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被災地 避難長期化で介護認定3万人
11月12日 4時25分

被災地 避難長期化で介護認定3万人
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東日本大震災や福島第一原発事故が起きてから1年8か月がたちましたが、東北3県の被害が大きかった地域で、ことし9月までの1年間に新たに介護が必要になった人がおよそ3万人に上ることがNHKの取材で分かりました。長期間にわたる避難生活などが影響しているとみられ、専門家は「介護が必要な人が増えると孤独死などにもつながる可能性があり、支援態勢を早急に整備することなどが必要だ」と指摘しています。

NHKは、岩手、宮城、福島の3つ県の沿岸部と福島第一原発事故の影響で避難区域に指定されている地域の合わせて42の市町村で、震災後、新たに介護が必要だと認定された人について取材しました。
その結果、ことし9月までの1年間に認定された人は、▽宮城県で1万6728人、▽福島県で9475人、▽岩手県で3734人と、3つの県で合わせて2万9937人に上っていました。このうち、津波や原発事故の影響で過去の記録が把握できない4つの市町村を除く38の市町村では合わせて2万9094人で、震災前のおととし9月までの1年間の認定数と比べると、およそ4000人と16パーセント余り増えていました。
市町村別に見てみますと、▽福島県浪江町で震災前の3.1倍、▽富岡町で3倍、▽楢葉町で2.1倍と、いずれも福島第一原発の周辺の福島県の自治体で急増していました。
震災発生から半年間に3つの県ですでに1万6000人余りが新たに介護が必要だと認定されており、専門家は長期化する避難生活でさらに体調が悪化したり、慣れない環境が続いたりするなど将来への不安が背景にあると分析しています。
介護問題に詳しい淑徳大学の結城康博准教授は「このまま介護が必要な人が増えると孤独死や認知症の方が増えていく可能性もある。住環境を整えてふつうの生活に戻すことや友だち関係のような集いの機会を復活させ、外出するきっかけとなるコミュニティを形成するなどの支援を早急にしなければならない」と話しています。

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