野田首相:異例党首討論、安倍氏の虚を突く
毎日新聞 2012年11月14日 22時01分(最終更新 11月14日 23時48分)
野田佳彦首相は14日、わずか2日後の「電撃解散」を宣言した。「近いうち解散」を約束してから3カ月。国会の党首討論で衆院解散の時期を明示する異例の展開となった。
安倍晋三・自民党総裁「もうクリスマスセールが始まろうとしている。約束の期限は大幅に過ぎている」
党首討論の冒頭、安倍氏は笑みを浮かべながら決断を迫った。
これに対し首相は解散確約の条件として衆院の定数削減を突きつける攻勢に出た。
首相「1票の格差(是正)と定数削減も今国会中に実現する。それを約束いただければ、今日、具体的に提示させていただきたい」
あいまいな答弁を想定していた安倍氏は慌てた。首相が解散時期を提示する意向を示したのに「私の質問には全く答えていない」と批判し、格差是正を定数削減と切り離して処理するよう求めた。
「身を切る改革」で自民党との違いを訴え「追い込まれ解散」の印象を少しでも薄めようと「ばくち」を打った首相。来年の通常国会での定数削減などを迫ったうえで初めて解散時期を口にした。
首相「国民の前で約束してほしい。決断いただくなら今週末の16日に解散してもいい」
安倍氏「今、私と野田さんだけで決めていいはずはない。議論をすり替えている」
即答しない安倍氏に自民党内から「首相が解散まで踏み込んだことをまず評価すべきだ」(中堅議員)など不満の声が漏れた。
首相「後ろに区切りを付けて結論を出そう。16日に解散します。やりましょう、だから」
退路を断った首相の発言に安倍氏はようやく呼応した。
安倍氏「それ約束ですね、約束ですね、よろしいですね、よろしいですね」
電撃解散を武器に討論を優勢に進めた首相は衆院選への決意の言葉で締めくくった。
首相「覚悟のない自民党に政権は戻さない。その覚悟で頑張る」
公明党の山口那津男代表は討論後、「野田さんの政治家としての姿勢はずっと信頼していたが、きょう改めて示された」と首相の決断を高く評価した。【影山哲也】