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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】まど☆マギお金事情 鈴木敏夫もプール付きの家に住んでない 第8号

2012-11-12 12:00:00配信 コメント : 0
タグ: 岡田斗司夫  岡田斗司夫ゼミ  ニコ生岡田斗司夫  FREEex  まどか☆マギカ  まどマギ  魔法少女まどか☆マギカ 

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 岡田斗司夫のニコ生では言えない話 第8号 2012/11/12
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【ニコ生岡田斗司夫ゼミ】「まどか☆マギカ劇場版」を金払って観たから言いたいこと言うよ!
【今週の書き起こし】「まどか☆マギカ劇場版」感想番組 全文書き起こし
【新着映像】ニコ生実況!『新世紀エヴァンゲリオン』第1話~第3話 他

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◆【ニコ生岡田斗司夫ゼミ】「まどか☆マギカ劇場版」を金払って観たから言いたいこと言うよ!
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「魔法少女まどか☆マギカ」劇場版を岡田斗司夫が観た、だと……!?

先日ニコニコの口車にまんまと乗っかり、話題の映画「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語」を視聴するはめになった岡田斗司夫氏。
風邪気味の体に鞭を打ちながら観た「まどか☆マギカ」に岡田氏は何を思ったのか? 何を感じたのか?

【ご案内】21時~22時まで限定で当記事を公開させていただきます

※21:00~22:00時の1時間公開いたします。
 表示が20:58~と2分ずれていますが、システム時間表示との差のようです。
 ONタイムで公開させていただきました。

▼限定公開ページはこちら
http://ch.nicovideo.jp/article/ar16077?key=b0ec271c6a87b30db898010f2f54df7a4732a013dee24e4e5a6781ac824918ad

11月12日に「ニコニコニュース」で、この記事を取り上げていただきました。
まどか☆マギカ劇場版前後編が「テレビの総集編」になった理由
http://news.nicovideo.jp/watch/nw427346

Twitterで千件ほどコメントをいただき、はてなブックマークでも多くの方に取り上げていただいています。ありがとうございます。
しかしながら『まどか☆マギカ劇場版』について解説する当番組の主題は、受け手(ぼくら)の『まどか☆マギカ』。

解説番組の後半には、たくさんのキーワードが出てきます。
その解説の一部をご紹介すると……

・係長としてのキュウベエが知っていること。
・イエス・キリストと同じく、概念になる物語。
・ほむらがこの世界の中で、全うした役割とは。
・なんで僕らは女の子に自分達を仮託しているのだろうか。
・劇場版新作に期待すること。

ニコ生ゼミ特番の動画をご覧いただければ、解説の全てをご覧いただけます。
http://www.nicovideo.jp/watch/1351085005

しかし、映像は1時間あります。そこで当記事を公開することにいたしました。

有料のブロマガ会員の皆様には、1時間だけ一般公開させていただきますこと、そして、一般の方に『まどか☆マギカ』解説の全体像を知っていただいた上で議論していただきたいという願いにつきまして、ぜひご理解ご了承ください。

※1時間の公開は、掲載内容の閲覧となり、メール受信・EPUBダウンロードはブロマガ会員様だけの特典です。

引き続き『まどか☆マギカ』について、そして、アニメーション作品の受け手としてどう語るかについて、この記事を発想のヒントにしていただければと思います。

(以下、S田さんの記事に戻ります。)

というわけで今号は、10月22日(月)放送『岡田斗司夫の「まどか☆マギカ劇場版」を金払って観たから言いたいこと言うよ!』から、運営S田(助田)がおすすめするハイライトを紹介します。

都内某所の劇場からスタジオに移動、到着した岡田氏の口から開口一番飛び出した話題は「劇場版アニメビジネス」についてでした……。

岡田:最初に劇場版の感想から言います。面白いよ。当たり前だけど。それはなぜかというとテレビとまったく同じだから。
(「違うよ」というコメントを見て)ちょっと違う? そのちょっとなんて、もうね、限定品でここの色が違いますよくらいの差なんだよ。もう俺くらいの年齢になったら、「ここ、これがちょっと違いますよね」と言われてもかげんにせえというようなもんで、最後に1分くらいする新作の予告編が付いてくるわけだけど、それを観に行くようなもんかなとも思ったんだけど……。
まあ、全話まとめてでかいスクリーンで観るのはいいよね。
(「新作の資金稼ぎか」というコメントを観て)……いやいや、違うんだよ。
あのね、劇場で「まどか」の新作を作ろうと思ったら「テレビ版の再編集を劇場でやるしかない」っていう、まずこの仕組みから説明しようか

資金集めとかじゃない。資金的にはね、うーん……、プリントって言うんだけど、映画用の35ミリフィルムを作って、全国の劇場に配って、宣伝費掛けて、今日くらいの(客の)入りだったら、多分プラスマイナスでとんとんだと思うんだよね。

(「グッズで稼いでるだろ」というコメントを見て) ……うーん、グッズで稼いでいても、そんなに稼げるもんじゃない。あの、ガンダム劇場版って(コメントを)書いている人いるけど、それもそうなんだよ。
つまり、なんでアニメって劇場版つくるのが大変なのかっていうと、日テレが押している……例えば、細田(守)監督とか、ジブリ作品だったら、いきなり劇場でかけられるんだよ。それはなぜかっていうと、宣伝費が掛かんないからだよな、宣伝費が。
日本テレビが、自社のタイアップ枠ってやつで、バンバンバンバンやってくれるからほぼ無料で(宣伝が)出来るんだ。
宣伝費が実は映画の制作費で一番大きいんだよ。一番大きいというか、いくらでも掛かっちゃうもんだから。だからアニメ自体は2時間のアニメだったら、正直5億円とか6億円くらいしか掛かんなくて、それ以上の予算をどうやって掛けるの?って話なんだけども、それをどうやってリクープ(回収)するのか、何が難しいかっていうと、宣伝費で簡単に10億円くらいいっちゃって、総予算15億円くらいになっちゃうんだよな。

で、「まどか☆マギカ」の場合は総集編ということで前編後編を劇場でかけたじゃん。
そうしたら、これが儲かろうが儲かるまいが実はどっちでも良いんだ。それよりも劇場にちゃんと人が来るというふうに、興行筋っていうのかな、映画館ビジネスやっている人たちに実績が残せたって事がすごい大事なの。そうすると新作の映画作ってもいいよって話になるんだよ。
その実績がないと、僕らファンがいくら「まどか☆マギカ」が面白いって言っていても、テレビシリーズで視聴率をそんなに獲れたわけじゃないじゃん、正直。
DVDもめちゃくちゃ売れた訳じゃないんだよ。そうなると他の劇場の作品って、正直こんな話したくないけどさ、アニメって格がいわゆる劇場の映画に比べて3つくらい下なんだよ。有名な俳優さんが出ているわけでもないし。

なんだろうな、アニメのプロデューサーで良い生活している人いないじゃん。こんなこと言うのはなんだけど、鈴木敏夫ですらプール付きの家には住んでいない。でも実写の映画だったら業界の上の方に食い込んでいるとか、テレビ局の上の方に食い込んでいるとか、そういうのは一杯あってさ。だから作っている映画がつまんなくても、宣伝は簡単に出来たりする。吉永小百合が出るといったら、それだけで日本中のテレビ局が一応宣伝番組を作ってくれんだよな、無料で。

ジブリがさ、声優をあんまり使わないのにも理由があって、声優を普通の俳優さんというかアイドル系のタレントも含めてやっちゃうと、そしたらワイドショーでそのタレントさん呼んでくれるじゃん。
その時に新作映画の告知ですってやってくれるから、あれで何億円もお金使わなくて済むんだよな。だからジブリ鈴木敏夫のやり方ってすごくクレバーではある。
でも「まどか☆マギカ」さ、それをやってないじゃん。声優に詳しくない俺がスタッフリストを見たら、聞いた事もない名前がダーッと出てくるんだよ。
あ、まどかの声ってこの人なのー、ほむらの声ってこの人なのーって、聞いた事もねえなっていう。普通のおじさんが見たら、そう思うような名前ばっかり出てくる。あれやらなきゃ、ほんと言えば、もっと宣伝費は助かるんだよね。で、制作者側としてはそんなことやりたくなかったので、ちゃんと作りたい。
じゃあ、テレビ版の再編集だけでも人が入りますって証拠を見せたかった、見せなきゃいけなかったんだろうな
そういうわけで、劇場版というのはテレビの再編集になっちゃった。そう思うわけです。

ちなみに、劇場版の出来としては、あの……出来というのは「ナイ」な。
テレビ(版を)くっ付けただけだからで。で、だけじゃないよ、準新作だ!と言う人もいるかもしれないけど、俺にはあんまり見分けがつかなかったし、歌も付いているんだけど、歌もどうでもいいよな。俺はもう、エンディングの歌を飛ばして、早いところ予告編を見せてと思っちゃったから。
(コメントより)「ファンなら行くべきですかね」いや、ファンならそりゃ行くべきだろうけども、それ言い出すとなんでもそうだから。
まああの、なんにでも僕たちはお布施を払わなきゃいけないし、それが果たして意味があるのかどうかって言うのは、30歳越えた時、40歳越えた時に振り返って、あれはやっぱり良かったなっていうのと同じであって。
「まどか☆マギカ」に行って「総集編じゃん、騙された!」って思うのは、やっぱり付き合っていた女の子のそんな所を見て、お前そんな女だと思わなかったー!っていうのと同じでさ。「でも、好き」っていうのがあるからこそ「俺たちはそんな女だと思わなかったー!」って言う訳だからさ、まぁいいと思うんだけどね。


 (企画・編集:ドワンゴ 助田徹臣)

岡田斗司夫の「まどか☆マギカ劇場版」を金払って観たから言いたいこと言うよ!


http://www.nicovideo.jp/watch/1351085005


◆【今週の書き起こし】「まどか☆マギカ劇場版」感想番組10月22日放送 全文書き起こし
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岡田斗司夫の「まどか☆マギカ劇場版」を金払って観たから言いたいこと言うよ!
▼ニコ生ゼミ音声データ(mp3/01:00:00)
http://xfs.jp/bChXR
上記URLより音声をダウンロードしていただけます。

運営S田×岡田斗司夫の楽屋トーク
「まどか☆マギカ延長戦とエヴァ実況公開オファー!?」
▼ニコ生ゼミ延長戦音声データ(mp3/37: 10)
 http://xfs.jp/zdBjX
上記URLより音声をダウンロードしていただけます。

▼ニコ生ゼミの書き起こしテキスト

【00:00】※音声データの時間です。

こんばんは、岡田斗司夫です。
劇場版「まどか☆マギカ」をですね、つい何分前? 40分前かな? 45分くらい前に見てまいりました。
で、その感想を頭の中で、こう……たぷんたぷん状態にしてここに座っております。

「風邪は大丈夫?」というコメントありがとうございます。
あの、風邪引きで。昨日名古屋に行ってたんですけど、名古屋に一泊で行ったらですね、風邪をもらってしまいまして。劇場では人に移さないように、こうマスクをしてですね。おまけに誰もいない席に移動して観ていました。
まあ、でも誰もいない席と言っても、ほとんどが誰もいない劇場だったんですけど、大丈夫かなと思って。まあでも、入ってるのかな? S田さん、「まど☆マギ」って入ってるの?

