再生の原風景 渡良瀬
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【経済】コンビニ 地域密着に壁 年中無休、高い経営指導料2012年11月13日 07時12分 東日本大震災後には、地域の生活を支えるコンビニエンスストアの役割が見直された。その陰で、地元商店街との関係を築けずに苦悩するコンビニ加盟店の経営者たちがいる。本部へのロイヤルティー(経営指導料)の負担が重く、休みも取りづらいため、地元恒例の行事への参加や祭礼費の支払いが難しい現状がある。 (伊東浩一) 東京都大田区の神社で六月にあった例大祭。地元の町会副会長の宅明(たくみょう)伸支郎さん(74)は奉納金を集めた際、大手コンビニの店舗が二百円しか出さなかったことにあきれた。 金額は任意だが、商店主は三千〜五千円を払う慣例だからだ。「売り上げが厳しい個人商店でも協力するのに、コンビニは地域抜きでやっていくつもりか」と首をひねった。 「奉納金を二百円しか出さなかったオーナーの気持ちは理解できる」。神奈川県内の大手コンビニ加盟店の男性経営者(44)は話す。自身は子どもに障害があり、支えてもらっている地域では活動や協力金を惜しまない。だが、「経営が軌道に乗るまでは、たとえ三千円の祭礼費でも自腹で払うのはきつかった」という。 大手コンビニの仕組みでは、売上高から商品仕入れ値を引いた粗利益の三〜七割をロイヤルティーとして本部に払わなければならない。人件費、光熱費、売れ残った商品の損失なども差し引くと、経営者の手元に残るのは売上高の2〜5%程度だ。 男性は開業から五年間、年商二億円に対して年収は四百万円台だった。「当時、銀行から借金し、ギリギリで経営していた。社会貢献の余裕はないと思う」と話す。 また、千葉県内のコンビニの経営者(56)は「盆踊りや体育行事に参加したいが、体の負担を考えるととても無理」と打ち明ける。客の苦情などに対応するため、毎日二十四時間、夫婦どちらかが店に詰めていなければならない。 地域に溶け込みたいと願うコンビニ経営者ばかりではない。野村総合研究所の調査では、半数が「メリットがあるなら」などの消極派だった。縁のない土地に出店したり、異業種から参入するコンビニ経営者が増え、地域への思い入れや商習慣の認識が低いともいわれる。 増え続けるコンビニは地域に役立っているのか−。不満は各地でくすぶる。経済産業省が二〇〇九年にまとめた報告書は、コンビニの商店会加入率は二割強で、周りの商店から「商店街の努力にただ乗りしている」との声が上がっていると指摘した。 これに対し、大手コンビニ各社の担当者は「地域に根差した活動は今後ますます重要になり、経営者らにも指導している」と口をそろえる。実際、子どもが不審者に遭った際の「駆け込み寺」や、過疎地で移動販売車を走らせるといった地域貢献の実績がある。 ただ、祭礼費の支払いや懇親会への参加などは、経営者それぞれが判断し、費用も自己負担という。 浜松学院大の佐藤克昭教授(地域経済)は「飽和状態のコンビニが発展するカギは地域密着。無駄のように見えても本部は経営者の地域活動を支援し、顔が見える経営をすることが店のファン獲得につながる」と提言する。 ■投書に反響相次ぐ 「規制緩和で商店の危機」。六月下旬の本紙発言欄に載った東京都内の男性(70)の投書に読者の反響が相次いだ。本文にも登場する大田区の自営業、宅明伸支郎さんは七月十一日、「コンビニも町の一員」になってほしいと投稿。町内の祭りの奉納金で「地域の人たちをお客さんにしているコンビニ店が(少額の)二百円とは理不尽ではありませんか。個人商店のやっかみでしょうか」と意見を寄せた。 (東京新聞) PR情報
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