GS横島の選択
プロローグ
「ルシオラのこと、残念だったけど何とか立ち直ったようだね。」
美神の事務所を訪れ、魔界に帰る前に挨拶に来たベスパに横島は優しい微笑みを向けていた。
「そういうわけでもないんだけどな。おまえだって同じだろ?」
自ら、魔界軍に身を投じることを選んだベスパを最初は自棄になったと思い色々と心配をしたが、事務所に来たベスパを
みてどうやら自分の思い過ごしだったと安堵した横島の柔らかな視線に少し顔を赤らめベスパは視線をはずした。
(何となくあの方に似てる?)
そんな考えがベスパの中に浮かんでいた。
「もし、我々で何か役に立つことがあれば呼んでくれ。必ずくるから」
ベスパと共に来ていたワルキューレがそういうと、横島の肩を叩いた。
「ああ、俺ももっと色々と学んで置くよ。やりたいこともできたしな。」
そういった横島の顔ははれ物が取れたように穏やかだった。
それを横目に、不機嫌そうな美神と悲しげな顔のおキヌが対照的だった。
「あれ?そういや、パピリオはどうしたんだ?小竜姫さまと妙神山へ行くんだろう」
横島の言葉にベスパとワルキューレは苦笑した。
「おまえと別れるのがやだって駄々こねてな、泣き疲れて寝むっちまったよ」
ベスパの言葉にちょっと困った顔をして、たまには妙神山へ行くからと言うと、ベスパもそうしてやってくれと優しげに
微笑みそして魔界へと帰っていった。
その翌日、GS協会から横島忠夫のS級へのランクアップが正式に通達された。
それと一緒に、美神宛には国税局と労働基準局からの手紙来て彼女を青ざめさせていたのは別の話である。(たぶん♪)
時は流れ約二年後、一年留年こそしたがなんとか高校を卒業した横島は周囲の進めもあり、
(特に美智恵隊長と西条(笑)の・・・)美神事務所を辞めた。
独立した横島忠夫除霊事務所のメンバーは
所長 横島忠夫
所員 タマモ
事務員 花戸小鳩
客員 伊達雪之丞
顧問1 小竜姫
顧問2 美神美智恵
である。
ちなみにシロとおキヌは保護者から美神が直接預かっているため移籍はできず、タマモは押しかけ所員だったりする(笑)
二年間、美智恵の助言もあり個人で何件かの仕事を請け負いお金を貯め、事務所兼新居のマンション借り、引っ越しも済
み、明日から開業である。
「ルシオラ、見ていてくれよ。俺がんばるからな・・・」
マンションの窓から夕焼けに染まった東京タワーを眺め、缶ビール一人傾ける横島だった。