S田「まあ、入ってると伺っています」

そうだね、ある程度入ってるはずだから、大丈夫なはずですけども。
ここに山ほど積んであるホームパイは俺に食えという事なんですけど、さすがにこの時間にこんなのを食うと胃もたれがするので、こっちにじゃがりこを……こうちょっと置いて時々ポリポリ食べるかもわかりません。

はい、で、まず、みんな観た? 大丈夫? 今日、全開で行って大丈夫なの?
例えば、これでネタバレするなと言われたら……俺、今日何しに来たのかよく分かんないんだけども。
はい、で、(コメントより)「アニメだけみた」「みてません」……あのね、観てなくてもテレビ版を観てたら大丈夫だけど、テレビ版も何も観てない状態で俺の話を聞くとかなり予断が(入るよ)。劇場版がまだ(観ていない)という人は別に大丈夫だと思うんだけどな。

最初に劇場版の感想から言います。面白いよ。当たり前だけど。それはなぜかというと、テレビとまったく同じだから。
(「違うよ」というコメントを見て)ちょっと違う? そのちょっとなんてね、もうね、限定品でここの色が違いますよくらいの差なんだよ。もう俺くらいの年齢になったら、「ここ、これがちょっと違いますよね」と言われても、ええ加減にせえというようなもんで。最後に1分くらい来年の新作の予告編が付いているんだけど、それを観に行くようなもんかなとも思ったんだけど……。
まあ、全話まとめて、でかいスクリーンで観るのはいいよね。
(コメントより)「じゃあみなくていいかな」うーん、じゃあ観なくていいかなー?
「新作の資金稼ぎか」……いやいや、違うんだよ。
あのね、劇場で「まどか」の新作を作ろうと思ったら「テレビ版の再編集を劇場でやるしかない」っていう、まずこの仕組みから説明しようか。

資金集めとかじゃない。資金的にはね、うーん……、プリントって言うんだけど、映画用の35ミリフィルムを作って、全国の劇場に配って、宣伝費掛けて、今日くらいの(客の)入りだったら、多分プラスマイナスとんとんだと思うんだよね。
(コメントより)「グッズで稼いでるだろ」……うーん、グッズで稼いでいても、そんなに稼げるもんじゃない。あの、ガンダム劇場版って(コメントを)書いている人がいるけど、それもそうなんだよ。
つまり、なんでアニメって劇場版つくるのが大変なのかっていうと、日テレが押している……例えば、細田(守)監督とか、ジブリ作品だったら、いきなり劇場でかけられるんだよ。それはなぜかっていうと、宣伝費が掛かんないからだよな、宣伝費が。
日本テレビが、自社のタイアップ枠ってやつで、バンバンバンバンやってくれるからほぼ無料で(宣伝が)出来るんだ。
宣伝費が実は映画の制作費で一番大きいんだよ。一番大きいというか、いくらでも掛かっちゃうもんだから。だからアニメ自体は2時間のアニメだったら、正直5億円とか6億円くらいしか掛かんなくて、それ以上の予算をどうやって掛けるの?って話なんだけども、それをどうやってリクープ(回収)するのか、何が難しいかっていうと、宣伝費で簡単に10億円くらいいっちゃって、総予算15億円くらいになっちゃうんだよな。

で、「まどか☆マギカ」の場合は総集編ということで前編後編を劇場でかけたじゃん。
そうしたら、これが儲かろうが儲かるまいが実はどっちでも良いんだ、それよりも劇場にちゃんと人が来るというふうに、興行筋っていうのかな、映画館ビジネスをやっている人たちに実績が残せたってことがすごく大事なの。そうすると新作の映画を作ってもいいよって話になるんだよ。
その実績がないと、僕らファンがいくら「まどか☆マギカ」が面白いって言っていても、テレビシリーズで視聴率をそんなに獲れたわけじゃないじゃん、正直。
DVDもめちゃくちゃ売れた訳じゃないんだよ。そうなると他の劇場の作品って、正直こんな話したくないけどさ、アニメって格がいわゆる劇場の映画に比べて3つくらい下なんだよ。有名な俳優さんが出ているわけでもないし。

なんだろうな、アニメのプロデューサーで良い生活している人いないじゃん。こんなこと言うのはなんだけど、鈴木敏夫ですらプール付きの家には住んでいない。でも実写の映画だったら、業界の上の方に食い込んでいるとか、テレビ局の上の方に食い込んでいるとか、そういうのは一杯あってさ。だから作っている映画がつまんなくても、宣伝は簡単に出来たりする。吉永小百合が出るといったら、それだけで日本中のテレビ局が一応宣伝番組を作ってくれるんだよな、無料で。

ジブリがさ、声優をあんまり使わないのにも理由があって。声優を普通の俳優さんというかアイドル系のタレントも含めてやっちゃうと、そしたらワイドショーでそのタレントさん呼んでくれるじゃん。
その時に新作映画の告知ですってやってくれるから、あれで何億円もお金使わなくて済むんだよな。だからジブリの鈴木敏夫のやり方ってすごくクレバーではある。
でも「まどか☆マギカ」さ、それをやってないじゃん。声優に詳しくない俺がスタッフリストを見たら、聞いた事もない名前がダーッと出てくるんだよ。
あ、まどかの声ってこの人なのー、ほむらの声ってこの人なのーって、聞いた事もねえなっていう。普通のおじさんが見たら、そう思うような名前ばっかり出てくる。あれやらなきゃ、ほんと言えば、もっと宣伝費は助かるんだよね。で、制作者側としてはそんなことやりたくなかったので、ちゃんと作りたい。
じゃあ、テレビ版の再編集だけでも人が入りますって証拠を見せたかった、見せなきゃいけなかったんだろうな。
そういうわけで、劇場版というのはテレビの再編集になっちゃった。そう思うわけです。

そういえば新作はー来年の秋くらいなの?

S田「秋くらい」

秋くらいと聞いてるね。はい、まあ、楽しみは楽しみなんだけどもどんな風に作るだろうかっていうのは、まあ、この番組の後半ぐらいにとっておきましょうか。
いまね、9時から始まって一応10時くらいまでで俺の体力が限界に来るから1時間で済ませるな。

【06:48】

さて、なんの話しようかな。劇場版の出来としては、あの……出来というのは「ナイ」な。
テレビ(版を)くっ付けただけだからで。で、だけじゃないよ、準新作だ!と言う人もいるかもしれないけど、俺にはあんまり見分けがつかなかったし、歌も付いているんだけど、歌もどうでもいいよな。俺はもう、エンディングの歌を飛ばして、早いところ予告編を見せてと思っちゃったから。
(コメントより)「ファンなら行くべきですかね」いや、ファンならそりゃ行くべきだろうけども、それ言い出すとなんでもそうだから。
まああの、なんにでも僕たちはお布施を払わなきゃいけないし、それが果たして意味があるのかどうかって言うのは、30歳越えた時、40歳越えた時に振り返って、あれはやっぱり良かったなっていうのと同じであって。
「まどか☆マギカ」に行って「総集編じゃん、騙された!」って思うのは、やっぱり付き合っていた女の子のそんな所を見て、お前そんな女だと思わなかったー!って言うのと同じでさ。「でも、好き」っていうのがあるからこそ「俺たちはそんな女だと思わなかったー!」って言う訳だからさ、まぁいいと思うんだけどね。

あ、新オープニング、え? オープニング新作だったの!? 俺知らなかったよ、そんな、分かんない。
あ、「流血シーンとか増やされた」……増やされていたんだろうね。テレビ版でもできなかった時代だからね。
(コメントより)「一体何をみてたんだ」……一体何を観ていた……いや、だから、君らみたいに熱心に観てないんだって。言い方が悪いけど、映画として観ているというかなんだろうな。熱心に観てなかったっていったら嘘があるけどな。

で、今日は、どういう風に「まどか☆マギカ」を観ていたのかっていうのを(ホワイトボードにメモを書きながら)一応アニメ、ストーリーとしてと。あと、作り手が何を作ろうとしていたのかというのと、あと、受け手、これは僕らだよね。
どう見るのかって話と、あと比べたらどうなのか、それから新作。うん、これは来年のやつだよな。ざっとこんな感じで話していこうと思います。

というのはね、たぶん作品を語る時って、これらを全部混ぜて書いちゃうんだよね。
例えば、お話としてどうかとか、キャラクターがどうかという時は、アニメ、ストーリーを語っているわけだ。
その次に、スタッフが何をしようとしたのかとか。ああ、あのシーン頑張っていたよねっていうふうに、例えば僕が上から目線で言う時は、もう作り手を語っているわけだ。僕らはどう受け取って、どういうふうに解釈しているのかは、実はもう別の話なんだよな。
例えば、「まどか☆マギカ」と似ているとは言わないんだけどさ。ものすごい昔、もう30年以上昔に、日本SF界で小松左京っていう人がいたんだよ。その人が『ゴルディアスの結び目』っていう短編小説を書いたんだ。これがね、心理学と物理現象を混ぜた最初のSFだったと思う。短編小説だ。

ゴルディアスの結び目っていうのはギリシャ神話に出てくる、固く作られた結び目で、どうやってもほどけないものっていうやつなんだ。
で、舞台はドイツの精神病院で、そこに一人のものすごい美少女が閉じ込められているっていうか、治療のために幽閉されていると。主人公は日本人で、そこに呼ばれて彼女をなんだろうな……心の中に潜るセンサーみたいなものを繋いで、彼女がなんで心を閉じているのかというのを調べようとするんだけど、だんだんだんだん、その彼女が置かれている状況がヒドいことが分かってくるという話なんだ。
で、クライマックスは、その彼女が全てに絶望して、ブラックホールが出来てしまう。つまりゴルディアスの結び目っていうのは、人間の絶望感と希望が失われたものが、なんだろうな……心の特異点が物理的な特異点にまで繋がってしまって、周囲の建物全体をグワーと崩しながら消えてしまうというような話なんだ。
その彼女は、じゃあどうなるのかというと、時が止まっちゃうわけだね。ブラックホールになるわけだから、物理現象が止まっちゃって、そこで永遠に絶望しているんだろうなっていう……ものすごい救いようがない話なんだよ。
この『ゴルディアスの結び目』って、みんな知らなかったでしょ?
知らないのが当たり前で、1970年代の日本のSFっていうのは、こういうものが一杯あったんだ。
で、この話をするのはなんでかって言うとさ、これって、このアニメは実はこの話を元にしたって話でもないんだよ。
たぶん、スタッフは若いから、『ゴルディアスの結び目』なんて、見たことも読んだことも無いと思う。だから話には関係無い、作り手には関係無い。受け手として、僕はそれを思い出して、今みんなに話しているって……これ、受け手レベルの話なんだ。

次に、他の作品と比べてどうだろうか。例えば、もうすぐエヴァの新作があるじゃない。
じゃあ、エヴァと「まどか☆マギカ」の差はなんなんだろう、っていう話もできる。
最後には、来年の新作はどういうふうに作れるんだろう、だよな。まだ作っている最中だから、……噂によると、良いアイディア思いついたから続編やるっていうふうに決めたらしいけども、その、良いアイディアとはなんだろうか。
で、まだ今だったら間に合うだろうから、まあ、俺らはここでもっと良いアイディア出して、スタッフの助けになろうかな、というのが今回の放送の題目みたいなもんです。

【12:12】

さあ、どっから話そうかな。
(コメントより)「(新作のアイデア)もう間に合わないでしょ」……いや、間に合うね。
だいたい来年公開だろ? 来年公開ってことは、まだ小屋(劇場)を押さえていないってことだよ。
来年の10月、11月公開で、日本の劇場を押さえられるはずがないから。小屋を押さえるってさ、他に来年の10月~11月に、日本映画でどんなのが来るのかとか、洋画でどんなのが来るのかのラインナップが決まって、スケジュールが決まるのが……来年の3月なんだ。
だから、来年の3月までは不確定だと思う。で、スタッフが今から変にやる気出しちゃったら、作画も伸びるから……再来年の4月ってあり得ると思うんだよ。
ところが、それに対する反論材料として、これ、制作委員会形式だろうから、いろんなところが出資しているよね、で、出資している会社ごとの決算期が違うから、「いやいや、ちょっと待って下さい」っと。
ちゃんと10月には劇場版を出して、12月とか1月には最初のブルーレイを出して、リクープ(回収)が始まらないと我が社は決算期に困りますっていう話が、きっとあるんだろうなとか思って。でも、それは全く関係無い話だよね。
だから、今の話だって、これを見ている人が学生の立場か、社会人の立場か、それとも、経理部とかやったことがあるかとか、ちっちゃい会社を経営しているかとか、お店をやった事あるとかで、今の話の生々しさとか、あるあるって感じが全く違うから……それを今、もうごった混ぜで語っていくな。

さて、お話としてはどうだったんだろうな。
うーんとねえ、観た時に、これは他のアニメと比べての話になっちゃうんだけども、「エヴァンゲリオン」と比べてどうなんだろうって話にね、映画館からスタジオに来る途中に、うちのメンバーの監督のヒロキっていう……これは本当に映像の監督、本職でやってる人間だけど、話していたんだよ。
で、「まどか☆マギカ」は芝居場を作って、そこでせりふで語るって話をしていたんだよ。
芝居場って何かというと、なんだろうな……キャラクターがものすごく良いことを言いそうな瞬間のことなんだよな。それを作るのがすごく上手いんだけども、「まどか☆マギカ」って芝居場を作った時に、必ず引きの絵、ロングの絵になってデザインっぽい処理をするんだよ。
で、それは、ちょい逃げだよねっていう話をしていたんだ。で、「エヴァ」はその辺、正々堂々としているっていうか。
その「まどか☆マギカ」がテレビアニメっぽいのに比べて、「エヴァンゲリオン」ってアニメ映画っぽいっていうのかな。映像で語ろうとしちゃうんだ。
だから、(エヴァは)せりふが芝居場のクライマックスに来ずに、芝居を映像で見せようとしているんだけど、「まどか☆マギカ」はせりふで見せようとしている。
これは映画を作ろうとしている人間からすると、逃げとも言えるんだけども、その代わりどんな良いことがあるのかっていうと、伝わる……、物を作る人間から伝えようとする時の確実度が格段に違うんだよ。
「エヴァ」って、解釈の幅があるじゃん。あれはなんでかっていうと、作っている人間が本当は何を言いたいのかよく分かんないし、せりふもそれ勝手に思い込んでせりふを作っている。
だから、アスカとかレイとかシンジが言っているのは、それぞれのキャラクターが思い込んでせりふを言っているだけだから。

