新しい出生前検査巡りシンポ11月13日 19時13分
妊婦の血液を調べ、胎児に染色体の異常があるかどうか判定する新しい出生前検査の導入を前に、さまざまな分野の専門家と一般の人たちが意見を交わすシンポジウムが開かれ、妊婦に対するカウンセリングの重要性を指摘する意見が相次ぎました。
シンポジウムは、妊婦の血液から胎児の染色体の異常を判定する新しい出生前検査の国内への導入に先立ち、日本産科婦人科学会が検討を進めている指針に幅広く意見を反映するため開きました。
はじめに学会の倫理委員を務める横浜市立大学の平原史樹教授が「妊婦の揺れ動く気持ちをくみ取りながら検査の内容を説明し、最終的に自分らしい選択をしてもらうことが重要だ。そのためにはカウンセリングを通して正確な情報を伝えていくべきだ」と強調しました。
これに対し、遺伝カウンセリングが専門の大学教員や、小児科で遺伝性の病気を多く診療している医師も、妊婦に対するカウンセリングの重要性を指摘していました。
一方、新しい検査で判定できるとされるダウン症の患者団体の代表は「誰一人、完全な遺伝子だけを持っている人はいない。どんな人間でも生きていくうえでリスクはあり、どんな子どもでも育てる大変さはある」として、「どこに線を引くかしっかり議論してほしい」と訴えていました。
日本産科婦人科学会では、13日に出た意見も参考にして年内に検査の指針をまとめたいとしています。
新出生前検査に根強い懸念も
出生前検査は、胎児に病気や障害があるかどうか判定する検査で、母体の健康を守るとともに、胎児に重い病気などの疑いがある場合、出産直後から対応できるようにすることが本来の目的です。
出産する女性のおよそ4人にひとりが35歳以上とリスクの高い高齢出産が増えていることもあり、出生前検査は、羊水を採取して胎児に染色体の異常がないか調べる「羊水検査」だけでも1年間に1万6000件程度実施されているとみられています。
妊婦の腹部に針を刺し、0.3%の確率で流産の危険がある羊水検査と違って血液に僅かに混じった胎児のDNAを調べる新しい出生前検査は流産のおそれがなく、ダウン症など3種類の染色体の異常を高い精度で判定できるとされています。
一方、出生前検査で胎児に病気が見つかり、人工妊娠中絶を選択したとみられるケースはこの20年で7倍余りに増えたと推定されていることから、血液検査と同じ、簡単な方法で受けられる新しい検査が普及すれば人工妊娠中絶の増加につながるのではないかという懸念が根強くあります。
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