先般の試聴やDACの入れ替えなどでそれなりの音は出るようになったかなと思いましたので、使用中のHPAのレビューをアップします。 レビュー対象はnewoptoの「KH-07N」です。 届いたのが去年の10月ですのでもう1年前になり、かつ新しい型番の機種も出ていますので、いまさらな感もありますが・・(^^;) 購入後のレビューも少ないようですし、貸し出しも行われているようですが実際に購入してセッティングや環境周りも弄ってみた経緯も含めてのヘッドホン素人の感想もあれば、どなたかにはご参考になるかもしれません。また一般に高額と言われるような機器も使用していませんので、そういう点でもご参考になればと思います。 色々と記載してしまいましたのでかなり長いですが、そこは私的な感想や意見も含めてということでお読み下さればと・・。 ●概観など 概観はシンプルです(^^;)。シンプルなほうが飽きもこないので無難なのかもしれませんが、前面から側面の繋がりも考慮したデザインであれば、より良かったかなと思っています。 色はブラックで統一してもらいました。底面・背面やヘッドホンジャックもブラックだったので、無難に纏められる色にしたというのが理由ですが、全体的に締まりのある印象になりましたので個人的には満足しています。 造りはさすがでセッティングなどで持つとしっかりした感じです。右側面上部には、恐らく底面に空けたスリットから入った空気で内部の熱を逃がすためと思われるスリットがあります。このスリットもあるためか外側が熱くなるようなことはなく温く感じる程度です。 電源スイッチを入れると薄いブルーの光が点灯し数秒後にカチッと音がなり、聴ける状態になります。この光の色と光量は眩し過ぎずにさりげない量ですので私的には好印象です。 重量は説明にあるように約7kgと結構重いです。繰り返しセッティングし直す際には重労働になりますが、設置後にラインケーブルや電源ケーブルに引っ張られることはないので安定感という点では良いですね。 音が安定するまでの時間も短く、電源を入れて1時間もすると本調子になってくれますので寝起きは良いと思います。機器の種類は違いますが今使用中のDACなど電源入れてから本調子になるまで3日は掛かりますので・・(^^;) ●音の傾向 これは色々なご意見を見かけますが、ここでの記載はあくまで一個人の感想として読んで下さればと思います。 ヘッドホンは主にbeyerdynamicのT1で聴いていますが、比較用としてSennheiserのHD650を使用しています。音のバランスや特徴が異なる製品ですのである程度違いは判りやすいと思っています。 なお、私の基準は自宅スピーカー(DynaudioのSapphire)で聴いたものになります。ボーカルの質感や音の厚みなど、ヘッドホン環境だからといって差し引いた基準で感想を記載してはいません。 文章が長くなりますので先に結論から述べると、高額な機器を揃えなくてもそこそこ良いと思える音が出ますし、潜在的な性能は感じられるかと思います。特に綺麗な音や繊細な音が好みの人には最初から相性が良いと思います。 きっちりと真面目に音を出す印象ですが、かといってスタジオ機器の出す音とも異なり、モニター的な要素はあまり感じられませんので耳辺りの良い聴きやすさもあります。低域はスピーカーだと密閉型の出方に近い感じでしょうか。 基本的に量感や音の濃さ、演奏の熱気などを特徴的に出してくる感じには聴こえませんし、製品自体で特定の傾向の音を出す感じはあまりありません。よって判り易い言い方だとマッキントッシュなどの製品(メーカ)特有の音傾向を求める人には合わない製品だとは思います。 しかし、あるところで完結をするような製品ではなく色々と環境を整えてあげるとそれに素直に追従してくれる感じです。「柔らかく滑らかな音を」「スタジオのような正確な表現を」など好みの方向にある程度振りやすく、あまり特有の音色表現をしないこのアンプには好感を持っています。 また環境の変化もよく判り、どこかバランスが崩れるとそこに引っ張られるセンシティブな印象もありますので、周りのセッティングにも注意したうえで、自分の求める方向性を持って機器・ケーブルなどの選定をすることが必要になると思います。 