中国:地方政府が太陽光パネルメーカー救済
毎日新聞 2012年11月13日 19時36分
【北京・井出晋平】中国の地方政府が経営不振の太陽光発電パネルメーカーの救済に乗り出している。先月、大手の「賽維(さいい)LDK太陽能高科技」(江西省)の株を、地元政府系企業が取得。経営が悪化した他メーカーも、それぞれ地元政府が支援に乗り出した。低価格を武器に国際市場を席巻した中国勢だが、メーカーの乱立や価格競争が自らの首を絞める結果を招いており、パネルメーカーの政府支援には中国国内からも「不公平」との批判が高まっている。
米・ニューヨーク証券取引所に上場する賽維LDKは10月19日、賽維LDKの株の19.9%を地元政府などが出資するエネルギー企業が買収すると発表した。中国メディアによると、このエネルギー企業は今年9月に設立したばかりで、救済の受け皿との見方が出ている。賽維LDKは今年、業績悪化から従業員の約5分の1に当たる約5000人の解雇に踏み切っている。
一方、欧州の証券取引所に上場する「中国東営(とうえい)光伏太陽能(CNPV)」(山東省)も、地元政府が51%の株を取得したとメディアが報じた。また、世界シェアトップでニューヨーク証券取引所に上場する「尚徳(しょうとく)太陽能電力(サンテック・パワー)」(江蘇省)も、急激な業績悪化で減産やリストラに踏み切っており、地元政府や国有銀行が支援に乗り出すと伝えられている。
中国メーカーの乱立による供給過剰と価格引き下げ競争をめぐっては、米国が中国製太陽光発電パネルに反ダンピング(不当廉売)関税を課すと決定。欧州連合(EU)も反ダンピングで調査を始めており、国際的な風当たりも強まっている。
中国の地方政府にとっては、成長めざましかった地元の大企業を支援し、雇用維持などを図る狙いがあるとみられる。しかし、中国国内でも「太陽光発電パネル企業だけを救済するのは不公平。市場経済の本質に反する」(中国紙・新京報)と批判の声も出ている。