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Anno Job Log

2007-08-26

[サイト] Bailey本からの直接引用 3 CommentsAdd Star

昨日の続き


6. Bailey はついで、自分の考えとは違う研究者についてコメントする。

For example, consider his remarks about gender counselors: " - - - many ‘experts’ who make their livings working with them do not understand transsexuals very well." p. 143

(当事者のカウンセリングを仕事にしている、多くの専門家は、TSのことをよくはわかっていない)

And then consider his remarks about his fellow sex researchers: "Blanchard's ideas have not yet received the widespread attention they deserve, in large part because sex researchers are not as scholarly as they should be and so don’t read the current scientific journals." p. 176

(Blanchardの考えは、十分に広まって受け入れられてはいない。その大きな理由として、性科学者は学問的ではないし、最近の論文を読んだりはしないからだ。)


7. Bailey はまた同性愛の「進化論的パラドックス」への優生学的解決に取り組もうとする

"...gay men have penises, even though they don't use them for the purpose for which penises evolved, namely, procreation." p.88

(ゲイ男性はペニスを持っている。彼らはペニスの本来の役割、すなわち生殖という目的以外にペニスを使うのだが)

"For example, some of the people raising the spector of "murdering gay babies" were the same people who insisted that abortion is no one's business but the woman's..." p.114

(たとえば、「ゲイの赤ん坊を殺すこと」を騒ぎ立てるのは、中絶は女性の権利だと主張する人と同じだったりする)

"Instead, the real question is whether parental selection in favor of heterosexuality is acceptable. To focus on this question, we have to assume that whatever means parents will use to do this are, in themselves, morally acceptable" p.114

(本当の問題はヘテロを好むという両親の選択が許されるものかということだ。この問題に焦点を当てるなら、どのような手段を用いるにせよ、その選択は倫理的に許容できるということ認めざるを得ない。)

"So the next question is whether selecting for heterosexual children would cause any harm?" Certainly being straight rather than gay doesn't harm the child itself." p.115

(次の問題は、ヘテロの子供を選択することが、何らかの害を生むかということだ。もちろん、子ども自身にとって、ゲイでなくストレートであることになんの害もない。)

"Homosexuality might be the most striking unresolved paradox of human evolution. p.115

(同性愛は人類の進化上、もっとも不可解なパラドックスであろう)

"Homosexuality is evolutionary maladaptive." p.116

(同性愛は進化的な不適応だ)

"'Evolutionary maladaptive' sounds like an insult, but it isn't." p.116

(進化的不適応とは、侮蔑的に感じるかもしれない。しかしそうではない。)

"The desire to have sex with members of the opposite sex helps people have sex that might result in offspring. The number of healthy offspring one leaves if perhaps the best indicator of evolutionary success." p.116

(反対の性別の人間とセックスしたいという欲望は、子供を生む可能性のあるセックスをすることに役立ってきた。健康な子供をたくさん残すということは、進化論的成功の良い指標だろう。)

8. Bailey はさらにTSが生まれつきの性別違和に苦しんでいるという現代の見方に疑問を呈し、「性転換」したいという願望は、異常な性欲から来ていると提唱する。

"The standard transsexual narrative says that transsexualism is not about sex but about "gender identity", or the internal sense that one is a man or a woman. According to this narrative, transsexuals want to change sex because their sense of self diagrees with their bodies, not because they have any unusual sexual preferences that depend on a sex change. ... It should be clear by now that the "gender, not sex" part of the transsexual narrative is false - - - " p. 180

(TSの標準的言説は、「セックスの問題ではなく、ジェンダーの問題だ」というもの、あるいは自分の内面的感覚が男か女か、というものだ。この言説によれば、TSが性転換したいと思うのは、自己の体に自己感覚が不一致なためであり、性転換に関する異常な性的嗜好によるものではない。しかし、今こそ、この「セックスでなくジェンダー」という言説が誤りであると、明確にしないといけない。)


Bailey は次のDSMに自分の主張が採用されることで、TSの新たな病理化が進行することを期待する。

"With luck, the next revision of the DSM will distinguish between "homosexual" and "autogynephilic" transsexualism." p. 176