俺らは頭の中で総合して、映像と(せりふを)総合して、何を言おうとしているのかっていうのを作らなきゃいけないんだけども、「まどか☆マギカ」はポイントポイントで、まぁ丁寧に、せりふでドーンと言ってくれるんだ、だからブレが無いの。
「まどか☆マギカ」は泣けるんだよ。ここは最大の差。「エヴァ」って泣けないんだよな。
エヴァって、観て泣いている人は多いんだけども、泣いてる人は泣いてる理由がちゃんと言えないんだよ。でも、「まどか☆マギカ」の泣ける理由っていうのは、泣いている理由がきちんと言えるんだよな。で、それは『おおかみこどもの雨と雪』と同じで、俺はあまり好きじゃないんだよな
映画なんだから、もっと意味不明の……泣かせるんだったら、意味不明の泣かせをしろよって思うんだけども。
そうやればやるほど、なんかね、伝わんなくなっちゃうんだよね、この映画なんなのか。
で、「まどか☆マギカ」っていうのは、なんだろ、そこら辺は、ちゃんと観ている人に思いを伝えたいっていう、まあ「芸術と娯楽」っていうふうに、今コメントでフォローしてくれている人がいるんだけども。
エヴァが芸術の方に寄っちゃった作品だとすれば、多分ね、(エヴァの)劇場版ね、更に(芸術に)寄っていって、更にね泣けない話になってる。だからエヴァって、観たらショックを受ける映画なんだよ。
で、「まどか☆マギカ」って実に良い涙が出せる(作品)になっちゃって、その分、なんだろうな……泣きたい人にはすごく良いよね。
俺みたいにもう(ストーリーを)知っていて、こんな感想を持っている人間ですら、今日、劇場版を観て、不覚にも3回くらい目頭が熱くなって。「いかん、いかん、いかん。いい加減にしろ俺」とか思って、押さえて、押さえて……って思っちゃったしね。

【17:14】

いや、泣いた……泣いたんじゃない、目頭が熱くなっただけだよ。風邪だからかも分かんねーじゃん。(コメントより)「年とると涙腺が」って、……失礼な(笑)。
うーん、質問「映画チケット代の元は取れましたか?」……元は取れたね。やっぱあの、大画面で観られて良かったって思うもんな。ふんふん。

(コメントより)「過去の寄せ集めといわれているけど、例えば何に似ていると思いますか?」……いや、過去の寄せ集めとはあまり思わないな。
って言うのは、やろうとしてることがね、これは、作り手の話になるんだけども、作り手がやろうとしてることは、かなり作家性が強いんだ。下手したら「エヴァ」より作家性が強い。だから、作品が芸術に寄っているんだけど、「エヴァ」は通俗的な男女関係とか、青春の迷いまでしか扱っていないんだよ。だから、人間の孤独とか、なんだろうな……そこまでしか、文学的なものしか扱ってないんだけれども。
「まどか☆マギカ」はアニメを作る人が、なんで俺はアニメを作るんだろう、なんで俺は少女ものを作っているんだろう。作っている奴もオッサンならば、観ている奴の99%もオッサンじゃん。
泣いている奴の……99%って言ったら悪かったね。言い過ぎだ。85%まではオッサンじゃん。それを、俺たちはなんで感動するんだろうってところにまで踏み込んでいるんだよ。それはね、エヴァで踏み込みたかったけど、たぶん踏み込めなかった世界なんだな。

はい。(コメントより)「宇宙再編後に登場する魔獣が富野由悠季に見えたのは私だけですか?」……まあ、君だけだと思うよ、あれはね、分かりやすいよね。
つまり、「まどか☆マギカ」が戦っていた、テレビ版で最終回のあの直前まで戦っていたの、魔女じゃん、つまり女の子なんだよ。この世界の女性原理のこの世界を守りたいけども
それが最後は恨みになってしまうというのと戦っていて、これやりだしたらめっちゃ面倒くさいんだよ。それをすべて解放した後だから。次に戦うのは男性との戦いになっているんだよな。
だから、その辺では、テレビ版ではこの辺りをオチにして、後は含みを見せて……なんだけども。劇場版でね、そこをあんまりやるとは思わないけどね。

(コメントより)「岡田さん、しいてで良いので『まどか☆マギカ』の中で誰が好きか教えて」……え、監督だよね。良い作品作ったから監督は好きになったな。あと脚本家も好きだけども。あのヒラメみたいな顔したキャラで、あの、目がそんな外に寄っているキャラを好きになれと言われても、無理ムリムリ!

(コメントより)「キャラでしょ」「ほむほむ」……ほむほむって、ほむらのことなんだね?
まあ、俺、そういうのも知らなくてさ(笑)。
いや僕、前に自分の番組でも言ったんだけども。ほむほむは、本当にホワイトボードをどこかで借りて来た方が良かったよって。
ホワイトボードを借りて、友達たちに、今何が起こっているのかっていうのを説明して、キュウベエ呼んで、キュウベエに反論させた上で全員でやるって、言って。
これが、一回やって諦めちゃったじゃん。ダメだって、あれを何回もやらなきゃダメだよ。俺ら、仕事でもやっているだろ。そんなさー、自分だけの思い込みでなんかやろうと思っても、だいたいね、出来た試しが無いんだから。報・連・相だよ、本当に。
ほむらちゃん、何回もやっているんだから、報告、連絡、相談を身に付けようよっていう。

(コメントより)「岡田さんの期待していた『まど☆マギ』に会えた?」……いや、期待していた新作部分にはまったく会えなかったよ。でも、まあ、金払っても別に良かったと思うからね。

(コメントより)「最近のフィルム商法どう思う?」……これは、仕方がない。アニメがいるレベルが下なんだから。
その意味では、その……沢尻エリカがすっぽんぽんになりますというだけで、金を集めて小屋とってくるような実写の世界と、あとアニメみたいな、所詮オタクしか来ないでしょっていうふうに見下げられて、で、実績を残さないと小屋を取ってもらえない。
日本全国で、例えばさ、これが東京と大阪の映画館2館だけでやるっていうんだったら別に最初から新作できたと思うんだ。でも日本国中の映画館の、せめて40館とか50館で同時公開をやるんだったら、それはもう、フィルム商法っていったら可哀そうだと思うな。

(コメントより)「100点満点で何点?」
いや、だからテレビ版と何一つ変わらないんだから100点満点で言えば100点だけども、劇場版として0点だよな、劇場版無いんだからさ。
あ、でも大きいスクリーンで観られて良かったから、ファンが集まるムービーとしては5、60点くらいかな、でも、本当にね、テレビ版の出来がいいからあんまり気にならないよ。

【22:12】

ああ、あとね、ストーリーでちょっと気になった事を話してみようか。あのね、キュウベエがね……
(コメントより)「絶叫してた人いました?」……いや、別に居なかったけど、絶叫するようなもんなの?
キュウベエがね、どれくらいの存在なのかが気になってんだよね。キュウベエって、僕たちインキュベーターは……って言ってるじゃん。
僕たちインキュベーターは、って言っている以上、彼は代理人にしか過ぎないわけだよな。
つまり、この宇宙全体にキュウベエを作り出して地球に派遣している超文明があるわけだよな。
で、この超文明からキュウベエ君は、「あ、じゃあ地球担当ね」って言われたら、「はいはい、分かりました」というふうな形で担当として来てる訳だ。

で、彼の仕事は何かっていうと、この地球の埋蔵量、潜在的な感情、絶望の埋蔵量って言うのかな……埋蔵量を知らされて、この部分は必ず取って来いというふうにノルマを言われた。で、キュウベエは地球の歴史に昔から干渉してきて、ほぼノルマを達成して帰ったって話になっているんだけども。彼が説明している銀河超文明のさ、事情っていうのがどれくらいキュウベエが分かっているかなんだよな。

僕ら、映画を観ている者としては100%そうだって受け取っているんだけども、キュウベエ・レベルには、ここまでしか説明してないってこともありそうじゃん。
あと、何より面白いのは、なんだろうな、魔法少女っていうのが、この話の中でどういうふうに出てくるのかっていうと、不条理って言うのかな。
何でこうじゃないんだよ、とか、何で俺が好きな子は俺に振り向いてくれないんだよから始まって、何で親は俺のことを分かってくれないんだとか、何で俺は成績上がんないんだ……みたいな、人間の希望と絶望を全て束ねたものが、なんだろうな、ブラックホールみたいに黒く変質したのが魔女だよな。で、この絶望エネルギーを使うと。
なんで絶望エネルギーを使うのかと言うと、キュウベエの説明によると、この宇宙全体のエネルギーの総量が足りないからだというふうに言ってんだ。つまり、エントロピーの法則で、この宇宙っていうのは……熱的な死っていうんだけどさ。これ言葉が分かんない人は、あとでウィキ(ペディア)ででも調べて下さい、はい。

宇宙はゆっくりと熱的な死に向かっていくと。それは燃えた薪は元に戻らないんだ、いくらエネルギーを与えても。だから、ゆっくりとゆっくりと。この宇宙というのはより低い順位にエネルギーを移しながら、死んでいくと。
なので、その超宇宙文明の人たちは、いつもエネルギー不足で苦しんでいるっていう訳だよな。
だ、その意味で言えば、この宇宙全体が日本列島だとしたら、地球という場所にえげつない反応をする原子爆弾的な危ない原子力発電所を一杯作って。で、地球人達に電力を作らせて、絶望した後、最後は爆弾にしちゃう、爆発しちゃうメルトダウンしちゃうよ、ダメになっちゃうよ。でもそれのおかげで日本全国に電力が行きました、良かったねって言うような話なんだわ、大枠で言うと、設定はね。

で、矛盾しているんだ。
何が矛盾しているのかっていうと、人類は人猿の段階で……人猿の段階は文明持ってないからさ、お腹が空いたら……なんだろうな、抵抗するんだけど黙って死ぬ。希望も無ければ絶望も無い。でも、キュウベエ達が知性を与えちゃったから希望を持ってしまうんだ。希望がなかったら動物っていうのはただ単に抵抗するんだけど、死ぬだけなんだよな。希望も絶望もないんだよ、それが動物のはずだ。

で、そこで、希望とか絶望を人類が持つようになっちゃったから、このままじゃ嫌だと思って、いろんな発明をして文明を作って、より人間のいさかいというのは複雑になって。
で、魔女が生まれる原因になり、そして、その魔女もいつしか自分の望みというのが叶わない、恨みつらみを抱いたまま、魔法使い・魔法少女になって魔女になってしまうと。

ところが、キュウベエが派遣された宇宙文明って変だよね、宇宙超文明、彼らがだって宇宙の熱的死という運命を受け入れりゃいいだけじゃん。
そうだろ? 彼らは宇宙の感情もないんだから、宇宙の熱的死に関して、希望も抱かなければ絶望も抱かなくていいはずなんだよ。ただ単に、ああ俺らは100万年後に滅びるのか、了解了解~と言って、滅びりゃいいだけなんだ。
でも彼らはそれを良しとしなかった。実は希望と絶望は彼らにもあるという証拠なんだ。感情は無いけれど、希望と絶望は彼らにもある、そして、おそらく銀河超文明にも魔法少女がいたんだとおもう。で、銀河超文明にいた魔法少女達が作ったのがキュウベエっていう設定ではないかな……というふうに……俺、前に思っていたんだ、一回観た時に。
まあ、この俺の予想みたいなもの、勝手な予想みたいなものっていうのは、単なる考えただけなんだけども。とりあえずその矛盾点は、銀河超文明ですら、彼らは黙って死ぬっていうことを良しとできない存在なんだ。
つまりあらゆる生命体というのは、いくらキュウベエがあんな上から目線で言おうとも、自分の死というのを座して見ることができない。それに対して、なにか報われないかもしれない手を打ってしまう訳だよな。

