先週の金曜日に某企業の社長さんから突然電話が掛かってきました。
この社長さんとは全く面識もない初めての方です。社長さんは私の
著書である「コラ!中国 いい加減にしろ!」を読んで、感動して?
電話をしたそうです。「土曜日にお会いしたい」と半ば強引に会いに
こられました。たまたま自宅が隣町の方で車で10分だそうです。
話を聞きますと「7年前に中国青島に合弁会社を作った、給料は当初よ
りすでに倍になってしまった。合弁相手の中国側が日本側の了解なしに
勝手に給料を上げた。理由は人手不足、上げないと辞めるかストに発展
してしまう」と言われ我慢しました。
出来上がった製品は全て日本の本社で買っています。このまま際限なく
給料が上がっていくということは自社の買取り価格も上がっていくと
いうことです。その上 領収書のない出金を問い詰めますと、公安と
地方役人への賄賂だと言い張っています。
銀行からの出金は日本側の人間しかできないようになっていますが、
毎月の経費としての小口現金は中国側が管理しています。大した額
ではありませんが、月の終わりには小銭しか残っていません。
中国側が自由にできる小口現金の増額を常に要求され いたしかた
なく毎月増額しています。
この状態が続けば数年で貿易コストを含めれば日本で作っている自社
製品のコストと変わらなくなってしまいます。そこで早急に中国を脱出
して、ミャンマーに日本資本100%の自社工場を造るつもりで準備
しています。
ところが中国の法律では合弁会社の資本比率がそのままの発言力や決定
権につながらない。重要事項の決定は董事会(役員会)の「全員一致」
になっています。中国側の役員は一人で日本側の役員は3人ですが中国
側の役員と許可をした役所の了解がなければ工場を閉鎖することは出来
ない、そもそも中国には会社を閉鎖できる法律自体が存在しない。
ということをあなたの著書『コラ!中国いい加減にしろ』で知りました」
と社長は言っていました。
つまり社長の相談とは中国から無事に移転するにはどうすればよいかと
いう話です。
そこで私はハッキリと「無事に工場が移転する方法はありません。工場
移転どころか社長自身も中国からの出国が差し止められます」と言いま
すと 大げさなと言わんばかりの顔でわたくしを見ました。
中国は2008年に全世界の法治国家においては絶対に有り得ない空前絶後
の滅茶苦茶な法律「中国民事訴訟法231条」ができました。
この法律の恐ろしいところは「民事訴訟で被告側になった場合、いか
なる理由があろうとも、裁判所から下された判決に定められた債務の
全額を弁済しない限り、法人の代表者は中国から出国できなくなる」と
いう内容です。しかも、告知も全くされず、ほとんど知られないままに、
突然発動されます。
社長は「私は中国側に債務などない、訴訟されることなど有り得ない」と
言ったので、あなたは、中国人は詐欺師でありでっちあげ専門であること
を知らないのですか?
最近の実例では、ある企業が工場を閉鎖して資金を引き上げることが
中国側に察知された途端、全く知らない会社から訴えられました。内容
は「売った商品の代金をもらっていない」と訴えられたのです。その
金額も信じられないくらいの大金です。
中国の裁判所は民事訴訟法231条を直ぐに適用して「借金を抱えたまま
帰国はさせない」と出国を差し止めました。つまり訴えられたお金を
払ういがい帰国のすべはありません。
訴えられた会社とは取引は無いし、買った覚えもありません。全くの
でっち上げのデタラメです。
中国の弁護士に頼んでも法外な費用請求をされるだけで、勝ち目はあり
ません。日本の中国専門の弁護士に頼んでもダメです。日本の弁護士が
勝ったなどあまり聞いたことがありません。
欧米の工場ならこんな国際人権規約に違反する世界でも類を見ない悪法
に対しては毅然と中国を批判して、それぞれの自国の国が救ってくれま
す。中国も世界に報道されると中国に投資する企業がなくなりますので、
直ぐに引っ込めます。
日本では外務省や領事館に相談に行ってもなかなか動いてくれません。
だから中国人は日本の工場を狙い撃ちします。
(この続きは次回にて
このヤクザもびっくりの悪法「民事訴訟法231条」をもう少し詳しく
実例をあげて書くつもりです。)