「大阪市選管」の呆れた高額報酬
片手間の仕事に月額43万円の驚くべき実態。議員OBへの退職金上乗せ疑惑も浮上。
2009年5月号 POLITICS
大阪市各区の歴代選挙管理委員の名簿。同じ人物が長く務めているケースが多い
「あんな気楽な仕事はありませんわ」。ある自治体の選挙管理委員を最近辞めた男性はこう話す。この男性は、選挙管理委員を1期4年務めた。毎月2回開かれる予定の委員会では、会議の題目がなければ、中止になる時もあったという。役所に行っても2時間ほど話すだけで、それで月額報酬は約30万円だった。時給に換算すれば約8万円。まさに「おいしい仕事」なのだ。
都道府県の選管は衆議院、参議院(選挙区)、都道府県議会の議員および知事の選挙事務を管理する。市町村の選管は市町村議会の議員および市町村長の選挙事務を担当する。ちなみに参議院全国区は総務省の中央選挙管理委員会(定数5人、任期3年)が所管する。実際には形骸化し名誉職となっており、議員OBらが委員に就き、退職金の上乗せ代わりになっているケースも多いようだ。
大津地裁が支出は違法判決
今年1月、この行政委員をめぐって激震が走った。滋賀県が選挙管理委員会などの行政委員会の委員に対し勤務実態とかけ離れた月額報酬を支払うのは違法だとして支出差し止めを求められていた裁判で、大津地裁は月額報酬を支払わないように命じる判決を言い渡したからだ。裁判長は「勤務実態は到底常勤といえず、非常勤は日額報酬と定めた地方自治法の趣旨に反する」と判決理由を述べた。選管、労働委員会については全都道府県が月額報酬を導入している。今回の判決を受けて大阪府の橋下徹知事が月額報酬の見直しを指示するなど自治体関係者に波紋が広がった。滋賀県は判決を不服として控訴したが、その実態は裁判所の指摘通りなのだ。
多くの自治体が見直しを検討し始めた中で、今年2月に選挙管理委員の改選期を迎えた大阪市の北区と中央区では、見直しどころか堂々と月額報酬を維持した。大阪市選管は取材に対し「他の自治体もまだ同様の制度を続けていますし、滋賀県も控訴して最終判決ではありませんので継続しましたが、多方面から検討して見直す議論は始めています」と説明する。
大阪市は政令指定都市であるため、市としての選挙管理委員が4人、北区、都島区など24の各行政区にも選挙管理委員が4人ずつ配置されている。大阪市だけで選挙管理委員は計100人になる。また大阪市の選挙管理委員は引退した市議が務めるのが慣わし。東成区選出の自民党市議だった北山篤氏らが現在の委員だ。月額報酬は委員長が43万円、委員が35万5千円。2006年に財政難から1万円ずつ引き下げられたが、退職金の上乗せ分と見ている関係者も多い。政党によっては1期4年だとなかなか順番が回ってこないため、2年で途中交代するケースもあるなど、ポストが政党によって私物化されているきらいもある。
一方、各区の選挙管理委員は、市議OBではなく、一般人から選出される。しかし、推薦するのは各区の現職の市議だという。定数2人の区だと現職議員2人が2人ずつ推薦するなど、まさに議員の息がかかった人が選ばれるのである。月額報酬は委員長が15万6千円、委員が13万6千円。これも06年に4千円ずつ引き下げられたものの、問題は仕事量だ。大阪市選管の内部資料によると、統一地方選のあった07年度は少ない区で18回、多い区では30回、委員会が開催されている。ところが、08年度は大阪市の選管ですら10回、少ない区では9回と月1回すら開催されていない。こんな仕事で月々14万~15万円の報酬がもらえるというのなら誰でもやりたいと思うに違いない。
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