では、テレビ版の「まどか☆マギカ」はどういうラストになっちゃったのかというと、この宇宙の法則全体が変わって。魔女という存在が消えてしまい、で、新しく作り直された、システムが組み直されたキュウベエ達は、魔獣と戦うことによってその黒いエネルギーを吸い取って元の世界に返す。
やっていることは同じに見えるんだけども、明らかにエネルギーの総量が少ない訳だよな、そう思わない?(ちょっと待ってね。メモを取る。)

だってさ、地球人全員の絶望と引き換えで、ようやっとこの宇宙全体の文明が、多分それもね……永遠に繁栄できる程度のエネルギーじゃないんだよ。宇宙全体が何年か生き伸びるだけの暫定的なエネルギーしか与えられなくて。この宇宙には、地球みたいにインキュベーターが派遣されている星が山のようにあって、それは奴隷系の惑星だよね。
そのおかげで、銀河超文明みたいなものが何となく長らえていると思うんだけども。うーん、そいつらがね、マギカがシステムを組み替えてしまった世界で繁栄しているような気があんまりしないんだよね。
と同時に、さっきも話した、そのキュウベエ達というのはいわゆる係長じゃん、地球に来ている。係長レベルの知識しか無いわけだ。
課長とか、部長とか、取締役はもっと大元の知識を握っているんだけども、まどかの考えたこの宇宙全体の法則を変えるという結論は、例えば、地球では最初かも分からないけれども、他の惑星の魔法少女たちだったら、先に思いついた奴らがいるかも分からないじゃん。
そうしたら、その魔法少女達はそれぞれ自分の惑星を守っている訳だよね、惑星守護主になっている訳だな。
そいつらの連合体というものがあるんだろうか。それは宇宙の労働組合みたいに、いわゆる俺たちからエネルギー搾取をして栄えている宇宙文明、超文明に対して対立的な構造なのか、それとも年に一回労使交渉して、私たちの世界から絶望エネルギーを取るのはこれくらいにして下さいよー、だからそんなことやってんのか、そんなことも考えちゃうんだけどね。
それを、その受け手、アニメの作り手、なんかアニメからみて、受け手の僕らはどこまで想像するのかが許されるかって言う話になってくるんだけども。
だって俺が今言ったようなことアニメの中では全然当たってないんだよ。

でも、なんだろうな、その、「まどか☆マギカ」に出てくることって、これまでのアニメって変だよね、物理法則に反しているよね、魔法なんて、まったくエネルギーが出てこないところからエネルギー出てるじゃん、あれはどっから来たの? というのに対して、極めて論理的な答えを返してくれたんだ。
では、同じく社会学的に極めて論理的な解答を返すとどうなるのかというと、そんな宇宙超文明は安定的なものであるであろうか、とか、その宇宙超文明自体に魔法少女がいるのだろうかとか。そういう、なんだろうエクスプロレーションって言うんだけども、考えをこう入れ込んで、作っていけるはずなんだよね。
というようなことをね、なんか考えてしまったなー。なんか超文明もまた熱的死に対しては座ってみてられないんだろうなー。

あと、人類潰すのはもったいないと思うんだよなー。なんか、これほど繁栄させておいて人口70億人までもってった訳じゃん。
で、もっと古代のエジプトとかさ、卑弥呼の時代に、なぜ、まどかクラスの魔法使い……イコール魔女を作って、滅ぼさなかったのかというと、人口が十分じゃないからだよね、希望と絶望の総和が充分じゃない。キュウベエが取ってこいと言われている絶望の総量が足りないからだと思うんだけども。だったら140億人とか200億人にしてから取ってもいいはずなのに……とか思っちゃうんだよな。
そういう話、なんかこういうところも、なんかチラチラ気になっていて。で、パラレルワールドが、ほむらの能力で有りになっちゃった瞬間から、このお話って、えらいややこしい違う話になっちゃう。

結局いくつもあるパラレルワールドで自分が居る世界だけ助ければ良いのかって話にもなるし、まどかの能力ってそこ止まりなのと。
まどかの能力ってもう一段上に言ったらあらゆるパラレルワールドの……なんだろうな、ほむらを助けるようなものになるかもしれないし、それこそが銀河超文明がぶちあたっているジレンマを解決する手段かも分からない。
だって銀河超文明にしてみたら、パラレルワールドが山ほどあるんだったら、自分の世界以外の、なんか100億ぐらいの世界を滅ぼして自分達に集約したら、自分達の世界は繁栄できるじゃん。そこまで、宇宙の熱的死っていうのを避ける文明だったら考えても良いと思うんだけどな。そんなことを考えちゃった……ぜ、俺は。

あの、お話自体としては『モンスターズ・インク』なんだよな、これ。
モンスターズ・インクって、怪物達が会社を作っていて、人間の世界に来て、人間を怖がらせて、ウワー!っていうふうなのでエネルギーを得て。それのおかげでモンスター達は平和に暮らしてると。で、本当は怪物たちも人間を怖がらせたくない。
本当言えば、人間と友達になりたいんだ、でも、ピクサーが作ったモンスーズ・インクの設定の中では、ところが人間を怖がらせないとモンスター達の世界はエネルギーが枯渇してしまうと。だから、しょうがないから脅かすんだって話で、解決法はどういうふうになったのかというと、人間を笑わせたらもっとエネルギーが得られるっていう。
なんか、こうズルな解答で、さすがディズニーで、もうハッピーエンドに向かって、持って行くんだけども、これもさっきの「ゴルディアスの結び目」と同じく、元ネタでいうわけじゃないんだよ。

基本構造は「まどか☆マギカ」すごい複雑に見えるんだけど、単純に割っていくと、どういうふうになっていくのかというと、実はモンスターズインクと同じ。ある世界のなんだろうな。災難によって一つの世界が作られている。それは言い方を変えれば、南半球が貧困にあるお陰で北半球が幸せになってるとも言えるし、東北に原子力発電所があって沖縄に米軍基地があるから、俺らが幸せに暮らしているという、この世界の構造自体をいかに持ってくるかという話なんだ。

で、はいはい……。だからね、「まどか☆マギカ」って、これをベースに僕らがどう考えるのかってことに、すごく良いテキストだと思うんだ。
なんだろうな、アニメのキャラの中で誰が好きですかって言った時に、いや別に……って僕が答えるのって何かというと、観たらこんなことがワアーと湧いてきて、いくらでも面白くなっていくんで、正直、アニメだけで収まらない感じ。なんかいろいろ妄想が沸いてくるじゃん、とか思っちゃうんだよね

【35:06】

あと、なんだろうな、俺が考えたのさ、最後にまどかが、宇宙……この宇宙全体を肯定して概念になっていくって話があったじゃん。
あれ、面白いよね。ほんとね、すごく分かりにくく書いているんだけれど、これイエス・キリストの話なんだよ、ぶっちゃけ言えば。イエス・キリストって、はりつけられた上で何をしたかのかっていうと概念になったんだよな。
それまでは、ものすごく優秀な予言者であって、……リーダーかも分からないし、アジテーターかも分からないし、ユダヤ人だけじゃない、あらゆる民族に共通の宗教、原則、原理みたいなものを打ち立てた男だったのかも分かんないけども、教祖どまりなんだよ。
その教祖がどうなったのかというと、犠牲にされることによって概念になれたんだよな。つまり救世主っていう概念になる。
俺このあいださ、キリスト教、カソリックじゃない、プロテスタントのカルバン派の人たちと結構突っ込んだ濃い話をしたんだけども、彼らがキリスト教の中心核で何を信じているのかというと、実はイエス・キリストの復活を信じているんですって言うんだ。
これすごく意外でさ、神を信じているとかだと思ったんだ、聖書を信じているとか。キリスト教の中心核。でも、それは違います、神を信じるだけだったらユダヤ教もイスラム教も神を信じていると。唯一の神を信じていると。次に、聖書を信じているという意味では、他の宗教も自分達の聖典を信じていると。
そうじゃなくて、キリスト教が特殊なところ、世界の宗教としてもっとも歪で異常で、そして、何でこんなに普及力があるのかっていうと、その中心にキリストの復活、救世主の復活というのを信じているからです。それは復活することによって、イエス・キリストの教えという概念になった証拠なんだよな。
で、「まどか☆マギカ」っていうのは、キュウベエの契約という言い方とか、契約は更新されたっていう……さっき誰かがテロップで流してくれた、そのせりふにある通り、実は、すごく分からないようにやっているんだけども、キリスト教をそのまんま持って来ているんだ。

で、これね、僕らの問題になってくるんだけども、なんでこれを僕らは、女の子の話としてしか作れないんだろう、受け取れないんだろう……っていうのがあるよな。

というのは、イエス・キリストの物語自体、男の物語じゃん。男性の物語で、女の人はその中の脇役に過ぎないと。それは、……あ、(コメントに)「ロリコンだから」って書いてある。そうかも分からないね。じゃあ、俺たちは、なんでロリコンにそこまでものを乗っけるんだろうな。
たぶん、よその国の人が観たら信じられないと思うんだよ。こんな話をやるんだったら、もっと強いキャラクターで、男性でやれば、ワールドスケールの話ができるのにと思うんだけども。
僕らはそれを、もっともか弱い、弱い女の子、弱虫な女の子にやらせて、その女の子が体じゅう引き裂かれて血を流して何回も死ぬようなドラマを見せられないと……なんだろうな、救世主の復活というのを受け入れられないような……重度の患者というのかな、なっちゃっている。

それを、なんかね、日本人って面白いなって思うんだよ。
(コメントより)「照れじゃないの」……照れなのかな、うん。
(コメントより)「それが少女がやるからおもしろいんだ」……それは、分かるんだよ。少女でやるのは面白いんだけども、その感性を持ってるのって、俺ら日本人だけで。おまけにそれを少女だけじゃなくて、萌えてる、萌えの絵でやらないとダメで、その少女というのも、なんか素っ裸のシーンが出てきたら、ほとんど、おっぱいつるぺたみたいな状態じゃないとダメじゃない。
なんでそれを俺たちは良しとして、そしてその結果、劇場で公開する時には実績を作らないとダメだって言われる訳だよな。

なんか(コメントより)「ギャップが良い」か、……うーん。
ギャップが良いとか、文化って言っちゃったら、そこはね確かに答えなんだけども、その答えに行かずに、もうちょっと踏ん張ってみるのが面白いんだろうな。

(コメントより)「作り手の嗜好」……いや、作り手の嗜好だけだったら、いろんな作品あるから、俺らがそれを求めているからだよね。
なんで俺らは、2000年前は男の救世主を求めていて、今は、少女の救世主がこの世界の歪みを許すような話っていうのを求めちゃうんだろうかっていう。
(コメントより)「受け手の嗜好」「マーケティング」……そうかな、なんかね、もうちょっと違う、なんか微妙なものがあると思うよ。
(コメントより)「少女になりたいから」……うーん。俺らがたぶん、今信じられる、人間の行為の純粋さとか、悪意の純粋さ、残酷の純粋さって女の子しか無いんだろうね。
そんなに俺たち男は、男であるということに対して絶望して、だから少女をAKB48みたいに応援したり、少女の物語を消費したり、少女の復活というのを信仰したりするようなことしかできない……この世界の脇役に、俺ら男はなりつつあるのかなと、なんか思っているなぁ。
(コメントより)「宮崎駿は全ての元凶」……いや、駿くんはまだ、少年をちゃんと入れ込むのを忘れてないよ。あれはね、駿先生は自分が病気だと分かっているから、病気100%で話を作ったら悪いって思っているから、まだ宗介を入れているからさ。

【40:32】

あとね。まどかが超・魔法少女になるじゃん、最後の辺りで。たんなる魔法少女じゃなくて、超・魔法少女になって、全ての魔法少女を肯定して、全ての魔女を消すっていうふうに決心して、この世界を組み替えたんだけども。
で、一つ上の段階にシフトしたって言っているんだよね。そしたら、シフトしたまどかに何が見えたのかなって、思っちゃうんだよな。
なんか「しばらく会えないけど、ばいばい」って言って、扉を閉じた後の、まどかの行った世界ってチラっと気になって。
さっき話した銀河の超文明あるよね、その超文明の人たちの……なんだろ、70億人の地球人口の何十億倍という死体を見たんじゃないかなって気がしちゃうんだよ。

