GS美神異聞GS横島
第一章:横島除霊事務所オープン前夜
「カンパ〜イ!」
魔鈴の店のドアには 本日貸し切り の札がかかっていた。
横島の事務所の開業祝いのパーティー会場である。
事務所のメンバーの他に、唐巣神父、ピート、エミ、タイガー、冥子、弓に一文字、おキヌ、シロといったメンバーが盛り上がっていた。それを横目に主役なはずの横島は隅っこで美智恵と小竜姫の二人を相手に静かに飲んでいた。いつもなら、すぐに近づいてくるシロもタマモやおキヌに引っ張って行かれていた。
「美神さんはやっぱこないんすか・・・」
横島のつぶやきに美智恵は肩をすくめた。
「飼い主の手を噛んだ犬に用はないって言って、西条君を呼び出して出かけていったわ」
「・・・・」
「気にしなくっていいわよ、子供っぽいただの癇癪だから。」
「そうですよ、美神さんだって本当のことを知れば「小竜姫様」」
小竜姫の言葉を遮ると、横島は静かに首を振った。
「俺が美神さんを裏切ったのは本当なんですから、それどころか隊長や小竜姫様にまで迷惑を掛けてしまって・・・」
寂しそうに微笑む横島の顔をつかむと両頬をぐいっと力いっぱい引っ張った手があった。
「い、いてて・・・ややふぇて、おねふぁい、ひのふぇひゃん」
いつの間にか美智恵の膝から横島の膝に移動したひのめがぷーっと頬を膨らませながら横島の頬を引っ張っていた。
「にいたん、ないたらめーなの。ひのめ、きらいなのよ。」
この春から保育園に通い始め、急激に言葉を覚え始めたひのめは実の姉よりも横島になついていた。
その理由の一端に、某母親のマインドコントロールがあるとかないとか・・・
「(くす、)横島さん、ひのめちゃんが怒ってますよそんな悲しそうな顔をするから。
それに、私は横島さんに迷惑を掛けられたなんてこれっぽっちも思ってませんから。」
(むしろ、会いに来る理由が増えてうれしいんですよ?なんて、言えませんけどね・・・)
ふっと、視線を落とすとようやく、横島の頬を離したひのめが小竜姫をじっと見ていた。「なあに、ひのめちゃん?」
「にいたんはひのめのだからとったらめーなの!」
横島にぎゅっと抱きつくひのめは目に涙を浮かべていた。
ひのめをあやしながら横島はジト目で美智恵を見た
「隊長、またひのめちゃんに何か吹き込みましたね?」
「何のことかしら?ひのめはお兄ちゃんが大好きなだけよ「ね〜」」
ひのめを自分の方に抱き寄せながら、娘とふたり「ね〜」とハモリながら笑っていた。
「いいですね、親子って・・・」
小竜姫の呟きに横島はニッコリと微笑んだ
「小竜姫様だっていずれは好きな相手と家庭を持つんじゃないですか?小竜姫様の赤ちゃんか、かわいいだろうなぁ」
「「・・・・」」
「ん、俺なんか変なこと言いましたか?」
二人が自分をじっと見ている。キョトンとした顔の横島に二人は嘆息した。
「変わったわね、横島君・・・」
「ほんとに、以前だったら「僕が赤ちゃんを作るのに協力しまーす」とか言いながら飛びかかってきましたよね」
二人の言葉に横島は頭をかいた。
「いや、まあ、色々と焦らないことにしたんですよ。取り合えずここが俺のスタートラインっすから・・・」
グラスの中の琥珀色の液体をジッと見つめる横島はそれを一気にあおった。
「最近は体の方はどうですか?」
話題を変えるかのように小竜姫は話しかけてきた。
「ええ、いただいた薬のおかげでだいぶいいっすよ。薬が効いてる間は美神さんにだって気づかれやしませんって」
かすかに笑う、横島に二人は気遣わしげに視線を外した。
「そうですか、でも必ず月に一度は妙神山にいらっしゃってくださいね。」
「はい、そのために雪之丞に無理言ってうちのメンバーになってもらったんすから」
遠くで弓と仲良く喧嘩(笑)している雪之丞を微笑みながら見る横島はやはり以前とは顔つきも落ち着きも別人のようだった。
しかし、そんな横島を気遣わしげに見つめる複数の視線に本人は全く気づいておらず、その辺に関しては鈍い横島のままだった。
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後書き:
後書きはかいたほうがいいんでしょうか?
まずは弟子さんお言葉ありがとうございます。質問のお答えは文章から察していただけますでしょうか?(汗
早く、慣れるためにもしばらくはがんばって短期UPするように努力いたしますんで、指摘、忠告等ありましたらよろしくお願いします。(笑
取り合えず、全員なんて書く能力なぞ無いんで、メインは自分のお気に入りの上位から編成いたします。続けられるようなら増えていくとは思いますが・・・
多少は伏線(?)らしき物は蒔いたつもりですが、使えるんだろうかと思いつつの第一話でございます。最後までお付合いいただきありがとうございました。