はじめまして。深山織枝です。
私は、5月に放映されたNHKスペシャルの、
未解決事件File02『オウム真理教』のドラマの中で
オウム真理教の元サマナ役のモデルになりました。
名前はそのときに脚本家さんがつけてくださったもので、
本名ではありません。
私はもともと、こうした公の場に顔をだして
さらに自分の考えなどを主張する気持ちは
まったくありませんでした。
しかしNHKに協力してあのドラマがつくられてから、
深山織枝というキャラクターが、
私の思いとはまったく別の方向へと一人歩きしていることに
戸惑いを感じています。
あのドラマは、あくまでも実録ドラマということでできたものなので、
ある程度の演出は仕方がないとしても、
あまりにも曲解されてしまっては、
私がNHKに協力をさせてもらった意味までが、台無しになってしまいます。
そこでやはり、一度自分の思いを自分の言葉で正確に伝える必要があると考えて、
このようなブログを作ることにしました。
といっても、もともと積極的に主張したいことが
それほどあるわけでもないというのが正直な気持ちです。
そのため、このブログを通じて行いたいことは、
私とは別人の私の主張の訂正のようなものなのかもしれません。
なので書きたいことを書いたら、しばらく休止というように、
更新はかなり不定期になってしまうとは思いますが。。。
それはさておき、今回はまず、
私自身の歩いてきた道、そして、そのときの思いなどを振り返ることで、
ドラマの中の深山織枝の考えなどを正しく伝えていけたらと思います。
☆*゚ ゜゚*☆*゚゜゚
私がオウム真理教から離れて17年が経ちます。
この間、かつてオウムにいたことなど
経歴を伏せたまま生活していました。
もしオウムの中でのこと、
そして麻原彰晃という人に対しての思いがすべて
否定的なものだけになっていたのであれば、
ここまで徹底することは逆に無かったかもしれません。
私の中には、それらのことに対して、否定的にはなれない思いが、
17年間変わることなく、ずっとありました。
しかしそのことを、オウムの実態をよく知らない人たちに理解してもらうのは、
とうてい不可能だと感じていたために、
これまでずっと過去のことを話さずに過ごしていました。
ただ、オウムを一緒に出て、その後に夫となった早坂武禮(ペンネーム)が
「オウムはなぜ暴走したか」という本を出版したときには協力しました。
注:いま現在は書籍の方は絶版となっており、
電子書籍のみとなっています。
この本には、早坂を通してのオウムでの出来事や
そこで感じたことや考えなどが書かれています。
でも早坂がこの本を執筆するときに意見を求められたり、
それ以前からいろいろと話し合ってきたので、
あの本に書かれているオウムや麻原さんに対しての思いは、
私のものとさほど変わらないと思っています。
その後、あの本を通して、
たまにマスコミの方からの取材を受けることがありました。
もちろんほとんどの場合は、本を書いた早坂に対してです。
ところが今回は、私もNHKから取材を受けることになりました。
その経緯はドラマのはじめの部分にあるので、ここでは省略します。
ただ正直なところ、自分ではドラマのための取材をOKしたというよりも、
正確にいうと、「断らなかっただけ」というちょっと消極的な姿勢です。
理由は、取材に来られたNHKの方々が、非常にまじめだったからです。
「真実が知りたい」という純粋な思いがストレートに伝わってきたので、
「断ることができなかった」というのが正確な表現になりそうです。
NHKの方々は、「被害者の感情」というものもよく考えられていたようです。
取材のはじめに、「もうこれ以上、事件のことに触れて欲しくない」
という被害者の方もいれば、
「これまでの報道や、裁判だけでは、
とうていわからなかったことを切実に知りたい」
と願っている被害者の方もいるということを教えていただきました。
そのどちらの気持ちを優先すべきかは、
本当に難しいところだと思います。
そして悩んだ挙げ句、後者の方々の気持ちを優先する選択をしたという、
そんな話をしていました。
そしてそれをやるからには、
これまでの紋切り型の報道とはちがったものにしたいとも話していました。
オウムの教義を見ようともしない、社会の側からの一方的な視線では、
これまで以上の真実は見えてきません。
そこで内部視線、つまり教団内の価値観なども知った上で、
オウムの側からも一連の出来事を振り返ることを考えたようです。
そしてそんなことを検討しているときに目にとまったのが、
内部視線でオウム騒動について書いている早坂の本だったそうです。
早坂はオウムから離れていますが、
当時のことなら内部目線で話すことができます。
また事件とは直接関係ない部分の、
かつてのオウムや麻原さんのことを真っ向否定していないので、
その点は取材対象としてうってつけだったようです。
とはいえ早坂はオウムの初期の頃を自分の目で直接見ていないので、
その部分は私が補っていました。
取材の中で、そんなことを繰り返しているうちにいつの間にか、
一連の事件には関わっていない古参の元信徒である私を通しての、
内部目線から見たオウムのドラマをつくるという話になっていたのです。
事情があって最終的には、NHKの記者が取材した
織枝目線のドラマということになりましたが、
どちらにしても私には青天の霹靂のようなものになりました。
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