というのは、まどかがやったことは、地球を救うことであって、全ての希望を救うことであって、じゃあ希望とか絶望を持たない論理的な生物である銀河文明に対しては、一切彼女は救いになってないんだよね。
ということは彼女がやったことは、地球やその他の世界の魔法少女や希望を待つ文明、想像力を持つ文明、生きることにあがく文明を全て救うことによって、そうじゃない上部構造をすべて滅ぼしてしまったってことにもなるんじゃないのかなって、ふっと考えて。
じゃあなんだろうな、地球人にとって、まどかは魔法、正義の魔法少女なんだけれども、彼ら宇宙文明にとっては悪の魔女なのかもしれねーよなって思ったら、ああ、次の劇場版でこれをやらないのかなって思ったんだ。

あのね、「悩みのるつぼ」っていうのを、僕は朝日新聞で連載してるんだけどさ。連載していて(悩みの)質問が来るじゃん。で、解答する時に、どういうふうに答えを作るのかって話になっちゃうんだけども、フレームを広げるんだよね、だいたい。
この問題に悩んでますって言われたら、その問題を解決しようとしないんだ。昨日の新聞で、16歳の女の子が年上の男の人に惹かれてしまいますっていうのを書いているんだけども、だいたい普通は、年上の男の人に惹かれてしまう女の子に対しては「それでいいんだ」とか「それじゃダメだ」とか、もっと色々見た方がいいよ、とか言うんだけれども。そうじゃなくって、その問題自体が何であるのかっていうふうに、フレームを広げて考えると別の物も見えてくるんだけども。

うんとね、ほむらもね、そのジレンマの中に入っちゃってんだ。ほむらは「悩みのるつぼ」を与えられた訳だよ。マギカを助けたい……。で、人は絶対に絶望しなきゃいけないのかっていったら、フレームを狭めちゃったんだよな。
つまり、悩みがあったら、これだけは守りたい、これだけは解決したいっていうふうに、ギューと、ほむらは考え始めてしまったんだ。だから、ほむらの方法は、手法は上手くいかない。せめてこれだけは守りたいっていうふうに考えちゃうと、絶対にそこに解答は無いんだ。
で、これはミスリードとして、僕ら見ている人間にも与えられているんだ。アニメ作る……アニメの作り手は、あの「まどか☆マギカ」っていうストーリーを作る時に、いかにして見ている人間をミスリードして。こうなってしまうよね、それは分かるよねー。ところが、最後にまどかがものすごい手をバン!と打つんだ。

これはあの、『HUNTER×HUNTER』で、作者が別のインタヴューで言っていたんだけどもさ。もうクライマックスで、ゴンがこういうせりふを言うのは分かっているから、後は読者に……いかにそうと違う所に持っていくというところで、ゴンのせりふが際立つっていうふうに言っているんだけども。
それは、ほむらが選んだ解決法。「まどかだけは守りたい」っていうふうに、フレームをどんどんドンドン縮めていくっていうのは、まどかが最後に切り出す「全ての魔法少女を救いたい」というものを際立たせるための、反対側のおもりなんだよな。
で、こういうふうにするとミスリードがちゃんと整合性をもって、全てが伏線化されて、俺らはストーリーの整合性にすら感動するんだよ。
ストーリーの整合性で感動して、おまけに、せりふで泣けて……っていう「うわあぁー、めっちゃ良い作品だ!」ってことになるんだ。
で、この手法を取りながら新劇場版作るとしたら、まどかの結論すらもまだフレームが狭いっていうふうに持って行くしかないじゃないのかなって俺は思ってんだ。

【45:07】

つまり、まどかが思う、全ての……なんだろう、希望。希望だけということが悪いはずじゃないということから、更にフレームを広げて、じゃあ、この宇宙の熱的死とかいうのも含めて、この世の不条理っていうものをどのように解決するのかと。
その外枠まで解決をやらなければならないんだけども、さっき話した……「エヴァ」はしょせん人間の孤独とかさ、男女のものしか扱わないんだけども、「まどか☆マギカ」がやろうとしてることって、もうちょいと作家性が強いんだよな。宇宙全体を救うなんていうさ。
(ゴメン、のど飴なめさせて)

俺が今言ったように宇宙全体を救うっていうような話をやっちゃうと、それは理に流れるって言うのかな。設定としては面白いけども、たんなる複雑なSF話になっちゃうんだ。それはキャラとして落ち着かないし、見ている人間に関係がなくなってくる。

うん、あのね、なんで、僕らはアニメを見ちゃうんだろうかとか、なんで僕らは年端もいかない女の子に自分達を仮託して、で、同じ事をさせるんだろうか。
で、僕らが見ているものって基本同じじゃん。「まどか☆マギカ」はすごく出来がよかったんだけど、それ以外の作品も一杯あるよね。それ以外の所で、僕らは女の子たちに自分たちの夢を乗せて、希望を語らせたり、絶望と戦わせたり、血を流させたりして、俺らは安全圏で、家でテレビを見ている訳じゃん。この構造自体は変わらないわけだ。

そして彼らが本当に感じる勇気とか感動っていうのをもって、無感動に……端から見たら見える僕らは、「あー、スゲーなー」って思いながらアニメを観て、そして、そんなアニメのような恋愛とか感動がない人生を生きている訳だ。

つまりインキュベーターたちが派遣された宇宙の超文明とその魔法少女の世界っていうのは、アニメの中で語られる「熱い世界」と、僕らが居る「ぬるい世界」「寒い世界」との対比で出来ている。この対比に踏み込んで来るんじゃないかなって思っているんだよ。
これに踏み込んだら、エヴァとまったく違う感動の方に持っていけると思っているんだけどね。なんかその辺が……新作で、俺、期待しているところだよな。

「まどか☆マギカ」って、明らかにその作り手がさ、なんでアニメ作るのかとか、なんで俺たちは嘘の感動や嘘の魔法や、嘘の……この世の中には存在しない美少女を使って、俺たちと同じようなオジサン連中といってもいいような、オジサン、お兄さん達って言われる人たちを感動させるんだ。
で、俺たちの感動っていうのは、少女の悲劇や犠牲でないと成り立たないのかと。アニメで言ってることと全く同じこと……してんのよ。
アニメの中で言われているのって、まるでこの世界の不条理が……って言っているから、俺らは安心して観てるんだけども、それは言い換えれば、アニメの作り手からすれば、自分達が真剣に、自分の子供みたいに思っている愛しているキャラクターっていうのを、使い捨てにして、殺して、視聴者の関心を買う訳じゃない。喜ばせる訳じゃない。観ている人間を感動させる訳じゃない。それは悪魔との取引にも思えるな。

自分達がインキュベーターになった気もしちゃうんだよ。そんなこと考えてないクリエーターいないよ、絶対に。なんだろうな、あらゆるアニメの作り手は、この問題にいつかたどり着いてしまうんだ。
で、いつかたどり着いてしまった時に、どんな解答を作るかで、やっぱり作り手の……なんだろうな……人間の器みたいなものが問われるんだろうな。

結局、富野(由悠季)さんも、ガンダムから、Z、ZZ……ガンダムからゼーダの辺で、そこに行きそうになったから、ダブルゼーダで、いかんいかん……って大方向転換したわけだ。
俺は、大衆作家で、テレビで夕方5時にやっているアニメをやりたいから、ここの方向をやっちゃいかんのだっていうふうになるし。庵野くんは庵野くんで、エヴァっていうのはそういう作品を描くもんじゃないと。

たぶんね、最初の劇場版を作った時には観客席を映すっていうのは、お前らはなんなんだって問いかけをすることでやろうとしているんだけども。でも、今の「エヴァ」はそうじゃないんだよ、今のエヴァはそうじゃなくて、やっぱその良い作品、後世に残る作品っていうのを作ろうとしている。
でも「まどか☆マギカ」のスタッフは、後世にまだいい作品を残さなくても良い年齢だから、あと一息暴れるんじゃないのかなって思ってんだけどな、うーん。

【49:39】

まあ、そんなこんな……おお、10時49分だ。あ、9時49分。あー、あと10分で終わらなきゃいけないんだけど、どうしようかな。
あのね10時に、この放送終わってね。なんだろうな会員限定放送ってあるじゃん、ブロマガのやつ。それね、ちょっとだけやるけども、そこで大事なことをしゃべったりしないから安心して。
そこでは基本的に、俺がカントリーマアムを食べながら世間話するということを、ちょっとね、自分の頭をクールダウンするためにやるから。あと10分突っ走るな。

はい、(コメントより)「アニメ会社シャフトについてどう思う?」……あ、良い会社だと思うよ、あのね、よくこれ本当に作り切ったと思う。頭がいいなぁと思うよ。うまく楽している。
さっき話した、芝居場の作り方。結局、大事なシーンになったら、ロングになってデザイン処理をして絵をとめ絵にするっていうのは、いかに息を切らさずにアニメを作るのかを知っている会社なんだ。だから、劇場版の新作も、たぶんかなりのクオリティで作れるはずだと思うよ。

(コメントより)「岡田さんが気になった、気に入った演出場面はどこでしたか?」……うーん、全般気に入っているよね、アートっぽいのを上手く取り入れているところとかも気に入っているから。「まどか☆マギカ」は絵作りが、うーん、(「少女革命」)ウテナを観るよりは、分かりやすくて助かったな。

(コメントより)「この回はお布施という割り切り方でいいんですよね」……いやぁ、お布施っていうか、劇場で観られて良かったじゃん。劇場で、大劇場で、他の連中がどんな人なのか……一緒にこのアニメを観ているのがどんな連中なのかっていうのを見るからこそ、この受け手の僕らの問題っていうところに、思考まで行くんだろ。
僕らが見ているのはコンテンツじゃないんだよ、作品じゃないんだよ。なんていうのかな、作品っていうフィルムの向こう側には作り手があって、作り手の思惑があって、作り手の夢があるし。スクリーンのこちら側には、僕ら個人がいて、この作品をなんで観ているのかという動機があって、隣の席の人、その隣の席の人が居て、それぞれなりのものが繋がっていて、あの劇場で見ると一瞬があるからさ。
……だからなんだろ、俺もあの、今日は大きいお友達、お兄さん達と一緒に観たから、こんなこと考えた訳なんだよな。

(コメントより)「わたしはどちらかと言えばエヴァやジブリが好みで、最近の萌えアニメは全くきません、そんな人でも価値があるでしょうか。岡田さんの話で興味は出てます」……うーん、あのね、最近の萌えアニメが興味ないっていうの分かるんだ。僕も正直、「まどか☆マギカ」がもうちょっと絵が……僕にとって楽だったら……かな? 貞本義行っぽい絵っていうふうに言ってもいいんだけど……だったら見やすかったかなっと思うんだけどもさ。キュウベエのデザイン含めて「まどか☆マギカ」ってあの萌え絵であるところに意味があるんだよ、絶対に。なんだろ、萌え絵でなければ語れないリアルさ、かな。
あんな、リアルからかけ離れた所から、だから俺らが照れずに受け取れるメッセージっていうのがあるんだ。あれをね、ストレートなね、8頭身キャラで、まどマギのせりふ言われたら、俺やっぱり目頭熱くならないよね。なんか、そこら辺は「おおかみこども」を観て僕が泣けなかった原因もそこら辺だもん。安全、安定性を取ってしまった。
振るんだったら、まどマギくらい思い切ってアートな方法やっても、細田監督に出来るはずなのになぁって……とか思っていたから、その「おおかみこども」にはあまりピンと……もうゴメンね、細田さん。会ったことも無いのに、こんないろいろ言っちゃってさ。
でも、うーん、リアルな路線でやるんだったらエヴァくらい、ここまでアニメで語っていいのかって言う領域に踏み込まなきゃだめだし。そうじゃなくて、作り手の心の問題かな、俺なんでこんなアニメ作っているんだろうっていうのを、見てる人と共有するつもりだったら、「まどか☆マギカ」の萌えキャラぐらいオブラートに綺麗に包んであげないと、俺ら拒否反応起こして吐いちゃうと思うんだよな、うん。

【54:07】

(コメントより)「ほむらの取った行動は正しかった?」……いや、ほむらはミスリードのキャラクターだから、正しいは無いんだよ。ほむらは、どんどんドンドン思考フレームが狭くなって、これするしかない、あれするしかない、これもやったらダメだ、あれもやったらダメだ。どんどんどんどん……なんだろうな、持って行かれてしまうキャラクターなんだ。
だからこそ、最後にほむらだけ戦ってるシーンと、一瞬まどかの声が聞こえて微笑む救いというのがあるから、彼女のとった行動は正しくないんだけど、これしかないという必然なんだよな。
あのさ、あらゆる時間軸の中に居て、最初から最後まで見ている。これが、まどかがなったキャラクターなんだ。つまり、まどかって、あの世界の神様みたいなものになったから因果を越えたと言われている。因果を越えたということは、この世界の最初から終わりの全てのところに存在して、全てを見ているから物事がどうなってしまうのかも分かる存在なんだよ。

