来月16日衆院選:若手議員「頭が真っ白に」…民主混乱
毎日新聞 2012年11月15日 00時06分(最終更新 11月15日 00時41分)
野田佳彦首相が14日の党首討論で「16日解散」を表明したことで、民主党内は混乱状態に陥った。選挙基盤の弱い若手議員は「頭が真っ白になった」「大惨敗になる」と悲壮感を漂わせた。なお解散先送りを探る動きも一部にあるが、その急先鋒(せんぽう)だった閣僚経験者の一人は「もう首相を止められない」と漏らした。【青木純、笈田直樹、木下訓明】
「国民不在の解散だ。党執行部のみの発想でいいのか。他の野党とも相談する必要があると思っている」
鳩山由紀夫元首相は14日夜、グループ議員との会合後、記者団にこう述べ、国民の生活が第一の小沢一郎代表との連携を示唆。グループの会合では「内閣不信任決議案に同調することで解散を阻止できないか」との意見も飛び出した。
早期解散に反対を唱えてきた鹿野道彦前農相は、輿石東幹事長に、両院議員総会で首相が党所属議員に説明するよう要請。その後、記者団に「常任幹事会の総意として政治空白を作るべきではないと決めたのに『あさって解散』となった。首相の真意を聞きたい。そうでないと地元で説明できない」。恨み節とも聞こえた。
「あんた、見事に、おれをだましたな」
民主党と連立を組む国民新党の自見庄三郎代表は14日夜、首相官邸で首相に会い、「16日解散」を明言したことに不満をぶつけた。首相が党首討論前、自見氏に「『解散する』とは絶対言わない」と断言していたからだ。
首相は平身低頭だったといい、自見氏は記者団に「(連立を)維持したい」。周辺に「身内をだまさないと『びっくり解散』はできない」と語り、首相の決断に理解を示した。
自民党幹部は首相が「16日解散」を明言した理由について「民主党内でクーデターが起き、首相の座から引きずりおろされるのを心配したのだろう」と分析した。前原誠司国家戦略担当相のグループ幹部も「野田降ろしの機先を制した」と説明するように、来週にも離党しようとしていたという若手議員は「頭が真っ白だ」と、ぼうぜんとした表情を見せた。
だが、「12月16日投開票」の次期衆院選で民主党が勝利する見通しはない。安住淳幹事長代行は記者団に「全員の当選を目指して頑張る」と語ったが、若手議員は「大惨敗になる」。細野豪志政調会長に近い若手議員約10人は国会内に集まると、円陣を組んで「絶対、帰ってくるぞ」と声を上げた。