米議会諮問委、中国のサイバースパイ行為の調査など議会に勧告
[ワシントン 14日 ロイター] 米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会は14日、議会への年次報告書で、中国によるサイバースパイ行為に関する徹底した調査を行い、産業スパイ活動から利益を得ている企業への罰則を強化すべきと勧告した。
超党派議員からなる同委員会は、中国が「サイバー空間で最も脅威的な主体」となったと懸念を表明。ここ1年の中国のサイバースパイ活動で最も注目すべき傾向として「巧妙化」を指摘し、一例として従来のパスワードに加えてセキュリティトークンを本人確認に利用する「二要素認証」を突破する動きを挙げた。
これとは別に、委員会は報告書で米国防省の予測を引用し、中国政府が核兵器の近代化と拡充を進めるなかで2年以内に核弾頭を装備した弾道ミサイルを潜水艦に搭載するとみられると指摘。議会は、現在および将来の核兵器管理の取り組みに中国を参加させるための道筋を明確にするよう国務省に求めるべき、と述べた。
委員会はさらに、米国の多くの団体が巧妙化する中国のサイバースパイ活動にうまく対応できていないと指摘。「さまざまな中国人ハッカーが政治、経済、安全保障上の目的に近づくために盗んだ情報を利用している」と述べた。
こうした事態に対応するため、議会の各委員会は中国によるサイバースパイ行為とその影響について徹底した調査を行い、その結果を機密扱いせずに公表すべき、と要請。また、産業スパイ活動に関与あるいはそこから利益を得る企業に対する現行法上の罰則を見直すべき、と勧告した。
報告書には米中の問題で議会に行動を求める32の勧告が盛り込まれた。
報告書は中国共産党党大会の前に書かれており、指導部の交代については分析していない。
在ワシントン中国大使館の報道官は委員会の勧告に反応していない。
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