それは、このあいだ読書会でやった『タイタンの妖女』っていう、カート・ヴォネガットの小説があるんだけども、それの主人公の一人である、ナイルス・ラムフォードっていう男が、クロノ・シンクラスティック・インファンディブラムっていう、時間等曲率漏斗っていう、……ものすごく言いにくい……ところにハマってしまって、地球上のあらゆる時間軸に存在する存在になってしまったと。
それは人間にとって神と同じだから、全知全能だから、あなたには何でも分かっているはずだろ、なんでも見えているはずだろ、と。なんでそんなに、じゃあ、なんだろうな、もっと優しくしてくれないのっていうふうに奥さんだった人から言われるんだけども、それはね、なんだろな、俺らだって同じじゃん。
俺らは、もう話を最後まで知ってるアニメを何回も観るんだよ。で、残酷かもしれないけど、それは俺たちが勇気をもらうためなんだよな。俺たちが勇気をもらったり、明日への活力をもらうために、魔法少女達とかロボットアニメの主人公達の希望とか絶望っていうのを、むさぼるように取り入れて、明日のバイトに行く力っていうのをもらうんだよ。なので、俺らはね、なんかね、キュウベエのこと言えた立場じゃねーよって思う。
さあ、そのあたりに、劇場版の来年やつで踏み込んでくれよなーっと思うんだけどね。

まあ、オッサンがアニメを語ると、こんなふうになるので。ストレートに、まどマギ良かったーとか、まどマギはこういうところがダメだよねとか……ダメ出し100連発みたいにならなくてすまなく思うけれども……本当にすまなく思うんだけど……いや、画面の向こうで君らが期待していたものが、何なのか、よく分かんないんだけども。
僕は、いいアニメっていうのはテキストだと思っているから。
テキストっていうのは何かって言うと、そこから、僕らが何を考えて、何を学べて、何を話し合えるかのかっていうのが勝負なんだよ。
アニメっていうのは、アニメ見て感動しただけだったら、アニメの作り手だけが勝って僕らは消費者になっちゃうんだ。
彼らだけが偉くて、僕らが消費者になっちゃうんだけども、その彼らに対して出来る恩返し、いいアニメ作ってくれた恩返しっていうのは、僕らが受け取って散々考えて、こうかもしれない、ああかもしれないっといって。
それで作っている人を「おお!」って言わせる必要はないんだ。ただそのアニメを観たら、それの100%の感動をやるんではなくて、その感動を150%、200%にして、いろんな人に伝えたり共有したりすることが……なんですかね、これが大人のアニメの見方ではないのかなと思いました。

ではもうそろそろ9時57分ですね、
(コメントより)「アニメ夜話やってほしい」……いや、こんなんね、人と話せないよ。
俺も色んな人と話そうとするんだけども、こういう話をすると、なんかねもう、俺演説になっちゃうの。だから「演説にならせません、岡田さんを孤独にさせません」と「俺もそういう話、岡田さんとバンバン出来ます」っていう人がいたら、頼むからね、応募してきて。そしたら今度ここに座ってもらって、俺そいつと掛け合いやるからさ、

うーん「鈴木Pと対談して?」……ヤダって、あんなやつ。
もうね、S田さんは来月俺を押井守と対談させようとしてるんだけど、ヤダよ、そんな性格悪い奴と対談しても、なんも楽しい事ないじゃん、鈴木さんとかさ。
うーん、(コメントより)「小池御大」……うわ、イヤだなー。
(コメントより)「氷川(竜介)さん」……氷川さんと話すと面白い。氷川さんと話す時は、逆に言えば、氷川さんからどんどん引き出せば、あの人はね、なんかね、頭の中に持っていることの、やっぱり三分の一とか五分の一ぐらいしか語っていないし、書いてないと思うんだよね。なんか、しゃべっていて、ポロっと出てくる、ものの見方とかすごいんだけども。
ただ、僕みたいな、ものの見方をしてないんだよ、つまりアニメっていうのは作り手の物だっていうふうに、氷川さんは僕より考えてる。
僕はアニメって言うのは受け手が考えて、初めて花開くって思っているから。だから、ガンダムに関しても、エヴァに関しても、まどかに関しても、自分が好きになったアニメって言うのは、こうも考えられる、こうも考えられる、こうも考えられる、じゃあ、なんか続編を作るスタッフ頑張れとか、俺らいろんなバリエーションを考えるから、その中で一番いいもので作ってみてよ、っていうふうに思っちゃうんだけどね。

まぁ、商品を買わないから、これくらいが自分ができる貢献だと思います。では、お疲れ様でした。
ここでですね、「まどか☆マギカ」特番ですね、終わります。

後はもう、俺はここにあるお菓子を食べてダラダラとダベるだけの楽屋放送をしますので、はい、お疲れ様でした。じゃあね、ばいばーい。


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運営S田×岡田斗司夫の楽屋トーク
「まどか☆マギカ延長戦とエヴァ実況公開オファー!?」
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▼ニコ生ゼミ延長戦音声データ(mp3/37: 10)
 http://xfs.jp/zdBjX

岡田斗司夫(以下、岡田):はーい。今、音も入っている?
こんばんはー。今、テロップで「雑談でお金取るってすごいね」って。すごいね、その通りでございます。
お待たせしました。信者と物好きのための番組がやってまいりました

運営S田(以下、S田):すみません。おつかれさまです

岡田:おつかれさまです

S田:体、大丈夫ですか? 風邪。

岡田:かなりキツい。やっぱりね、ガーーって話すと喉をやられるよね……っていうふうに、じゃがりこ食いながら言うもんじゃないけどさ。いやー、でも、案外語れたね。

S田:いや……というか、すごい評判良かったです。来ているユーザーの人たちが、いつもと違うんです。アスキーアート流れ始めた時に、あれ?って思って。

岡田:思った、思った。

S田:もしかしたら……これ、岡田さんのしゃべっていることに対して、荒れるんじゃないかって(笑)思ったんですけど……ユーザーの反応、超よかったです。

岡田:でも、分かんないよね、正直。どんなのを期待していたのかによるじゃん。なんかもっとぶった切った話を期待していた人も居れば……。この話って、ちょっと面倒くさくてさ「アニメ夜話」でやろうとしても出来ないんだよ。

この話(アニメ・ストーリー)は出来るよ。この話はどんな話なんでしょで出来るし。ここ(作り手)も氷川さんが得意としている分野なんだよ。これ(比べて)がまず難しい。他のやつと。これが出来ないんだよ、まず。受け手の僕らは、どこまで考えていいのか。
「アニメ夜話」でめちゃめちゃ多かたのは、制作者の苦情なんだよ。「マンガ夜話」と「アニメ夜話」の最大の差は。
「マンガ夜話」は、編集者と制作者が納得すればいいんだ。たまに怒ってくる人はいるよ。でも怒ってくる漫画家は……漫画家か、編集者のどちらかをなだめれば済むんだけど。
アニメの場合は、何を言っても「売上が下がる」って、関連している会社の誰かが言い出したらもうダメなんだよ。それがきつい。
だから『課長島耕作』をやった時に、弘兼 憲史さんが怒りかけたことがあったんだよ。でもその時は、講談社の編集者が「でも売れますよ」って言ったら「そうなの……」って言って、所詮2人だからいけるわけだよ。
でも『銀河鉄道999』とかやった時には、これどこまで松本零士さんがやったものか、こっから先は、りんたろうがやったものかっていう話に、氷川さんとかがちょっと振ると、松本さんとかはやっぱりすごい反応するわけだよね。
それは、氷川竜介っていうやつはどこまで俺の話を聞いて来ているのか、どこまでスタッフに話を聞いてきたんだって話になってきて、電話掛けてきちゃったりするんだ、そしたらもう松本零士さんの話は怖いから、もう止めようってことにNHKはなっちゃうんだよね

S田:そういう仕組みなんですね。

岡田:だから「アニメ夜話」はやりにくいの。

S田:コメントで「アニメめんどくさい」って、なってますね

岡田:今のケースは、松本零士さんってのは、あの人すごく男らしいんだよ、だからどんなに松本先生を怒らせても、正直、裸一貫になって謝りに行ったら……文字通り、裸になる必要はないんだけど……松本先生の前で「すみません。こういうふうにやりました。こういうふうに言いました。僕は自分が売れたくて、こんなふうに言ってしまったんです」って頭を下げたら……俺そういうの、何回か見たことあるんだけど……松本先生が「分かった。じゃあ、もうこの件は二度と言わない。男と男の約束だ。無かったことにしよう」って、それで終わるんだよ。めっちゃ、カッコイイんだよ。
ただ、そこまで松本先生に頭下げる決心をするっていうのが、たいへんなんだよ

S田:カッコイイですか?

岡田:カッコイイ。松本先生は……なんだろうな、そういうふうなこと言われてヤダっていうこともあるんだろうけど、そんな時に、こんなこと言うのは漫画界のためにならない。
俺と一緒にやったスタッフが……みたいなものが「こいつを許すためだったら、俺がよそで頭を下げよう」っていうふうに考えるんだよ。そこまで持っていったら、もうOKなんだけども。
さっきも言った、その制作会社が一杯あったら、「ドラゴンボール」の話とかさ、集英社の誰かがとかさ、ビデオ発売元のBANDAIがとか、誰かがこれされたら困りますって言ったら……じゃあ、分かりましたって、この「ドラゴンボール」のことに関しては結構ですけど、今後素材をお貸ししませんって言われたら、めっちゃ困るじゃん。

S田:なるほど。だからテレビで批評系出来ないんですね

岡田:映画はまだ出来るんだけど、映画は批評されてなんぼって考えるんだけど。アニメは作品じゃなくて、商品って皆考えるから、批評されても売れないって考える、

S田:正直、ニコニコにもそういう日が来るんですかね? ニコニコで批評したら苦情が来る日が来るんですかね?

岡田:来ると思うよ。来ると思うから、それを防ぐには公式放送をゼロにすることだよね。
たぶん、それはカワンゴさんも考えていることだと思うんだけども。公式放送は百害あって一利無しなんだよ。

S田:なるほど(笑)。

岡田:そうじゃなくて、すべての人間にとって……2ちゃんねるって、2ちゃんねる公式コンテンツってないじゃん。

S田:ちなみに(コメントに)「チャンネル放送面白くない」って書いてありましたけど、面白いの一杯ありますからね。

岡田:みんな、まだ面白いっていうレベルを高く置き過ぎているんだよ。まず僕らはテレビ番組という、1時間作るのに500万円から1000万円掛かる番組を観てるじゃん。次にニコ生とかの公式放送を観てるじゃん。公式放送の予算って、おそらく1時間5万円から10万円なんだよ、ぶっちゃけ。
だから(制作費を比べて)1時間1000万円と1時間5万から10万円っていう落差があるんだけども、チャン生放送はゼロ円だから。5万円とか10万円と0円はやっぱり違うよ

S田:ぶっちゃけ過ぎですねー。

岡田:でも、面白さは百分の一になってないじゃん。つまり、下手な情報バラエティで、1時間1000万円使ったものと公式放送のちゃんとした番組だったら、予算百分の一だけど、良さは三分の一とかさ、下手したら1.2倍ぐらい勝っている時もあるわけだから。
また食ったって言われてる……じゃがりこ美味しいんだもん。

S田:ちなみに今日もまたニコニコ王国が流れてます。

岡田:何? ニコニコ王国って。

S田:この前も流してくれた(ユーザーによる番組)広告ですよ。誰か分かんないけど、広告を流してくれて、ありがとうございます。

岡田:ありがとうございます……だけど、それより俺らはね、番組のうち15分ごとに、さぁ「まどか☆マギカ」の話をしていると、みんなにTwitterに書いてくれと言うべきだったね。毎回忘れるんだよ。
なんかね、どんどんドンドン……さっきの番組に途中から人(視聴者)が入って来ていたら、たぶんドワンゴ内での俺たちの扱いも、もうちょっと良くなるんだけども。

