真柄斬り”の異名がついたそうです)。
そうそう、本命の小烏丸造りの刀の方は、実験的に普通の打刀と長巻の二通りに使えるように、柄を二つ造ってみようと思っています。
八寸柄と、三尺の長巻用柄の二つ造るつもりです。
ハバキを買いに水道橋の尚武堂さんに行ったんですが、金ピカの縁頭が綺麗だったので、これも買いました。
この刀は変わった形なので、拵えも派手にお洒落にしてみようと思ったからです。
依頼品の日子流仕様の小太刀は実戦本位に頑丈にシンプルに造ったので、小烏丸の方は金ピカな感じにして伝説の霊剣っぽくしようか?と・・・。
やっぱり、最後の伝説の武道家である青木宏之先生に頂戴した刀なんで、普通の拵えじゃあ、つまんないよね~?
“秘武器”とか、“古武器”とかも呼ばれますが、専門用語としては、中国式の“暗器”という呼び名が最も適切でしょうね?
実際に日本武術に無い言葉なので、中国式に暗器と呼ぶ人もいたようです。
例えば、長尾流懐剣術というのがありますが、これは斧の刃に握り穴が空いているような形で、一説に中国伝来のものだとか?
これを晩年の宮本武蔵が帯刀しないで外出する時に護身用に懐に忍ばせていたという話も伝承しています。
もう結構、知られた話なので御承知の方もおられると思いますが、武蔵が子供の頃に学んだと言われる当理流は、カラクリ十手(組み立て式の護拳付きの手槍で十字架型)を左手に持って右手の大刀と連携して使う流派だったとされ、だからこそ武蔵が暗器を持ったのも不自然ではなかったでしょう。
もともと、この手の武器は武家の女子の護身用であったり、旅をする時の用心に隠し持つものだったり、後は暗殺用?だったりしたようです。
護身用にしろ暗殺用にしろ、武器を最初から露に見せてしまっていたら意味がありません。故に、“暗に持つ(武)器”という名前になったのでしょう。
この暗器の特徴として、「武器でないものに武器を仕込む」というものがあります。
代表的なのが座頭市でお馴染みの“仕込み杖”です。
しかし、日本刀には反りがあるので真っすぐな杖に仕込むのは難しく、現存する仕込み杖には反りに応じた曲がった杖が少なくありません。
曲がっていても不自然でないように自然木に見せかけた杖もあるくらいです。
けれども、仕込み杖用に造られた直刀だと、細身で短いものが多く、実はあんまり実戦的ではありません。大刀と打ち合えば折れてしまいそうなくらいです。
座頭市の杖は刀の身幅を普通の刀並みに保つ意味もあって断面が楕円形になっていました。
もっとも、仕込み杖には刀を仕込む以外に槍穂を仕込んだものもあります。これは忍者が変装して情報収集する時の護身用に杖に仕込んだりしていたようで、竹の棒の端に仕込んであったりしたようです。
これも、そのうちに自作してみようと思って、昨年だったか、錆び錆びで激安の槍穂を買った時に、「これで仕込み槍を造ってみようかな~?」と思っていたんですが、手頃な太さの竹を見かけなかったので、そのままにしていました。
小烏丸造りの刀の外装の材料を買いに町田の東急ハンズに行った時、何げなく材木コーナーの黒竹を見ていたら、太さが手頃なものがあったので、「おっ? これは仕込み槍に使えるかも?」と直感し購入してきました。
黒竹は細いものが多いんですが、表面が結構、硬い。特に、たまたま太い部分がやや楕円型になっているものがあって、ここに槍穂がギリギリ納まるんじゃないか?と思った訳です。
帰ってから測ってみると、ピッタシ!
「よし、これなら仕込み杖に使える」と思って、まず、適当な長さに薄刃のノコギリで切って、槍穂を納める箇所も切断しました。
杖としては握りの太い箇所に槍穂を納めることになりますが、杖としての長さと握りの太さは丁度良く、鞘を払うと本格的な菱形断面の槍穂が出てきます。
長さ的には杖術の杖に槍穂がくっついている感じ。
何か、予想以上にカッコイイ!
が、作業を焦っていたら槍の刃で右手親指を掠ってしまいまして、痛くなかったんですが、結構、血が出てしまいました。
「あ~、やっぱりこの槍は実戦で血ぃ吸ってんだろうな~?」と思いましたね。
錆びを落としていて使い込んだ疵が結構あったので、戦場で使われた物だろうと思っていた訳です。
そういうシロモノを扱っていると、よく怪我するんですよ。不思議に・・・。
考えてみたら、戦場での主武器は弓矢、そして槍なんですよ。
時代劇ドラマでは刀で鎧兜のまま戦ったりしていますが、実際は刀はあまり使われなかったとされています。据え物斬りならある程度、切断できても動き回って、しかも攻撃してくる相手の鎧兜を刀で切断するほど斬り込むのは不可能に近いでしょう。
戦場で使う太刀術の多くが鎧兜の隙間を突き刺すものです。当たり前ですが・・・。
まあ、それでも長巻や野太刀は使われたでしょう。巨大な野太刀(太郎太刀)で大暴れした真柄十郎左衛門の話とかあるし・・・(ちなみに十郎左衛門の息子が使ったのが次郎太刀。これを打ち破った侍が使った関の孫六兼元の刀には“真柄斬り”の異名がついたそうです)。
そうそう、本命の小烏丸造りの刀の方は、実験的に普通の打刀と長巻の二通りに使えるように、柄を二つ造ってみようと思っています。
八寸柄と、三尺の長巻用柄の二つ造るつもりです。
ハバキを買いに水道橋の尚武堂さんに行ったんですが、金ピカの縁頭が綺麗だったので、これも買いました。
この刀は変わった形なので、拵えも派手にお洒落にしてみようと思ったからです。
依頼品の日子流仕様の小太刀は実戦本位に頑丈にシンプルに造ったので、小烏丸の方は金ピカな感じにして伝説の霊剣っぽくしようか?と・・・。
やっぱり、最後の伝説の武道家である青木宏之先生に頂戴した刀なんで、普通の拵えじゃあ、つまんないよね~?