福島・大波地区:「面的除染」1年 放射線量再上昇も

毎日新聞 2012年10月17日 20時42分(最終更新 10月17日 21時05分)

ガードレールを高圧洗浄機を使って除染する作業員。「除染しても時間がたつとまた数値が上がる。何のためにやっているのか分からなくなってくる」と話していた=福島市大波地区で2012年10月16日、手塚耕一郎撮影
ガードレールを高圧洗浄機を使って除染する作業員。「除染しても時間がたつとまた数値が上がる。何のためにやっているのか分からなくなってくる」と話していた=福島市大波地区で2012年10月16日、手塚耕一郎撮影

 福島市東部の大波地区で市の「面的除染」が始まり18日で1年。空間放射線量は市の測定で漸減傾向だが、一般人の年間追加被ばく線量限度1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)を超す数値が続く。市は2度目の除染を求めるものの、費用負担する国は応じていない。「高線量を我慢させるのか」。住民には不満が渦巻く。

 同市大波出張所では17日、毎時0.47マイクロシーベルトを市の測定で記録した。それでも避難指示区域ではないため、住民に公的な支援はない。

 地区に住む女性(68)は身につけた個人線量計の数値を2月から毎晩記録する。1カ月単位の線量は、自宅の除染が終わった4月は226マイクロシーベルトだったが、6〜8月は238、246、251マイクロシーベルトと上昇。年換算すると4月でも2.19ミリシーベルトだ。玄関前の地面では毎時3.3マイクロシーベルトに達し「下げるのは難しいのかな」と不安を募らせる。

 町会長を務める栗原俊彦さん(71)が自宅近くの側溝で測った放射線量は、3月の除染前後で毎時9マイクロシーベルト台から同2マイクロシーベルト台に低下したが8月には同10.36マイクロシーベルトに。「除染後しばらくすると上がっている」とため息をつく。

 民家に加え道路や田畑など一帯を除染する面的除染は、福島市では大波と渡利の両地区で行われた。大波では今年5月までに民家・集会所など計470戸で表土除去や高圧洗浄機での作業が終わった。側溝などの高線量について市は、周囲の森林から山あいの大波地区に、放射性物質が風雨などで移動し再汚染が起きたとみている。

 市は今春、環境省に2度目の除染を要望したが、音さたがない。市の担当者は「費用が膨らむので除染はせず、自然減を待っているのではないか」と不信感を募らせる。同省は「再汚染の可能性は否定できないが、必要性を個別に検討している」という。【深津誠】

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