S田:誰とは言わないですけど、関係者にこの番組面白かったよっていう、リプライを飛ばしてみたりとか、ちょっと拡散してみたりとか……。

岡田:次から絶対しよう。みんなにTwitterで書いてって言おう。

S田:でもね、Twitterに書いてもらったり、広告出す(出してもらう)くらいだったら、現金書留で送ってくれた方がありがたいです。番組制作費として。

岡田:だからさ、これを公開収録にして、入口にカンパ箱置けばいいんだ。

S田:そうだ、募金箱。

岡田:俺昔やったもん。昔、大阪電気通信大学で「ウルトラQ」の上映会をやった時に、フィルム貸してくれる円谷プロから「有料で公開しちゃダメですよ」って言われて。
でもフィルム借りるのに1本1万~2万円掛かるのに、それ4本も借りちゃって、4万8千円じゃん。でも、金取っちゃダメかって思って考え抜いて、しょうがないからカンパ箱置いて、フィルムが始まる前に全員の前にカンパ箱置いて回って、入れたら次の人の所へ行って、そしたら、あっという間に5万円ぐらいになって良かったーって。

S田:ほんと、カンパが集まれば……。今日ここの裏側をホントお見せしたいですけど、社員僕しかいなんですよ。

岡田:ははは。いない、いない、さっきいた受付のお姉ちゃん帰っちゃったよね。

S田:ほんと、お願いしますって言って、今スタッフの方に……(FREEexのスタッフの)監督にカメラをやっていただいているんですよ。ほんと申し訳ない。

岡田:だから、今度から俺らの番組にペイパル投げ銭箱を付けておいて。めっちゃ安くていいじゃん、シャレになる金額ぐらいにしておこう、100円ぐらいの。それワンクリックして100円もらったら、そしたら俺番組のときに「680円入りましたー」って「これからラーメン二郎へ行きます」とか。

S田:(笑)

岡田:そしたら、ノボルと監督も嬉しいだろう。二郎に行けたら。

S田:とりあえず、今日の話は面白かったですよ。明日、僕久しぶりに休むんですけど、もう一回(「劇場版 まどか☆マギカ」)前編と後編観に行こう。

岡田:(笑)良かった。でも、こんな話って、なかなかやる機会がないから、嬉しいは嬉しいんだよね。

S田:嬉しいですよね。てか、受け手って、こういう話本当に出来ない……あんまり見ないですよね。

岡田:これって、言っちゃえば、僕の妄想といえば妄想なんだよ。こういうふうに受け取れる、こういうふうにも考えられる、こういうふうになり得るよね……って、話しているから。下手したらスタッフが見たら、イヤな顔をするんだ。
それは何か、同じことを考えているのもイヤだろうし、違うからイヤっていうのもあるだろうし。「俺ら、そんなふうに考えてねーよ。岡田斗司夫、自分の作品みたいに言いやがって」みたいなのがあるんだけど。
それって、俺は受け手の権利だと思っているからさ。金を払って観ている奴の権利だと思っているから。作者に嫌われるのは全然怖くないんだよ。
(コメントより)「エヴァの劇場版でもやって欲しい」……そうだよね。

S田:いい話が終わったところで、会員限定放送に切り替えたいんですけど、いいですか?
じゃあ、切り替えさせていただきます。皆さん、ありがとうございました。さようならー。
てか、岡田さんで、さようならにしましょうよ。

岡田:油断してじゃがりこ食っていた。じゃあ、貧乏人の皆さん、さようならー。

(ここから岡田斗司夫ブロマガチャンネル会員限定放送へ)

S田:質問が2つ来ているので、それをぜひちょっと。2つだけ。ごめんなさい、お仕事させちゃって。
(質問)「まどか☆マギカ」「エヴァ」「おおかみこども」どれが一番名作だと思いますか?

岡田:今の状態では「まどか☆マギカ」だな。名作というのでは……。
「エヴァ」はね、アニメの歴史に残るんだけど「まどか☆マギカ」は下手したら残んないんだよ。だからちょっと贔屓して言っておかなきゃいけないっていうのはあるんだけれども。うーんとね、踏み込もうとしている領域が、さっき言ったような文学的なところにあったとしてか、その意味では名作度が高いと思うんだよね、「エヴァ」って。いやー……どうかな、「エヴァ」ってさ、もう歴史になりつつあるんだよな。その意味では村上隆と同じなんだよ。

だからもうね、「エヴァ」ね、次の劇場版の「Q」だっけ? それはね、そんなスゴイもの作れるはずないんだよ。だって劇場版の「序」とか「破」とかって、絵が良くなっただけじゃん。
それ以上のもの作れないんだよ。もう観ている人間の期待とかそういうものが一杯いっぱいになって、いわゆるその……どんなにGoogleが作ろうとも、Googleのサービスを受けている人の考えることの方が上みたいなのあるじゃん。
iPhone5がそんなにショックないのは、iPhone4、4Sと来たら……もう5。こんな機能あるだろって思ったらその通りになっちゃうじゃん。
つまり、見ている人間が、この方向だと分かったら、なんだろうな、作者のやりたいこととか作家性まで、僕らは消費しちゃっているんだ。
だから南海キャンディーズの漫才って、もう僕ら笑えないよね。あれ俺は文法って言ってるんだけども、南海キャンディーズのズレ、しずちゃんがこう言って、山里はこう返すってパターンまでも、俺らは分かっているから、その範囲内では……いつものやつだなって、ニヤニヤするんだけど、爆笑はしなくなっちゃたんだ。
それが漫才師として、文法を消化されてしまう、消費されてしまうって恐ろしさなんだけれども、「エヴァ」は作品でどんなショッキングな映像を流して、どんなことを言うっていう文法まで、ほぼ僕らは消費しつつあるから、出てくるのはiPhone 5なんだ。
ものすごく出来がいい「エヴァ」は出来るんだけども、もう僕らにTV版で与えたような衝撃とか、あと劇場版の1作目のラスト、あの真っ白のエヴァンゲリオン量産型がブワーっと空を舞ってくる時の、あの時の感覚が、俺は劇場版の最高潮だったんだよ。
それに比べれば、その後のエアだったかな、エヴァの最後の方は……あれに比べれば、落ち着くところに落ち着いた、良かった良かったって感じがしちゃったんだけども。
だから「エヴァ」はもうこれ以上無理な気がするし、いい加減、庵野くんを開放して別のことをやらしてあげたほうがいいと思うけどな。

S田:庵野さん、別のことやりたいんですか?

岡田:また、キツいこと聞くね。

S田:ごめんなさい。すいません。

岡田:「ナウシカ2」をやればいいんだよな。あいつは本当に。
それはなんかね、「巨神兵東京に現わる」をやって、ちょっとつかめているはずだから、「ナウシカ2」って……なんだろうな、土鬼対トルメキアの地上戦になるわけじゃん。だから、庵野監督でやったら、面白い見せ場を一杯出せるし、「エヴァンゲリオン」特有の、世界系というんですかね。心の問題っていうのを扱わなくても、ドラマ的な対立が一杯作れるから面白く出来るし。庵野くんが好きな、旧日本軍の話がそこら中で出来るじゃん。ノモンハン戦とかさ、レイテ沖戦とかが一杯できるんだから

S田:コメントでも「あーそれいい」って書いてありますね。
じゃあ、もう一つ。これは質問というよりもお願いですね。岡田さん脚本を書きませんか?

岡田:(じゃがりこ中)……脚本?

S田:たぶん、今回の話で非常に感銘を受けたんでしょう。コメントでもいくつか(アニメーションスタジオ)「シャフトに雇われた方がいい」とか。

岡田:俺、脚本書くんじゃなくて、脚本家とか、監督に呼んでもらって、なんぼでも話すっていうのがいいんだけどな。
「トップをねらえ2」の時にやったみたいに。「はいはい、呼ばれましたー。なんぼでも話しまっせー。コーヒー1杯で2時間話しますから」っていって。で、今、決まってるプロットというのをホワイトボードで整理して、これですね、分かりやした、分かりやした、じゃあ、こうっすね……って言って、誰も思いつかない意外な線っていうのは俺は出来るんと思うんだよ。

S田:なんがすごく明快に想像できます。

岡田:うん。だからといって、俺が頭からお尻まで調和のとれた脚本というか……ていうか、俺ね、論理力は低いんだよ。脚本家は何よりも論理性が大事なんだけど、僕はね、理屈力は高いんだけど論理力は低いんだよ。
理屈と論理の差はなにかというと、理屈というのは、この場で聞いている人に「なるほど」と思わせる力というのは、とんでもなく高いんだけども。それを応用して、仕組みを作ってうまく動かないんだよな。こういう人間は、手品師には向いているんだけども、科学者には向いてないんだよ。俺は、魔法使いの末裔であって、科学者ではないんだよ。

S田:皆、納得しちゃっていますね。「なるほど」って(コメントに)書いていますね。

岡田:だから、超説明が上手いから。だから、僕はたぶん日本政府に雇われたら、どんな政策だろうと、国民がかなり納得できるように説明する自信はあるんだけど、そこまで魂売りたかねーなーって。

S田:ははは、なるほど。

岡田:だって、それでもらえるのって、しょせん金であって。金で買える物っていうのは、もう全部知っている世界じゃない。だから普段泊まっているホテルの1泊1万円の部屋が1泊マンダリンのスイートあたり200万円ぐらいか。……になるぐらいで、ろくなことないよね。

S田:なるほど。たしかに200万円のスイートに泊まってもねー。

岡田:200万円のスイートに泊まってやることって。真っ先に友達を呼ぶしかないしね。こんなところに泊まって、あとニコ生で360度カメラ回すとか。

S田:まずLANケーブル探しますね。

岡田:俺ら、たぶんそのスイート泊まる機会があったら、その場でロケしか考えないもんな、絶対に。

S田:……スイートルームにLANケーブル無さそうですね、有線ランとかね。

岡田:あると思うよ。海外エグゼクティブとか……。あのさ、スイートって何のためにあるのかっていったらさ……っとね、俺、ある程度のスイートに泊まったことあるんだよ。
1泊25万円ぐらいまでだったら泊まったことあるよ。
で、スイートっていうのは甘いっていう意味じゃなくて、続き部屋っていう意味じゃん。ベッドルームがあって、リビングがあって、ソファーがあって……これがスイートじゃん。金が掛っているスイートって、ここに会議室があって、ミーティングルームがあって、ここにもう一つベッドルームがあって、こういうふうになってるんだ。(ホワイトボードに図を描く)
で、帝国ホテルなんかにある、もっと高いやつはこれがワンフロアそのままになっていて、ここに台所とかあるんだよ。このクラスぐらいで大体70万円だと思って。

S田:これ、もしかして、僕が……あの、スイートルームに行ったことあるかもしれない。
ある現代美術家の方がフランスで個展をしたことがあるんですけど、その時のホテルがほとんど借りて、スタッフが皆入っていて、会議室みたいになっていて、そこのある一角もこんな感じになっていましたね。

岡田:海外のスイートは安いよ。結構これぐらいで、リッツでなければ、たぶん10万円か15万円ぐらいだと思う。この方が安くつくんだよ。ベッドルームが3つあるし、会議室を借りなくて済むじゃん。
日本で、ホテルの会議室を借りると1時間4万円ぐらい取られるんだよ。でもこれだったら3泊していたら3泊の間、ここ使い放題なんだよ。ここの台所に一人……帝国ホテルだとシェフが一人付きっきりで、24時間なに言っても何でも作ってくれるんだ。結局、海外のエグゼクティブをこの何十万の部屋に、3日間240万円払って入れたら安くついちゃうんだ。

S田:安くつきますね。ここら辺で怒鳴って、ホワイトボードでこれだあれだ……って、ずっとやるわけですね。戦場ですもんね。

岡田:だって、マイケル・ジャクソンって、タバコ嫌いだから、そのフロアの廊下からエレベーターから全部壁紙を張り替えさせるんだよ。で、それでもスイートに1週間泊まってくれるからホテルは儲かるって言うんだけど。……変だよね、あいつ。

S田:コメントでも「えーー」って書いていますね。

岡田:これが有料会員の特権です。さすが1ヶ月500円払っているといいことあるよな。

S田:これ今150円分ぐらいの価値ありますよね。

岡田:(コメントより)「今、このスタジオ何人いますか?」……4人だよ、4人。

S田:岡田さんも含めて4人です。

岡田:だから、僕と、ここにいるS田さんと、カメラのぞいている監督と、向こうにいるノボル。ノボルが運営コメントとかやってくれているんだよな、今日はやってない、見ているだけ。

S田:なんで、こんな少人数でやっているんだろう……って、いつも思うんですけど。

岡田:だから、シナリオはね、やりたかないなぁ。シナリオは本当に。あれね……シナリオって、汚れ仕事なんだよ。結局、監督とかプロデューサーが、こうやりたい、ああやりたいって言ったら、最後にシナリオライターが全員が言ってることをなるべく覚えながら、バランスをとって作る仕事なんだよ。
だから佐藤大だって、やりたいって言わないんだよ。佐藤大ですら、シナリオは若手に書かせるの。

