アップルのアプリストアの承認プロセスがこのところ遅いとの不平が一部の開発者から出ている。待ち時間は長い時には3週間に及ぶ。
長々と続くプロセスは、携帯電話やタブレット端末販売の増加する年末商戦の時期を利用してゲームなどのアプリの販売を開始したいと考えている開発者にとっては特に頭痛の種となっている。ある開発者はオールシングズDに対して匿名で、「悪夢だ。これまで以上に悪い事態になっている」と話した。
この開発者は、アップルはアプリ開発者に対し、予想される申請件数に基づくと、アプリの承認には最大3週間かかる可能性があると電話で警告していると明らかにした。また、年内のアプリの承認を確実にするためには、感謝祭(今年は11月22日)までに申請するよう推奨されているというが、感謝祭はほんの2週間後に迫っている。
アップルは8日に開発者宛てに書簡を送付し、冬場の休暇期間中に業務を中断する同社慣行の一環として、この冬も1週間はアプリの承認申請のプロセスを実施しないことを喚起した。今年の中断期間は12月21~28日になるという。アップルの広報担当者はコメントを避けた。
アプリの承認プロセスは概して、アプリを発行する企業の環境次第なので、通常というのが何を指すのかを正確に判断するのは難しいが、アップルの場合はだいたい10~14日以内にアプリを承認している。一部の開発者が通知を受けている新しいスケジュールは最悪のシナリオとなった場合のようで、一部のプロセスはこれよりずっと速いペースで実施されている。アップルのディベロッパー・ポータルによると、新規のアプリの84%と更新分の95%が過去8営業日に審査されたことになっている(ただ、この数字は10月15日以来更新されていない)。
シャイニー・ディベロッパーという第三者のサービスがアプリ承認の待ち時間の独自調査を試み、平均の待ち時間は9日だと報告している。ただ、ツイッターでの開発者による自己報告に基づいていることから、このデータがどの程度正確かは定かでない。シャイニー・デベロップメントはまた、アップルの「Mac App Store」の承認待ち時間は平均19日だと報告している。アップルがモバイル用アプリの需要増加に対応するために資源をMacストアからiOSストアにシフトしていることから、Mac向けのアプリの承認に大幅な遅れが生じていると多くの人々はみている。
アップルの1週間に及ぶ休暇時期はこれまでもクリスマス休暇時期のアプリ承認プロセスの遅れにつながってきた。しかし、今年は開発者の多くが、通常より早い時期からスケジュールが伸びていると指摘している。理由は明らかだ。開発業者らはスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の最新機種で、これまでよりディスプレーが大きいアイフォーン5向けの新アプリの開発に忙しい。また、タブレット端末「iPad(アイパッド)」の小型版「iPad mini(アイパッドミニ)」向けに、開発者らはより小さなディスプレー向けのアイパッド・アプリを開発することを選んでいるため、アプリの承認申請が増えている可能性もある。さらに、開発者らはパスブックやアップルの新地図などの最新基本ソフト(OS)「iOS6」の新機能に対応するアプリの更新も必要だ。
アップルは以前にもアプリ承認プロセスの遅さを批判されてきた一方で、グーグルのアンドロイド向けのアプリの承認には待ち時間がないことを多くの向きが歓迎している。確かにここ数年間 アップルがかつて約束していた承認時間がずれ込んでいるようだ。2010年6月に当時のスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は提出されたアプリ全体のうち95%は7日以内に承認されていると述べていた。
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