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<陸山会事件>小沢氏、2審も無罪…東京高裁判決

毎日新聞 11月12日(月)10時34分配信

<陸山会事件>小沢氏、2審も無罪…東京高裁判決
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控訴審判決のため東京高裁に入る「国民の生活が第一」の小沢一郎代表=東京都千代田区で2012年11月12日午前10時7分、宮間俊樹撮影

 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた「国民の生活が第一」代表、小沢一郎被告(70)の控訴審判決で、東京高裁は12日、1審の無罪判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。小川正持(しょうじ)裁判長は「(1審が)無罪を言い渡したのは正当として是認できる」と述べた。指定弁護士側は2週間以内に上告するか判断するが、憲法違反や判例違反などの要件を満たすのは困難とみられる。

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 控訴審の争点は▽陸山会の04、05年分政治資金収支報告書の記載内容は虚偽か▽代表は記載が虚偽であると認識していたか−−などだった。

 1審の東京地裁判決(4月26日)は、04年の土地購入時に小沢代表が提供した4億円を記載せず、土地購入についても04年ではなく05年に先送りした収支報告書の記載を虚偽と認定。これらについて、代表が衆院議員の石川知裕被告(39)=1審有罪、控訴中=ら元秘書から報告を受け、了承したとも認めた。

 しかし、石川議員が04年10月の土地代金支払い後、事実と異なる報告をして、代表から銀行融資の関係書類に署名をしてもらったと指摘。代表が「土地代金の支払い自体が05年に先送りされた」などと考え、土地の記載先送りや自身が提供した4億円の簿外処理が適法に実行されると考えて了承した可能性に言及し、無罪とした。

 この「可能性」について、指定弁護士は控訴趣意書の中で「当初争点になっておらず、1審は審理が尽くされていない」と反論。だが、小川裁判長は「元秘書との共謀の有無が争点となっており、十分に審理された」と退けた。【鈴木一生、和田武士】

 ◇解説…強制起訴、功罪議論を

 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表を1審同様、無罪とした東京高裁判決は、検察官役の指定弁護士による追加の証拠請求が全て却下されていた以上、予想された結果だ。検察審査会の2度にわたる「起訴すべきだ」との議決ではなく、東京地検特捜部の不起訴判断に軍配が上がった形だが、一連の裁判は「功罪相半ば」という評価が妥当ではないか。

 「罪」とは小沢代表が疑問視したように、捜査のプロである検察が容疑不十分で不起訴にした事件が非公開の検察審査会でやり取りされた「民意」で一転し、被告の身に立たされた点だ。これまで全国で6事件が強制起訴されたが、比較的証拠が集まっていたとされる代表の裁判で重ねて無罪が出たことで、制度の存在意義が問われることも考えられる。

 とはいえ、今回の裁判に「功」がなかったわけではない。国会での説明を拒み続けた代表が「収支報告書は一度も見たことがない」と法廷で供述。「秘書任せ」の姿勢が鮮明になり、1審判決は「信用できるものではない」と断じた。

 検察関係者への尋問などで特捜捜査の危うさも浮かんだ。実際にはないやりとりを記した捜査報告書が作成され、取り調べは「代表側に裏献金が流れた」との見立てに固執していた。不起訴のままでは、こうした事実は表面化しなかった。

 指定弁護士が最高裁まで持ち込む公算は小さいとみられるが、この裁判で生じた功罪について議論が今後、必要だろう。【鈴木一生】

 ◇陸山会事件◇

 民主党元代表で現「国民の生活が第一」の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」が04年10月、代表提供の4億円を元に土地を購入しながら同年分の政治資金収支報告書に記載せず購入の事実だけを翌05年分にずらして記載したとされる事件。10年に東京地検特捜部が石川知裕衆院議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕、起訴(1審有罪、控訴中)。小沢代表は不起訴となったが、東京第5検察審査会の議決に基づき、検察官役の指定弁護士が11年、強制起訴。東京地裁は今年4月、無罪を言い渡し、指定弁護士が控訴した。

最終更新:11月12日(月)11時42分

毎日新聞

 

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