放射線教育 次世代に 伊達のICRP対話集会 政府に提言へ
東京電力福島第一原発事故を受けた国際放射線防護委員会(ICRP)の対話集会の最終日は11日、福島県伊達市役所で開かれた。原発事故の経験と教訓を基に、実践的な放射線教育を次世代に伝える重要性を確認した。議論を近く提言としてまとめ、政府や関係機関に提出する。
最終日は前日に続き、「子どもと若者の放射線教育」を中心に討論した。その中で、(1)科学的知識だけでなく、被災地で暮らす上での実践的な放射線教育が必要(2)放射線を正しく理解し、自ら判断する力を養う(3)本県の原発事故の経験を生かす(4)教訓を忘れず次世代に伝える(5)保護者、地域を含め文化としての放射線教育-などの論点を集約した。
ICRP委員で司会を務めるジャック・ロシャール氏(フランス)は「今回の原発事故を教訓とする放射線教育は福島にとどまらず、県外、そして世界に発信すべき」と訴えた。ICRPは論点を基に提言をまとめる。
事例発表では飯舘村の広瀬要人教育長が放射線教育の指導計画を説明した。教師の研修を重ねたことを紹介し、「子どもや保護者に安心感を与えるには教師の指導力向上が必要条件」とした。広瀬教育長は「被災地への差別や風評、風化をなくすため、国全体で放射線に対する正しい理解が必要」と訴えた。
川俣町の小学校の放射線教育、文部科学省が作成した副読本の内容、伊達市霊山町の伝統文化の継承なども報告された。
対話集会は4回目で、ICRP委員や国内外の各機関・団体、学校関係者ら約50人、市民ら約20人が参加した。次回は来年2月ごろの開催を予定している。
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