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国際
【月刊正論】中国の恫喝に屈するな 「反三戦」をただちに撃て!
妥協は「心理戦」への敗北
防衛研究所研究員だった斉藤良氏は、2003年12月に改定された人民解放軍の「政治工作条例」に、堂々と「世論戦、心理戦、法律戦を実施し、敵軍瓦解工作を展開する」と書き込まれたことに注目する(斉藤「中国の三戦と台湾の反三戦」『陸戦研究』平成22年6月号)。これら非軍事の3つの戦いを駆使して、相手国の打倒を狙うという。
現役の将校が書いて話題を呼んだ1999年発行の『超限戦』にも、(1)視聴者を操り世論を誘導するメディア戦 (2)デマや恫喝で相手の意思をくじく心理戦 (3)先手を取ってルールをつくる国際法戦-として登場する。ちなみに、実力者、習近平氏の彭麗媛夫人は文芸工作を担当する将官待遇の幹部である。2009年11月に来日したときは、人民解放軍政治部歌舞団の団長として学習院で公演し、皇太子殿下も観覧された。習総書記の時代を迎えると、三戦がさらに加速する可能性がある。
今回も9月11日、日本政府による尖閣国有化をきっかけとして、中国は世論戦、心理戦、法律戦の三戦を総動員して「日本人の弱点」を突いてきた。温家宝首相による「主権と領土問題は半歩たりとも譲らない」という強硬発言が、いわば対日攻勢の開始宣言であった。
まず、北京や上海など主要都市で、巧みに計算された反日デモが発生したのがそれだ。北京の日本大使館前のデモは、グループごとに整然と実施され、「中国共産党万歳」とのスローガンが踊った。デモの背後には、当局の影が見え隠れして、「100元(約1200円)をもらってデモに参加した」という声も聞こえた。ただ、これを引き金に民衆が暴徒化したため、あわてた当局は、一転してこんどは制御に動いた。人々の汚職や経済格差への不満が、一気に共産党体制を揺さぶりかねないからである。
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