
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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短くなる一つの事業の寿命
電機業界のリストラが激しい。特に日本が強いと言われてきた半導体や液晶など、高品質で高機能な製品を支えてきた事業が、である。ソニーは岐阜県美濃加茂市の工場を閉鎖、シャープは早期退職者を募ったところ想像以上に応じる人が多く、募集を打ち切るといった事態まで起きている。そしてパナソニックのトップは「自分たちは負け組になってしまった。」と自ら認めた。
私が学生だった頃は、「ソニーは独特な世界を持った企業イメージで、東芝は堅実そうで、富士通、NECも良いよね。」などとワクワクしながら話をしていたものである。当時は携帯電話も新しい機種がどんどん開発され、半導体も高速化が進み、チップの設計などは研究開発の花形であった。そういえば私の同期は当時「ブラウン管テレビの歴史は長くこれからも安泰だろうから、自分はテレビをつくる部署を希望した。」と言っていた。
もはや、液晶テレビになってしまった今、彼女は何をしているのだろうか? 連日の新聞や報道を見ていると、技術系の人間が高度な技術を持っていても、もはや日本では仕事がないのではないかと思ってしまう。あるいは、優秀な技術者は既にサムスンやLGといった、日本のシェアを奪った企業にヘッドハンティングされているのではないだろうかと危惧する。世界的に一つの事業の寿命が、年々短くなってきているような気がする。
最新号のメルマガでは、日本の技術者集団の儲けのしくみを分析している。
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