医師不足の地域で働く人材を養成するため岡山大医学部(岡山市北区鹿田町)が「地域枠コース」を設けて4年。1年生から医療機関での体験実習を行うなど、従前なかった教育プログラムに一般枠の学生も大勢参加。貴重な経験を積むことで、医学教育全般に広く効果をもたらしている。
「ちょ・う・し(調子)はいかがですか」
9月上旬、美作市古町の民家。岡山大医学部1年の渡邊万里さん(25)と今村繭子さん(18)はベッドに横たわる阿曽松子さん(97)の手を握り、耳元に顔を近づけて大きな声で尋ねた。
阿曽さんは大腿(だいたい)骨骨折や脳梗塞を起こすなどしてほぼ寝たきりの状態。「表情をしっかり見て」「家族といろいろ話をすることが大切」。訪問看護師の小寺さえりさん(47)から助言を受けながら体温や血圧を測る。
渡邊さんは地域枠、今村さんは一般枠の学生。夏休みを利用し、美作市立大原病院(同所)で1週間の実習に参加、訪問看護に同行するなどした。
「患者の家族も含め深く関わる必要性を強く感じた」と渡邊さん。病院が救急を断らないことに驚いたという今村さんは「周りに病院が少なく、1人の医師に専門分野にとらわれない幅広い知識が求められていることが分かった」と言う。
医師不足対策
国の医師不足対策で2009年度に創設された地域枠は、県が奨学金を支給する代わりに卒業後に県の指定医療機関で9年間勤務してもらう制度。同大では岡山県の7人のほか、広島、兵庫県の2人、鳥取県の1人を地域枠として設けている。
岡山大は開設初年度から独自に実習を開始。09年に新見、真庭、浅口市の3医療機関で始め、現在は21医療機関まで拡大、実施学年も3、4年に増やした。学生は介護事業者とのケア会議に参加したり、行政から話を聞くなど幅広く体験。地元住民宅に泊まって生活ぶりや地域の課題を聞き、後の診療に生かすこともあるという。
実習は地域枠以外にも対象を広げており、一般枠の参加者が地域枠の2倍に上る年も。来年度からは4年生で必修化する。
「患者の生活まで含めてトータルで診る医療本来の役割が分かりやすく見えるのでは」と新見市の哲西町診療所長で実習を受け入れている佐藤勝・同大地域医療人材育成講座教授は話す。
推薦入試に切り替え
一方、地域枠は全国的に定員割れが起きやすい状況という。専門医志向が強い中で指定医療機関に長く勤めなければならないことへの不安があるからだ。
岡山大でも岡山県枠は10~12年で計6人の欠員が出た。関係者は入試の際、他大学では優遇されるケースもある学力面で、一般枠と同程度の力が求められる上、県から作文や面接が課せられることが要因の一つとみる。
これを受け、同大と県は14年度から現行の一般入試を推薦入試へ切り替え。今年初めて卒業後のキャリアモデルを複数例示したリーフレットを受験生向けに作った。「指定病院に指導医を派遣して専門医資格が取れるようにするなど希望を聞きながら柔軟な仕組みを検討したい」(県医療推進課)という。
同大地域医療人材育成講座の片岡仁美教授は「経験を積む前に指定医療機関に出ることへ不安を感じる学生もいるようだ。しっかりサポートしたい」と話している。
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