ここから本文エリア 県、タブノキ伐採2012年11月08日
【彦根の犬上川に自生 改修工事/研究者ら「調査必要だった」】 彦根市八坂町の犬上川右岸に自生するタブノキを含む林が、県の河川改修工事で伐採された。海岸に多いタブノキの群落が内陸部で見られるのは琵琶湖ぐらいといい、研究者は「伐採前に調査すべきだった」と県の対応を批判している。 伐採作業をしたのは、県湖東土木事務所で、土砂で狭くなった川幅を広げるため今月に入って工事に着手。長さ300メートル、幅10メートルにわたって木々を伐採したという。 工事に気づいた近くの県立大環境科学部の野間直彦准教授が6日に現地を確認したところ、林の半分が伐採され、幹の太さが123センチある大木を含むタブノキ3〜4本が切られたという。同日、土木事務所に抗議をした。担当者は「異動して引き継ぎもなく、植物の状況を知らなかった」と答えたという。 県立大の学生時代に野間准教授と犬上川の自然を調査した大阪市立自然史博物館の横川昌史学芸員によると、琵琶湖周辺のタブノキは、県のレッドデータブック(2005年版)では大切にすべき「郷土種」として記載され、過去にも対岸にあった自生地で伐採計画が持ち上がり、研究者らの申し入れで自生地を避ける工法が取られたという。横川学芸員は「いままで協力して保護してきたのに相談がなかったのは非常に残念」と話した。 土木事務所河川砂防課の伊賀並順一課長は「10年以上前に県立大と協議して、下流部分のタブノキ林は残すが、今回の現場の林がなくなることは了解してもらったと思っていた」と説明するが、野間准教授は「河川工事は自然環境への配慮が求められる。工事の前に説明と調査が必要だった」という。(片木啓)
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