中国共産党の新指導部が発足:識者はこうみる
[北京 15日 ロイター] 中国共産党は15日、習近平国家副主席を新たな総書記に選出した。習近平氏は、これまでの9人から7人に減らされた中国共産党最高指導部、政治局常務委員のトップとなる。習近平氏はまた、党中央軍事委員会主席にも選出された。識者のコメントは以下の通り。
●政策は今後5年を重視
<シティ(香港)の中国担当エコノミスト、MINGGAO SHEN氏>
習近平氏と李克強氏以外の常務委員は2017年に引退する。このことは、今後5年間の政策により重点が置かれることを示唆している。この5年間は、中国が成長を維持し、景気見通しへの信頼を取り戻すための足元を固めるのにきわめて重要な期間だ。
●大胆な経済改革あると確信
<中国欧盟商会(北京)のダビデ・クチーノ氏>
権力の移行は、停滞していた改革を早急に実行するという歴史的な機会を新指導部に与えている。改革により、中国経済は持続可能な成長という新たなステージに移り、より広く所得が向上する社会に向かうことができる。
これは容易な仕事ではないだろうが、新指導部は大胆な行動に出るとわれわれは確信している。なぜなら、求められている改革は必要不可欠なだけでなく、急を要するからだ。そうしない場合、ビジネス環境で危険な結果を招くリスクが生じるだろう。
●急進的変化はないと予想
<マンダリン・キャピタル・パートナーズ(上海)のマネジングパートナー、ALBERTO FORCHIELLI氏>
新指導部は発言は改革志向でも、経済・金融改革についての行動には極めて慎重を期すだろう。
強い抵抗と強い拒否反応により、変化のスピードは鈍くなるだろう。改革への真の圧力は知識人の中だけに存在し、一般国民は経済において何を行うべきかを認識していない。そういう意味で中国は、国民が実際の選挙権をまだ持っていないものの、投票基盤だけは大きい国々にますます似通ってきている。
中国共産党は積極型というより適応型であり、実際の変革は危機によって促される可能性がある。銀行危機や地方政府の財政難、国内総生産(GDP)伸び率の大幅鈍化といった、あまり劇的でないショックが引き金となるかもしれない。
変化はほとんどないと予想している。急進的ではないだろう。危機が生じない限り、誰も前例と違うことはしないだろう。第18回中国共産党大会は政治的には、既に表明されている通り、表現は強いが実行が困難な政策の継続を意味する。
ただ党大会終了後、マンダリン・キャピタルは福祉、保健、環境、革新的石油・天然ガス産業、消費者製品などのセクターへの投資を加速する。将来の指導者が、さほど抵抗なくこうした産業を引き続き重視していくとみているからだ。
●前進も波乱もない
<香港バプティスト大学のジャン・ピエール・セバスチャン教授(政治学)>
最高指導部は分裂している。彼らが何かをしようとしないとは言わない。新たな成長モデルへと転換することは容易で、それについて合意していると思われ、そんなに難しい課題ではない。ただ、政治システムの変革という点では政治的なまひが多くみられる。前進はないだろう。
王岐山氏が(党中央規律検査委員会書記に)就くことは、彼を二次的な立場に置くことになる。彼が唯一、改革派寄りといえる。習近平氏がリーダーシップとカリスマ性を発揮して、残りの指導部に自身の見解を押し付けない限り、波乱が起こるとは思えない。
*内容を追加して再送します。
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