S田:佐藤大ですら。

岡田:佐藤大は、自分はもう、腕組んで、こういうシーン入れよう、ああいうシーン入れよう……っていうふうなところに居るんだよ。だから、シナリオ書くっていう肉体労働はやりたくないなー。

S田:シナリオ=肉体労働、いいですね。

岡田:(コメントより)「小説書くのは?」……小説? それも無いですね。フィクションという意味では、その週刊アスキーで書いている「ま、金ならあるし」が昔話をやっていてるふりをしながら、徐々に徐々に梶原一騎化しているんだよな、俺。

もう、こんなこと本当にあったかな……あったような気がするって世界に……。俺もう、中学の時の友達が怖くて、怖くて。「ちょっと待てよ、あれは俺が言ったじゃなくて、岡田が言ったんだろう」って言われる。微妙にもう、配役をずらしたり、キャラの整理しちゃっているからさ、梶原一騎化しているから。
「小説書かないんですか」っていうふうに言われなくても、もう実は数年前からぼちぼち書いていますよ、と。
『遺言』ぐらいだよな、最後に真っ正直に何にも加えずに書いたと思ったので。でもその『遺言』ですら、このあいだ、上村君にワンフェスで会ったら、岡田さんからは、ああ見えていたんですねって言われて。そりゃ、お互い様だろー。

S田:もう30分切ろうとしてますね。
ちょっと最後に、次の企画会議というか、一つ番組の提案をさせていただきたいんですけど、たぶん、このユーザーの皆さんはご存知だと思うんですけど「エヴァンゲリオン」をですね、上映することになったんですよ、ニコニコで。
それがですね、10月25日から毎週木曜日、12月までかな。26話を3話ずつやるんですね。

岡田:3話ずつ、メモしようか。(ホワイトボードに書く)

S田:すみませーん(番組の放送日程)テレビで「エヴァ」の「破」をやるじゃないですか。で、これをそれぞれ実況するっていう番組なんですけど、これのどこかを岡田さん、実況しませんか。

岡田:実況って何をするの?

S田:実況って(放送を)観ながら話すんです。
2画面にして、こっちがテレビ、今回はニコニコですね。音は出てないですね。で、あーだこーだ。
ほらもう……見たいですよね? (コメント)「やべえ、みたい」「絶対みたい」「やるならみる」……で、これを今全部やるのは、たぶん岡田さん死んじゃうと思うんですよ。失礼な言い方で申し訳ないですけど。でもそうだと思うんですね。
だから、どこか1つ。ほか宇野さんとか、幾人かブロマガをやってるような人たちを集めてやろうと思っています。例えばハックルさんとか。

岡田:ハックルさんって何それ?

S田:岩崎夏海。岩崎さん。「もしドラ」の作者。

岡田:岩崎さんって、今ハックルさんって呼ばれてるの? 「もしドラ」で食うねー

S田:そういうのもあるんですけれども、ちょっと、どこか。

岡田:やるとしたら、どこが面白いんだろうね。

S田:一つは劇場版、あーあの金曜ロードショー。
金曜ロードショーが9日と16日にあるんですけど、これはなんか公式放送で別にやるんですよ。たぶん吉本の芸人さんとか……僕は担当してないんですけど、吉本の芸人さんとか集めてワーワーワーすごいねって、やるんですけど

岡田:あー。劇場(版)の「序」と「破」は、俺、愛がないよ、愛がない。テレビの方が良かったよねってしか言わないから、新キャラ何これ、またもって回ったセリフで、先のこと考えてねーんだろって。ホント、立川談志状態になるからさ。
愛があるのはどこって聞かれると、愛があるのはテレビ版だよね。テレビ版の23話までじゃないの?
サブエピソードがないな。

S田:僕、検索します。

岡田:ヤシマ作戦はなんだっけ。あれはなんて回?

S田:コメントっていう素晴らしい装置があるんです。……5話ですね。

岡田:1話と2話はすごく出来がいいから。3話ってなんだっけ。3話ってなんだっけ?

S田:3話ってコメントで答えてください。……「鳴らない、電話」

岡田:はいはいはい。あー俺が嫌いなやつか。

S田:4話は「雨、逃げ出した後」。

岡田:あーもっと嫌いなやつ。

S田:これ、読み上げていくの恥ずかしいんで、なんか言ってください。

岡田:なんかあのヤシマ作戦があって、アスカが出てくるあたりがエヴァはロボットアニメとしてもえるわな。

S田:じゃあ8話、アスカ来日、9話 瞬間、心、重ねて。

岡田:もうどうでもいいやそれ。

(一瞬停止)

岡田:動いた動いた

S田:はい、すみません。

岡田:音も大丈夫。

S田:音、聞こえますかー?

岡田:で、これを実況をやれと、やって欲しいと言うことですな。

S田:……あのね、お金を返してとか書かれるとホントにショックうける。僕、だいたい寝る25時とか26時ぐらいに、そのときにふっとコメントがよぎるんですよね。ちょっとこうジワっと来ちゃいますよね。まぁ、豆腐メンタル、そうです。で、話を戻してください。

岡田:やりやすい回、やりにくい回あるんだけども、実況っていうのがよく分からん……っていうのは、分からんよな、正直見たことないし。
うーん、「ふしぎの海のナディア」の時はNHKの「ナディア」の最終回あたりにやろうと思ってたんだよね、それは、自分としては語れることがあるからとか、こういうことやりたかったんだけどねって語れるんだけど。

「エヴァ」になってくると、さっきの、アニメの作り手と受け手の問題だったら、その受け手の問題メインで語ることになるんだよな。つまり、これはどういうふうに見えるのかとか、あと、なんだろう……こういうシーンって結構大変なんだけど、ちゃんとやってるっていう話になっちゃうんで。30分アニメ3話で60何分だよな、持つかなー。

S田:きっと持ちます。なんで僕が。

スタッフ:だから、ずっと眺めていてもいいんですよね?

S田:あれですよ、なんか友達と観る感じの、ちょっとうざがられる感じがちょうどいい。

岡田:やるんだったらこれぐらいかな。1話~3話。

S田:おーこれですか。

岡田:うちの事務所でという条件。どこかへ行くのはイヤ。

S田:なるほど。

岡田:(番組の)1話から3話。今週か。

S田:お、決まり?

岡田:明々後日、ちょっと待って。俺、木曜日の自分のスケジュール見ていないから。一斉に皆がこういうことをやり出した……俺が何か約束入れてないかな……大丈夫だ。やるんだったらやるで、1話から3話をやるのがいちばん楽な気がするよ。

S田:最終話よりも、そっちの方がいい?

岡田:最終話だったら、中身に関して色々言わなきゃいけないのがしんどい。最終話あたりが好きなだけであって、24話が好きなだけであって、25話26話って、俺なんか愚痴言うだけだな。

S田:なるほどですね。これね、放送中に(日程を)決めたいんですよね。

岡田:25日の木曜日に、うちにこの設備を持って来て出来るか。電話をしてスタッフ集めるわけね。

S田:ちょっと1分だけ待っていて(どこかへ移動)。

岡田:今、助田さんが上司に電話するか、部下に電話するかして、枠を取るというのと、スタッフを確保するというのを始めたね。
もうどちらかというと、俺の方の問題は25日までに風邪が治るかどうか……一応、明日と明後日は(予定を)キャンセルして休むつもりなんだけど、週刊アスキー(の連載)だけは、何がなんでも今晩中にあげなきゃいけないってのと。あと、マガジンハウスのゲラ返しがもう限界だから、三分の一ぐらいは戻さないと。アマダさんのストレスが限界に来ているよな。
そう、いい人なんだけど。そうそう、俺、今晩今から帰ったら……かなり今、フラフラなんだけど、週刊アスキーの原稿だけ書かなきゃいけない。週刊アスキーの原稿って、今(発売の号に)連載しているやつはまともなんだけど、今僕が書いている話は、なんで3年14組の男子全員が包茎になったかって話書いているから。俺の中学校。

スタッフ:あれ、出すんですか? ひどい話ですよ。

S田:なんの話、しているんですか?……と、ぜひお願いします。

岡田:10月25日木曜日の21時から22時ちょっとぐらいまで。はい、分かりました。3話だから25分25分ですね。

岡田:オープニングもエンディングもそのままやるの? じゃあ、オープニングとエンディングは一緒に歌うわ。もうカラオケだわ。

S田:大人の事情によって、全部チャンネル(放送)なんですけど、大丈夫ですか。……スタッフは後で話しましょう。一応どんなことがあってもやります。
こうやって、周りの人たちをどんどん苦しめていくんですけど、僕はすごく楽しみです、これ。

岡田:監督、タチワニさんに申し訳ないから、これに20分ぐらいブロマガ(放送)やろうか。まぁ、これで金曜日寝てりゃいいや。

S田:風邪を直さなきゃいけないというので、そろそろ止めていいですか? 最後にひとつだけコメントで聞きたいことあれば答えますよー。

岡田:あんなに放送が中断してたのに、この話だけで終わっちゃうとか。
コメントより「なんか差し入れしましょうか」……いやー、なんかね、差し入れされると太るから。

S田:じゃあ、最後に一つ宮崎息子はアニメ史に残る監督ですか。

岡田:いや、アニメ史には残らない。なんですかね、あの人は。すごく出来がいい二代目社長だと思うから。
あのね、プロデューサーだと思うな、どちらかというと。だから鈴木敏夫が、たぶんね……脳卒中かなんかで死ぬと思うんだ。宣伝会議中に怒って脳卒中だと思うんだよ。で、その時に、立て直すのって高畑さんでもなければ、宮崎父さんでもなくて、息子でしょ。
で、そのあとはなんだろうな、ジブリは安定路線をちゃんと行けると思うんだけどね。次の作品、もうお父さん最後だと思うんだよ。無理でしょ、アニメの監督、体力的に。

S田:ありがとうございます、おつかれさまです。

岡田:では、明々後日の木曜日の21時エヴァンゲリオンの1話から3話でお話しましょう。俺も脳卒中で死なないようにします。じゃあ、ばいばい。

※上記の「エヴァ」実況の生放送は終了いたしました。下記をご覧ください。
http://www.nicovideo.jp/watch/1351265824

※ニコ生ゼミ書き起こしのため、誤字・表記の揺れがございましたら何卒ご容赦ください。

 (企画・編集:ドワンゴ 助田徹臣)


【新着映像】ニコ生実況!『新世紀エヴァンゲリオン』第1話~第3話 他
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◆~岡田斗司夫とニコ生実況!~『新世紀エヴァンゲリオン』第1話~第3話(一般公開)
http://www.nicovideo.jp/watch/1351265824

◆岡田斗司夫の楽屋トーク「エヴァと3メートルの宇宙人」(会員限定)
http://www.nicovideo.jp/watch/1351360201

◆HONZインタビュー「オタクの息子に悩んでます」(会員限定)
http://www.nicovideo.jp/watch/1351599482

◆古市憲寿×岡田斗司夫「道徳の時間」(会員限定)
http://www.nicovideo.jp/watch/1351688336

◆宇宙開闢亭 爆発炎上(島本和彦)「落語2.0」(会員限定)
http://www.nicovideo.jp/watch/1351926198

(のぞき見のミホコ/FREEex)


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ブロマガ「岡田斗司夫のニコ生では言えない話」では、岡田斗司夫のコンテンツの映像・音声・テキストをお届けします。
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それではまた次号!
ブロマガ「岡田斗司夫のニコ生では言えない話」どうぞお楽しみに。


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 岡田斗司夫のニコ生では言えない話 第8号 2012/11/12
───────────────────────────────────
企画編集:ドワンゴ 助田徹臣(ブロマガ独占記事)
     のぞき見のミホコ(FREEex)
発  行:株式会社タチワニ
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    【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】庵野監督から人生相談「エヴァのあと私はどうすればいい?」 第7号
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著者
岡田斗司夫
プロフィール
作家、評論家 1958年、大阪生まれ。株式会社オタキング代表。FREEex主宰。常に時代の先を読み、ユニークな創造をし続けるクリエイター。アニメ・ゲーム制作会社ガイナックスを創業、社長時にはアニメ『王立宇宙軍オネアミスの翼』『ふしぎの海のナディア』、ゲーム『プリンセス・メーカー』などを手がけ、ブームを巻き起こした。その後、東京大学非常勤講師に就任。作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師などを経て、現在は大阪芸術大学客員教授。多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を越え、人々は尊敬の意味をこめてオタクの神様「オタキング」と呼ぶ。
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