パキスタンで行われた結婚式で、伝統のペインティングを施された花嫁の手(2012年7月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/Rizwan TABASSUM
【11月12日 AFP】パキスタン北東部パンジャブ(Punjab)州にある農村の村議会が、地主の娘のレイプに関与したとされる男に償いとして9歳の娘を差し出すよう命じ、同意したこの男と村議4人が警察に逮捕された。
地元警察当局が9日にAFPに語ったところによると、パンジャブ州バハラク(Bahalak)では、農場労働者のアルシャド(Arshad)容疑者が地元の有力者アリ・シェル(Ali Sher)さんの娘の拉致・レイプ事件に関わったとして、両者の間で1年近くいさかいが続いていた。
そこで村の長老たちで作る村議会は4日、アルシャド容疑者の娘シドラ(Sidra)ちゃん(9)をアリ・シェルさんの息子(22)に嫁がせるよう命令。アルシャド容疑者はこの命令に口頭で同意したという。
シドラちゃんはまだ幼すぎるため村議会の決定後も親元で過ごしており、結婚は正式なものではないが、村議会はアルシャド容疑者から決定に背いた場合は罰金40万ルピー(約33万円)を支払うとの約束を取り付けていた。パキスタンの労働者にとって40万ルピーはかなりの大金だ。
パキスタンには、もめ事を解決する手段として娘を差し出す「vani」と呼ばれる慣習があるが、現在は違法。有罪なら最大で禁錮7年に相当する。
保守的なイスラム教国のパキスタンでは、特に農村地域の女性たちの人権は無視されがちな状況にある。つい2週間前にも、カシミール(Kashmir)地方で15歳の少女が通りがかりの少年を見たことを両親にとがめられ、酸を浴びせられて死亡している。(c)AFP