震災後、夫婦仲が悪くなり離婚に至ったケースが少なくありません。いわゆる
「震災離婚」です。
震災離婚「される」夫の特徴の一つに、「仕事人間で家事・育児・地域コミュニティに携わってこなかった」という傾向を上げることができます。
このような話を、実際に震災離婚した母子家庭の方から伺いました。
「震災の影響で仕事がなくなり、仕事を探すも再就職が難しく、そのイライラを妻に当り散らし自宅に引きこもり、アルコール摂取量が増え、子どもの鳴き声が煩いと大声を出すようになった」
「わたしが物資や食料、水などの確保に奔走しているのに、夫は家でごろごろし、目の前にあるものを後先考えずに消費し続けた。挙句の果てには『食べたいものが食べられない!』と怒り出す始末。それを見た私は『もはや一生のパートナーではない』と見切りをつけた」
震災以前から関係があまり良好でなかった夫婦が、震災をきっかけに食い違いがあらわになり、離婚に踏み切ったというケースです。しかし、このような話も聞きます。
「子煩悩で優しかった夫が震災後、仕事を失い、人が変わったようになり暴力を振るうようになった」
奥さんは夫に「こういう状態なんだから仕方ないじゃない。なんとかなるわよ」と励ましますが、夫は一家を支えようと毎日ハローワークに通いつめました。
夫は仕事が見つからない事で憔悴し、精神的に追い詰めらているのが目に見えていたといいます。そして、妻や子ども達に大きな声を出すようになり、暴力を振るうようになっていき、離婚に至ってしまった。
震災後、多く耳にする
「震災離婚」
家庭を顧みなかった夫が、離婚を切り出されてしまうのは致し方ないことだとしてもなぜ?家庭を大事にしていた夫は
「人が変わったようになってしまったのか」
僕は、男性が旧来から求められている
「男は稼ぎ手であるべき」という社会性が無言の圧力を与えていることで、
「仕事」という
「役割」を果たせなくなった男性が
自尊心を保てず、更に自分を責め続けたということが、大きな理由ではないだろうかと考えています。
そして、家事や育児、そして地域コミュニティで役割を果たすということに男性が
自尊心を保ちにくい社会環境が存在していることが言えるのではないかと考えるのです。
消防団や町内会などの地域コミュニティで
「役割」を持っていた方や復興に関わる仕事に、震災前からついていた方々は何とか自尊心を持つ続けることができていました。
震災で父子家庭になられた方も同様に、妻を失った悲しみを抱えながらも地域での役割や仕事に奔走することで、自身を保つことができたという話も多く聞きます。そして何より、「子育て」を地域の人々から助けてもらえたことで、「孤立」しないで済んでいました。
逆に
仕事という
役割を失い、
地域での
役割も持っていなかった方は実家に引きこもってしまい、子育てを実家に任せっきりで、妻を失った悲しみからかアルコール依存症になってしまったり、重いうつ病を患ってしまうなどして外に出てこれなくなってしまったという話も聞きました。
そして「子どもと一緒に死を選んでしまった」という方も少なからず耳にしています。
そうならないためにも、
「男は仕事していればいい」という意識を変える必要があります。育児や家事、PTAや子ども会などの仕事を、自分の
役割であると認識する努力が必要なのです。
そうすることで、どちらに、何があっても、共に支え合い助け合えるパートナーシップを築け
離婚の未然防止にも、有事の際のセーフティーネットを作り上げることにも繋がっていけるのではないでしょうか。
東日本大震災により、天災に対する危機感が生まれました。1年経過した今となっては、危機感も薄れてきていることと思います。
しかし関東直下型地震や東海沖地震などの危機は変わらず存在し、そして唐突に訪れるものです。
最後に・・
全国の男性の皆さん、全国の子育て中のお父さん、少しだけ想像してみてください。
もし今日、突然奥様が亡くなられたら。もし今日、突然奥様が家出をしたら。 皆さんは、1人で子育てをしながら、今の仕事を続けていく事が出来ますか?
今、パートナーシップを見直すことでできるセーフティーネット作りが日常の中にあることを提案させていただきました。
読んで頂いた皆さんにとって、一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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