公開謝罪に橋下市長納得　朝日新聞出版社長は辞任

朝日新聞出版の篠崎充社長代行（右から２人目）らが大阪市役所を訪問し、橋下市長に謝罪した

　週刊朝日が「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長（４３）の出自を題材にした連載記事を掲載した問題で、同誌を出版する朝日新聞出版は、１２日、神徳（こうとく）英雄代表取締役社長の引責辞任と、河畠大四（だいし）前週刊朝日編集長の停職３か月及び降格などの処分を決定した。この日、後任の篠崎充代表取締役社長代行らが大阪市役所を訪れ、橋下市長に陳謝。説明を受けた橋下市長は「すべて納得できた」と話し、一連の騒動に決着を図った。

　先月１６日に発売された週刊朝日の新連載「ハシシタ　奴の本性」を巡り、橋下氏が猛抗議した問題は、朝日新聞出版トップの引責辞任で決着した。同社は１２日午前の臨時取締役会で後任に篠崎社長代行を選任。尾木和晴同誌編集長代行らと３人で午後、大阪市役所を訪れた。橋下氏が「オープンの場で」と“公開謝罪”を求めていた通り、報道陣の前で対面。篠崎氏らは「橋下市長とご家族、多くの関係者に迷惑と多大なる傷心の思いを与えてしまいましたことに心からおわび申し上げます。まことに申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げた。

　篠崎氏は、第三者機関「朝日新聞報道と人権委員会」による９日付の見解で「出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを基調にしている」などの指摘を受けたことを橋下氏に報告。「深刻に受け止め、深く反省している」と謝罪した。

　経緯説明によると、出版前から社内でも「この原稿は載せることはできない」との厳しい声があった。しかし、橋下氏の父親についてはすでに他雑誌で報じられていたことや、著名なノンフィクション作家・佐野眞一氏の原稿だとの思いがあり、掲載中止の決断に至らなかったという。企画書もなく取材をスタートさせ、編集部全体での検討もせず、「原稿を貫く危険な考え」が最後までチェックされなかったとした。

　資料を読みながら報告を聞いていた橋下氏は「すべて理解できました。納得しています」と対応。ただ、問題表面化後に同誌がツイッターで「２回目もご期待ください」と販売促進したことへの言及がない点を「不十分ではないか」とチクリ。篠崎氏は「ご指摘の通りです」と謝罪を重ねた。

　最後に橋下氏は、出自に関する昨秋の週刊誌報道が掲載を後押ししていたことについて「文春や新潮にきちんと抗議していないのが１つの判断材料になっているが、僕は認めたわけではない。しかるべき対応を両雑誌にやっていかなきゃならないかと思う」と文春、新潮への新たな“バトル”をにおわせた。

　朝日新聞出版は、橋下氏に説明した一連の資料を同社ホームページと２０日発売の週刊朝日で掲載する。篠崎氏は報道陣の取材に、同誌の廃刊や休刊を否定。「刊行を続けながら体質改善を図りたい」と話した。

（2012年11月13日06時02分スポーツ報知）