米アップルと台湾HTC、全ての特許訴訟で和解
11月12日(ブルームバーグ):米アップル と台湾の宏達国際電子(HTC )の両社は、双方が世界的に繰り広げていたモバイル端末をめぐる全ての特許紛争で和解し、期間10年の特許ライセンス契約を結んだと発表した。
アップルはHTCが「iPhone(アイフォーン )」の機能を盗用しているとして訴えていたが、両社が11日公表した共同発表資料の中でアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は「引き続き製品のイノベーション(革新)に鋭い焦点を当てていく」と述べた。HTCはタブレット端末「iPad(アイパッド)」やノートパソコンを生産しているアップルがHTCのモバイル関連特許を侵害していると訴えていた。
アップルは米国際貿易委員会(ITC)に対し、HTCが指で画面を拡大するアイフォーンの機能を盗用したとして同社製品の輸入差し止めを請求。一方、HTCはより大量のデータを安定的に送信する技術がアップルによって侵害されたと反訴していた。両社は和解内容の詳細を明らかにしていない。
マッコーリー・グループのアナリスト、ダニエル・チャン氏(台北駐在)は「これはHTCにとって間違いなく良い方向での驚きだ」と指摘、「株価はこのニュースで上昇するだろうが、同社が抱える構造的問題を解決するものではない」と述べた。HTCでは市場シェアの低下、売上高や利益の減少が続いており、株価 は今年これまでに55%落ち込んでいる。昨年は42%の下落だった。
こうした中でクックCE0が和解の交渉テーブルに着かざるを得なかったのは、ITCの判事がHTCの持つ一連の高速無線通信特許を無効と認定するのは難しいとの見解を示したのが要因だった可能性がある。HTCは昨年、高速無線通信技術、ロング・ターム・エボルーション(LTE)で使用される特許をADCテレコミュニケーションズから7500万ドル(約60億円)で購入している。
フボン・ファイナンシャル・ホールディングのアナリスト、ジェフ・プー氏は、「和解は大きな驚きだった。これはHTCが昨年ADCから買ったLTE特許によるところが大きかった可能性がある。アップルのLTE技術は相対的に弱い」と指摘した。
原題:Apple, HTC Resolve Patent Disputes That ThreatenedShipments (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:台北 Tim Culpan tculpan1@bloomberg.net
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更新日時: 2012/11/12 10:12 JST