では、導入初期から環境変更、そして現時点での感想と長く続きますので、お時間のある方は宜しければお読み下さい。 1.初期状態での感想 まずは以前に書いておいた、セッティングの調整をせずにMDF製の机にポン置きにした初期状態での簡単な感想からです。この頃は環境的にもあまり良いとは言えない状態でした。何も弄っていないごく普通のPCでセッティング等も特に重視していない環境でしたので、全てポン置きに近い感じですね(^^;) こういう記載は既に購入した方々の整った環境とは異なるでしょうから、そういう点では恥ずかしい感想ですが、こういうのもあっても良いかなと・・。 ○高域 良く伸びますし繊細です。綺麗な音であり、刺激的な音はでません。個人的には一番好印象な帯域です。 ○中域 厚みはスピーカーで聴くのに比べると薄めというか実体感が少なめかと思います。力感はあまりないように聴こえます。しかしボーカルは他の音に埋もれずにきっちりと定位してくれるのが好印象です。 ○低域 ヘッドホンによっては薄く聴こえます。低域のバランスがあまり良くないように聴こえるT1では薄くなり、他の帯域とのバランスもちょっと悪いです。しかし締まりはあるので聴き易くはあります。HD650だとバランスは良いですね。 ○その他全般 良く判るのは情報量の多さと歪みのない音で分離感は良いかなと思います。これはヘッドホンの特徴をうまく出しているように聴こえます。その時点での環境の特徴を、というほうが正しいのかもしれません。 なお、我が家では特殊な電源供給機器やトランスも使用しておりませんが、T1やHD650では無音状態でボリュームを最大まで回しても雑音などは聞こえません。 何人もの方の試聴感想を読ませて頂いていますが、低域が出ていないという感想はある意味わかります(^^;)。我が家でもT1で聴いてみると中高域寄りのバランスになりましたし、低域もあまり出ていないという印象になりました。 2.セッティング等の変更 初期状態の印象で、私はESOTERICのCDPを導入した当初を思い出しました。導入はしてみたものの、セッティングを考えずにポン置きの状態だとお店での試聴よりも良い印象はなかったです。安いボードや電源ケーブルではかえって良くない結果になる始末でしたし・・。 その時は他のESOTERICのCDPを使用されている方々の改善方法を色々と参考にさせて頂き、ようやくまともと思われる音が出せるまでには結構時間が掛かりました。 筐体がしっかりしているなら同じ対策ではどうだろうと思い、セッティングとケーブル関連を弄ってみました。以下に3点ほど実施したことを記載します。 ケーブルに関しては人によって考え方がありますが、セッティングに関してはオーディオ機器では色々と考慮するのはある程度必要だと思っていますので多少費用を掛けています。 以降は現在までの変更も含めた記載になります。 ○「セッティング」 筐体がしっかりしている製品なのでかなり印象が変わりますし、バランスもある程度改善されます。 まず、Feetはちょっと前まではFinite ElementのCerabaseを入れていましたが、これの利点はしっかりした音になることと、安定したバランスになることだと思っています。 但し、今回は私の好みと相反する部分もあるように感じたので、他に良い製品がないか探して現在はStillpointsのUltra SSを入れています。 結果としては良い感じで聴かせてくれ、好みに合っている印象です。具体的には音が綺麗にほぐれて、結果として解像感の向上や特にボーカルのニュアンスは非常に良く聞こえるようになる点でしょうか。 この点において、現在の環境では明らかにCerabaseよりも良くなったと感じました。バランスもほぼフラットで悪くないと思いますし抜けも良くなります。Feetは現在もこれで固定しています。 Feetも設置に関しては当たり前ですが高さ調整を行い、しっかりとガタを取ってFeetが全てバランス良くボード等に接地するようにしています。 また、設置場所も普通に4隅や3点支持でなく、色々と場所を変えてみると良くなる場所もあるので試してみては如何でしょうか。ちなみに私の場合は現時点で変則的な4点支持になっています。 