テレビショッピングの先駆けとしてお茶の間に通信販売を提供してきた「日本直販」を運営する「総通」(大阪市中央区)が9日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約174億円で事実上の倒産。テレビ通販の一時代を築いた会社が終えんを迎えた形だが、背景には消費者がテレビ通販から離れ、パソコンやケータイでのネット販売に移行する時代の流れがあった。
総通は1961年創業のテレビ通販の草分け。誰もが一度は民放各局で放送される「日本直販」のCMを見たことがあるだろう。家電製品、健康食品など、扱う商品は多岐にわたる。長さが調整できる「高枝切りばさみ」や掃除機のノズルに装着して小さなゴミを吸い取る「スーパーはぼき」などのヒット商品を生み出したことでも知られる。
だが、インターネット通販が普及すると業績は悪化の一途をたどり、95年9月期に約525億円あった売上高は最近では半減。デリバティブ(金融派生商品)での資産運用の失敗もあったという。今後はコールセンター大手「トランスコスモス」がスポンサーとなって継続する方針で協議している。 ITジャーナリストの井上トシユキ氏によると「この10年で、通販はテレビからネットへ移行し、この2~3年はスマートフォンが急激な勢いで普及し、テレビを見る時間が減った。当然ながら通販もネットに取って代わられた」と解説する。
そのネット通販のヘビーユーザーは30~40代の主婦だという。「夫の下着や靴下をネットで買う。10枚1000円のタンクトップをネットで買って、自分の買い物は百貨店で楽しむ。かわいそうに見える夫も、出張先でスマホからデリヘルを呼んだりするんで、いい勝負」(井上氏)。“スマホ生活”にテレビの入る隙がないのだ。
また、テレビ通販が消費者に特定の商品を勧めるのに対して、ネット通販は無限大の商品をユーザーに選択させる。テレビ通販お決まりの「今ならなんと○○が付いて8800円!」という売り方も「余計なおまけはいらないから、自分の欲しいものを安く届けろというのが今の消費者の考え」(井上氏)と、もはや敬遠される時代なのだ。
若者は電話離れさえしている。
「スマホの無料メッセンジャーが普及して、電話をしない人が増えた。コールセンターに電話することさえわずらわしい。買い物の作業をパソコンやスマホだけで完了することにストレスはないんです」(井上氏)
一方、同じテレビ通販大手の「ジャパネットたかた」は今も堅調な業績を保っている。「総通」の倒産は必ずしもネット普及や消費低迷のせいだけではないとの見方もある。実は最近の日本直販では思わず「これ、誰が買うの?」と思う商品が紹介されることもしばしばあった。
有名なものが「愛犬ロボ『てつ』」だ。外見もいまいちの完成度の低い子犬の電動ぬいぐるみで、同梱のリモコンを押すと、関西弁など20種類の言葉をしゃべる。安っぽいイメージだが、お値段は9800円(税込み)。動画サイト「ユーチューブ」では「てつ」の顔を様々なキャラクターに変えたパロディー動画も登場。完全に“ネタ扱い”されており、ネット上では「そりゃ倒産するわ」という意見も。
井上氏も「『たかた』では徹底的なコスト削減と精緻なマーケティングを実施していた。『安いから仕入れる』ではなくて『売れるから仕入れる』という企業努力があった」とみている。
時代に取り残されただけでなく、消費者に「買いたい」と思わせる魅力的な商品を提供できなかったことも倒産の一因と言えるだろう。
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