(うまくすれば、次のDSMでは同性愛TS と自己女性化性愛TSの区別が行われるだろう)


(おしまい。)

なでもなでも 2007/08/28 03:08 で、このような文献を引用しまくった意図はなんですか?

noraneko7noraneko7 2007/08/28 14:26
どんな分野であっても、
「東中野修道」は普遍的に存在することを
証明したかったのでは?

sarabandesarabande 2007/08/29 04:26 いわゆる「ニューハーフ」と上川あやさん的な「MtF」は直感的に違う存在だと思っていました。
一連の羅列記事でその辺のもやもやがスッキリしました。

MTFAGMTFAG 2007/08/29 23:26 anno先生翻訳ありがとうございました。遅レスすみませんm(_ _)m
 要約されている内容が正しいと仮定して、Baileyの主張の流れは確かにあまりにも強引な部分が多いように感じました。けれども、同性愛型のTSと自己愛的なTSがいるという事実の認識そのものは、それほど極端でないような気がします。
 ただ、最終的にTSは望みの性に似るように手術されるべきではない、という結論を導くためには、手術したけれど幸せになってないとか、より苦しんでいるとか、そのようなデータが必要かと思いますが、要約を読む限りそのような話しは出てきていません。勿論、ゲイやレズビアンより手術を必要とするTSの方が社会的な負担は大きいので避けられるならさけた方がいいでしょうが、彼の主張を認めるためには、手術を回避して(2通りのTSに別の対処を施して両方とも)幸せになったという多くのデータが必要な気がします。
 さらに、仮に同性愛型TSと自己愛的なTSという区分ができるとして、それらの性別移行後の満足感に、統計的な差はあるのでしょうか?私は、移行後の幸福感は、もっと想像力や、現実対処能力、それこそパス度など、別の因子に依存するような気がします。
 以上の理由から、Baileyの主張には賛同しません。
 ただ、批判するなら、客観的事実や、反例をもってするべきであって、根拠のない中傷でそれがなられるべきではないと感じました。

azamiazami 2007/08/31 03:39 MTFAGさん>最終的にTSは望みの性に似るように手術されるべきではない、という結論を導くためには、手術したけれど幸せになってないとか、より苦しんでいるとか、そのようなデータが必要かと思いますが、要約を読む限りそのような話しは出てきていません。
:このようなデータはもうあります。しかも,1)SRS後満足した,2)その後の生活の質はあまりよくない,3)満足したと言っているけど詳しく聞くとかなり生活上の不自由があって幸福でない,4)1-3)のいずれかだけど後悔はしていない,5)後悔している,などいろいろです。
中村美亜さん著の「心に性別はあるのか?」は,比較的3)の立場で書かれ,そのような文献がたくさん集められました。
そもそもジョン・ホプキンスのジェンダー・クリニックが中止されたのは,SRSの予後が良くないというたった13例のMTF論文のせいでした。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=3729700&ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum
しかし,そのような悲観的なデータが事実なら,みんなは学習してSRSの希望者が減る筈なのにそうなっていないようです。
またホプキンズのプログラムが中止後,全米にジェンダークリニックが作られむしろ拡散していきました。
そして,上記の関連論文は,158あります。(関連の薄いのも混じっています)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&DbFrom=pubmed&Cmd=Link&LinkName=pubmed_pubmed&LinkReadableName=Related%20Articles&IdsFromResult=3729700&ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVAbstractPlus
アン・ローレンスはautogynephilia(AG)でベイリーと一緒に叩かれるけど,ベイリーと異なりAGはSRSの正当な理由だと主張しています。
DSM-IV-TRには非常に短いけどAGに関する記載がGIDのtextの部分にあります。
結局,ベイリーや美亜さんのようなへそ曲がりでない限り,SRSは正当な医療と思えます。
それらに関するより広汎な歴史的記述は,パトリック・カリフィアの「セックス・チェンジ」が参考になります。

