米クアルコム:シャープへ100億円出資検討
毎日新聞 2012年11月14日 15時01分
経営再建中のシャープが、米国の通信技術大手、クアルコム社から約100億円の出資を受ける方向で調整していることが14日、分かった。シャープは半導体世界最大手の米インテルからも300億〜400億円の出資を受ける方向で調整しており、早ければ今月中にも両社からの出資合意を取り付け、財務体質の改善を急ぐ。
クアルコムは市場が急拡大するスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末(多機能携帯端末)向けの通信制御用半導体に強く、インテルはパソコン向け半導体で圧倒的なシェアを誇る。シャープは両社の半導体を使ったスマホや超薄型ノートパソコン「ウルトラブック」に、独自の中小型液晶パネル「IGZO(イグゾー)」を供給して工場稼働率を高める方針で、出資受け入れで関係緊密化も図る。
シャープは高精細で省電力性能に優れたIGZOの販売拡大を経営再建の柱に位置づけており、両社以外にも中国の聯想(レノボ)や米デル、ヒューレット・パッカード(HP)など、大手パソコンメーカーとIGZOの長期供給契約を目指して交渉を進めている。
シャープは12年3月期に3760億円の最終(当期)赤字を計上し、13年3月期も4500億円の最終赤字見通しとなるなど、業績が悪化。今年3月、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業から約669億円の出資を受けることで合意したが、シャープの株価急落で交渉が難航している。経営再建のためには資本増強が必要で、シャープは新たな出資企業を探していた。【鈴木一也】