Vol.13「EMによる環境浄化活動を通じて自然環境を取り戻す」
■EMを使った生ごみリサイクルの普及活動
EMとは、有用 (Effective)微生物群(Microorganisms)という英語の頭文字を取った造語である。1982年EMの開発者である琉球大学比嘉(ひが)照夫(てるお)教授(農学博士)が名付けたもので、乳酸菌、酵母、光合成細菌を主体とした多目的微生物資材である。
会の代表である吉田賢治さんは、元住吉の一角で自然食品の店を営む傍らで、EMに出会い、生ごみリサイクルを手掛けるようになる。生ごみ処理には、EMぼかしというEM液からつくる資材が必要で、福祉作業所が製造したEMぼかしなどの資材も取り扱っていた。しかし、EMによる生ごみリサイクルの普及を市のイベントなどですすめるうちに、使い方がよくわからないまま挫折してしまう人が多いことに気づく。生ごみリサイクルを広めるためには、EMぼかしの作り方や発酵のノウハウを教え、またそれをさらに周囲に教えられる人を増やすことをしていかなければという思いに至る。
そこで2003年1月から川崎市生涯学習プラザで、EMぼかしの作り方やEMを利用した生ごみリサイクルの体験会を隔月で始めた。途中、場所を住吉こども文化センターに移しながら今では50回以上を数える。また2006年には、宮前区宮崎町会の婦人部から依頼されて、ここでも隔月に講習会を始めた。今では、ゴミ減量指導員が中心となり自ら回覧板で参加者を募るなど町会主体の活動に発展している。
■公益活動事業を手がかりに広がる小学校での環境教育
EMによる生ごみリサイクルの普及を主な活動内容としていたが、2005年に転機が訪れる。
川崎区小田小学校で生ごみリサイクルとぼかしづくりの体験授業を行った際、トイレの臭いが気になり、EM希釈液で悪臭除去を行ったところ大変喜ばれた。その体験を踏まえ次の年には市内小中学校のトイレ悪臭除去事業を公益活動助成事業として提案し採用される。当時の小田小学校校長に助言を受けながら、学校への提案書を作成して170校以上ある小中学校へ手紙を出した。約30校から反応があり、その全学校に、吉田さん自らが出向きEM100倍希釈液の作り方と散布の仕方を指導してEM液を無償提供した。その結果、トイレの悪臭だけではなく体育館などの汗臭やパソコン教室の化学臭に対しても効果があったという評価を得て、それから毎年、市内全小中学校に提案書を送り終了後には教育委員会に活動の報告をしている。2010年度で20校の学校に利用されたとのこと。そのつながりから、EMを使った学校プールの水質浄化を環境教育の一環として始めるようになる。夏前のプール掃除が楽になり多種類のヤゴが大量に発生している様子を観察できるようになったと評価を受け、4年間で延べ20校、2010年度では7校の小学校で実施することができた。
■川崎市内のあらゆる水質浄化に尽力したい
また、川崎市環境局水質対策課よりの紹介で多摩区建設センターの職員から相談を受けたことをきっかけに、2008年公益活動事業として向ヶ丘遊園駅南側河川と北側の用水路浄化実験を開始する。全部で3.1トンのEMを投入し、水質改善に寄与することができた。他にも川崎北ライオンズクラブから支援を受けて、等々力緑地のハス池(1500㎡)の水質浄化活動を2009年度から2010年度にかけて実験を行っている。来年度以降も実験を重ね、ぜひ大池(33,000㎡)の水質浄化を手掛けたいと吉田さんは語る。
今後は、学校での環境教育活動に力をいれ、子どもたちやその家庭に向けて伝えていきたい、また企業などにもEMをぜひ活用してほしい、工業廃水の水質改善や工場内の臭気対策、空気浄化などの相談を受けていきたい、とのこと。
他にも子ども文化センター館長の紹介から、わくわくプラザで廃油からEM石けんづくり講習会を行うなど、振り返ると人のつながりからどんどん活動の幅が広がっていることを実感していて、年々忙しくなっているとのこと。これからは後継者を育てていきたい、と吉田さんは語った。
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