社説:習近平政権 長老支配に戻った中国

毎日新聞 2012年11月16日 02時30分

 これが世界第2の経済大国の政権党なのか。驚くほど前近代的な中国共産党の指導部交代だった。まるで天安門事件の後のような長老支配をさらけ出した。世代交代にかけた期待は裏切られた。新指導部は、長老集団の干渉をはねつけ、断固として政治改革に取り組む決意、国際協調を追求する謙虚な外交姿勢を国際社会に示さなければならない。

 中国共産党第18回大会が終わった。習近平(しゅうきんぺい)・国家副主席を総書記とする新指導部が成立した。今後2期、10年間の中国を指導する。

 ◇天安門事件の後のよう

 権力闘争の結果生まれた党政治局常務委員7人は、来年の春、国家主席になる習氏と、首相になる李克強(りこくきょう)氏以外は、江沢民(こうたくみん)・前国家主席派で占められた。習政権は江氏ら長老の支配干渉を受け、保守的強権的な統治、強硬な大国主義外交に走る可能性が高い。

 今回の党大会は10年に一度の、大幅な世代交代人事を決める大会だった。だが初日から失望した。引退したはずの保守派長老たちが公然と登場したのである。人民大会堂の舞台最前列に置かれた議長団席に現役指導者といっしょに横一列に並んだ。

 長老は3割を占めた。多くが80歳を超えている。中央に江氏、李鵬(りほう)・前全人代常務委員長もいた。天安門事件の後の江・李体制が再現された。歴史の歯車が20年以上逆転したようだ。習政権の背後には終身現役の長老集団がいる。これでは改革は進まない。

 政治局常務委員人事で象徴的なのは、張徳江(ちょうとくこう)・副首相の昇進である。来年春に全人代常務委員長に就任するとみられる。中国では党総書記、首相、全人代委員長の3者が「核心領導(かくしんりょうどう)」(権力中枢)とされる。習氏を共産主義青年団(共青団(きょうせいだん))派の李克強氏と、江沢民派の張氏が支える派閥均衡の形になっている。

 だが、胡錦濤(こきんとう)・前総書記系の共青団派の排除は明らかだ。総書記に代わって党務を処理する書記局筆頭書記は、江沢民派でも強硬派の劉雲山(りゅううんざん)・前党中央宣伝部長。普通なら党大会の準備をしてきた李源潮(りげんちょう)・前党中央組織部長の昇進が順当だが、政治局委員に据え置かれた。天安門事件当時、民主化運動に理解を見せたことが原因らしい。

 また、党高官の汚職腐敗に対する監視役である党中央規律検査委員会書記には革命元勲の子である「太子党」の王岐山(おうきざん)氏が就任した。汚職摘発が権力闘争の材料になってきただけに、ここを握ることで党内ににらみをきかせることができる。

毎日新聞社のご案内

TAP-i

TAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM