ここから本文エリア

現在位置:朝日新聞デジタルマイタウン愛知> 記事

死刑 遺族も悩む

2012年11月11日

写真

殺人事件遺族の立場から死刑廃止を訴える原田正治さん(右)らが話した=10日、名古屋市中区

●中区 廃止考えるシンポ

 死刑廃止を考える愛知県弁護士会のシンポジウムが10日、名古屋市中区であった。母を殺した父が死刑囚となった名古屋市熱田区の大山寛人(ひろと)さん(24)が講演し、「裁判員制度で誰が誰を裁くかわからない今、被害者遺族のすべてが死刑を望むのではないことを知ってほしい」と呼びかけた。
 大山さんの父親は2000年、広島市の自宅の浴槽で妻(当時38)を水死させ、その2年前には養父(同66)も殺害していたとして、死刑が確定した。
 大山さんは父を恨み、少年鑑別所に入ったり、自殺未遂を繰り返したりした。05年、一審の死刑判決をきっかけに面会に行くと、父はやせ細り、泣きながら謝り続けた。その後も通い、養父との葛藤を抱えていたことなど「父から見た真実」を聞かされた。「父を許せると思ったことは一度もない。でも、父も十分苦しんでいたと知り、一緒に前に進んでいこうと決めた」
 死刑制度の存廃について答えは出ていない。「被害者遺族である自分が求めない加害者の死刑に意味があるのか。人の数だけ答えは違うと思う」と述べた。
 シンポジウムには、1983年に京都府で弟を保険金目的で殺害された原田正治さん(65)も参加。弟を殺した男は2001年に死刑が執行された。「許したわけではない。でも、心身をかけて反省し、生きて償ってほしかった」と話した。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

ここから広告です

広告終わり

ここから広告です

広告終わり

ここから広告です

広告終わり

広告終わり