次期衆院選の争点に浮上している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加問題について、枝野幸男経済産業相は13日の閣議後会見で、カンボジアで18日から開かれる東アジアサミットの機会に、野田佳彦首相がTPP参加を表明するのは難しいとの認識を示した。
TPPをめぐっては、参加国による実務レベルの会合が12日、メキシコで始まり、同国とカナダが初めて正式メンバー国として加わった。日本は昨年11月、両国と同時に交渉参加の意向を表明しながら、今も結論を出せず出遅れが鮮明となった。
枝野経産相は、TPP交渉への参加について「関係国との協議や国内のさまざな調整がある」と説明したうえで、「少なくとも数日、数週間単位で何か新たな判断ができるような状況ではない」と述べた。
TPP参加国の実務レベルの協議は定期的に行われており、政府は「交渉参加が遅れれば、結果的に日本により不利な条件が押しつけられる」(経産省)などとして、交渉の早期参加を目指してきた。米国では、TPPを推進するオバマ大統領の再選が決まり、野田首相が東アジアサミットで参加表明するとの見方もあった。
だが国内では、超党派の議員が15日に緊急集会を開き、サミットでの参加表明に反対する決議を行うことを予定するなど、TPP参加への異論が根強い。民主党内の反対派との調整に手間取れば、参加表明の時期はさらに延びかねない。