脱法ハーブ:患者の傾向、専門家分析 恵まれた環境だけど自信持てず 不安抱え依存 /東京
毎日新聞 2012年11月11日 地方版
◇7割弱、使用前に精神科受診
脱法ハーブの依存症患者は覚醒剤依存症患者と比べ、生活環境に恵まれながら「自信が持てない」と不安を抱えている−−。若者を中心に乱用が社会問題化している脱法ハーブ患者にこうした傾向があることが、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(小平市)の和田清・薬物依存研究部長の調査で分かった。【佐々木洋】
和田部長は09年11月〜12年4月、同センターを初めて受診した男性の脱法ハーブ患者15人(平均年齢29・3歳)と同時期の初診の男性覚醒剤患者28人(同32・1歳)の生活状況などを比較した。
その結果、脱法ハーブ患者の9割は就労・就学中で、高卒以上の学歴を持っていたが、覚醒剤患者はいずれも4割台にとどまった。
また、覚醒剤患者は8割が薬物関連、5割がそれ以外の容疑で検挙歴があったが、脱法ハーブ患者はそれぞれ2割以下と少なかった。逆に多かったのが薬物使用前の精神科受診歴で、7割弱がうつ・不安などの治療を受けた経験があったが、覚醒剤患者で受診歴がある人は1割に満たなかった。
和田部長は脱法ハーブ患者について「十分な教育を受けて比較的恵まれた環境で生活しているのに、仕事や家庭などの要因で自己不全感が強くなり、気を紛らわす目的で使う傾向がある」と分析。使用すると急性中毒に陥る危険もあることから「ハーブという優しい響きにだまされず『毒』との教育を徹底し、違法薬物と似た構造の薬物を一括して規制すべきだ」と訴えている。
〔都内版〕