MTFAGMTFAG 2007/08/31 09:35 azami様
いろいろありがとうございます。
実は私がまだGIDの診断か確定する前、過去にここ?で紹介されたアン・ローレンスの論文を持ってジェンダークリニックで自分の違和感を説明したことがあります。
本旨からはずれますが、私はautogynephiliaは、通常の女性の性嗜好と大きな違いはないのではないかと思っています。例えば、MTFレズビアンと公言していた方が、SRS後性指向が男性に変わるなど、「性自認」とか「違和感」というものは、単純でないと思います。ただし、それがとらえようによってはパラフィリアになることもよく理解できます。
 私は、移行後の満足感とか幸福感は、違和感の質や強度という要因には依存しないような気がします。現にAGの私が、まだ移行後の期間は短いですが、想像した以上の満足感・幸福感を得ています。
 いったい何が移行後の幸不幸を決定するのかについては、もしかしたらazamiさんの紹介してくださった論文や著作に書いているかもしれないので、機会があったら読んでみます。

noraneko7noraneko7 2007/09/01 09:26 sarabandeさま

いや、ベイリーの主張は、「MtF」には、いわゆる「ニューハーフ」と上川あやさん的なのしか存在しないということで、それとは直感的に違うなどと主張する存在は、ウソツキだということだよ。
これ読んで、スッキリされても困る。

>MTFAG

アン・ローレンスが秦郁彦だったのか(^^)

sarabandesarabande 2007/09/01 20:16 noraneko7さま

できればもう少し分かり易くお願い致します

noraneko7noraneko7 2007/09/02 17:50 >sarabande

ハンバーガー、ベンジャミン、マネーなど→ 性同一性障害はジェンダーアイデンティティの問題で、同性愛とかパラフィリアとは違う。性転換手術は、○性の魂をもつ人間を本来の性に戻すための手術で正当。

ベイリー → 性同一性障害で知られている現象は、実は売春目的の同性愛者とパラフィリアの人間が引き起こしている。マネーなどが主張するジェンダーアイデンティティの問題(○性の魂をもつ人間を本来の性に戻す)は性転換手術を正当化するための虚構のイデオロギーに過ぎず。そういう主張をする当事者はすべてウソつきである。性転換手術は不当な医療である。

アン・ローレンス → 性同一性障害者と診断されている人々の中には同性愛者やパラフィリアと思わせれる傾向をもっている人も少なからず存在する。マネーなどが主張するジェンダーアイデンティティの問題(○性の魂をもつ人間を本来の性に戻す)は、当時、性転換手術を正当化するために必要だった極端なイデオロギーだとも思える。しかし、何が性同一性障害の原因であれ、性転換手術が本人のQRLの向上に寄与している以上、性転換手術は正当な医療である。

本多勝一→日本軍は中国人を差別しており、人種差別的感情と暴力的な欲望から、南京で大虐殺を行ない。20万を越す人たちを虐殺した。

東中野修道→日本軍の意図したのは、便衣兵(ゲリラ兵)の掃討と捕虜の反乱防止であり、結果的に便衣兵と疑われた一般市民や、反乱を起こしそうな捕虜を処刑したこともあったが、これは正当な戦闘行為の延長線上にあることで虐殺ではない。米軍の原爆投下が正当であるのと同じである。本多勝一らの言う、南京での虐殺というのは、中共の反日プロパガンダである。

秦郁彦→日本軍の意図したのは、便衣兵(ゲリラ兵)の掃討と捕虜の反乱防止であったが、結果的に便衣兵と疑われた一般市民を裁判抜きで処刑したり、反乱を起こすかもしれないからという理由で捕虜を処刑したししていたわけだから、これは「虐殺」であると非難されても仕方がない。米軍の原爆投下が不当であるのと同じである。
本多勝一らの主張には、中共の反日プロパガンダによる被害者の水増しや誇張宣伝が行なわれているが、おそらく当時の資料などを検討すると8万人ぐらいの犠牲者があったのではないかと推定される。

sarabandesarabande 2007/09/02 18:32 >>noraneko7さま
詳しい解説、有り難うございました。

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