次にボードですが、ちょっと前まで流行っていた薄い振動吸収系のボードは改善度合が低く、どちらかというと音が細く・薄くなり低域も出ないし力感や勢いもなくなるようなデメリットのほうが大きいように聴こえましたので、ボードは音の厚みなどを改善できるような製品で調整しています。 現在はSuper Plus Platformを使用しています。これにより低域はある程度沈み込むようですが、なによりボーカルに生気が出てくるように聴こえます。 我が家にはgrandezzaもアンプ用などに何枚か所有していますが、こちらは音の響きや厚みなどを加味する点で違いはあるものの、アンプには良いかなと思います。個人的には好みの傾向の音であり、うまく使えれば非常に心地良く聴かせてくれます。JAZZをメインで聴く方などに使用されるケースが多いのも頷けます。 但しgrandezzaの使用については情報量や帯域がある程度広く、且つしっかりした音を出せている環境でないと厚く鈍いだけの音になる可能性があります。またgrandezza特有の音や響きがかなり載ってしまうケースもあり使いこなしは意外と難しい部類かなと思いますので、私の拙いセッティングだとSuper Plus Platformのほうが扱い易いと感じます。 なお、ボードによっては土台に只乗せるだけではなく、インシュレータなどを介すると改善することもありますので、ヒアリングで適材を組み合わせるなどしてうまく使いこなすと良いかと思います。 ○「電源ケーブル」 元々のOYAIDE製も悪くはありません。もし替えるのであれば、低域から高域までバランスが良く、しっかりしたある程度厚みのある音が出る製品を使用したほうが良い結果が出るかと思います。セッティングもそうですが、この電源ケーブルでも印象が変わります。 家にはこのOYAIDE製の上位版の製品もありますが、低域や力感がかなり増強されるもののいかにも増強しましたという感がかなりでますし、高域の伸びや繊細さなどもスポイルされたような印象でした。これは個人的に合わないと思った例の参考ということで。 また、癖がなく情報量が多いだけの製品だとつまらない音になる傾向もあります。バランスがフラットであっても抑揚をうまく表現できる製品のほうが楽しく聴けるようです。 ちなみにJorma DesignのPowerやCardasのClear Mも繋いだりしてみましたが、結局現在はガレージメーカ製のケーブルを使用しています。ピラミッドバランスであり、故意に作られたような音に聴こえないのでむしろ使い易いです。 いずれにしろ、ケーブルの傾向が良く出るように感じられますので自分の好みを把握したうえで選ぶことが大切だと思います。 ○「ラインケーブル」 電源ケーブルでもそうですが、ラインケーブルでも同様にその製品の傾向を出してくれると思っています。よって音の調整はラインケーブルである程度できると思いますので、好みの音調を出してくれるケーブルを繋げば良いかなと・・。 それほど高価ではなくても十分に楽しめると思いますので、癖の少ないケーブルを1セット購入して試してみるのが良いかと思います。私の場合、RCAケーブルは昔購入した機器についていたものしか所有していなかった為、新たに傾向の異なるケーブルをとりあえず2セット購入しました。 良く伸びかつ繊細な高域や情報量の増加・音場の広がりといったものを求めなければ、値段も手頃なSD-9003は良いと思います。どちらかというとしっかりとしたモニター調の音を出す傾向ですが煩く聴こえることもなく、上流で情報量、フォーカス感、音の前後関係が出せていれば、それをきちんと提示してくれるような正確さを持つ製品であると思っています。 但し、色付けや効果を付加するような製品ではないので機器や他のケーブルである程度自分の好みの環境を整えているほうが使い易いかと思います。なお、我が家にあるのはWBTのプラグが付いた製品です。 現時点ではStereolabのDraco RXを使用しています。使用している理由は個人的な好みからであり、繊細さや滑らかさ・柔らかさと音の繋がり、及び高域の伸びという点では先のSD-9003よりは聴いていて心地良いと感じているからです。 これも癖はあまりありませんが、正確に再現してくれるかという点ではちょっと微妙な性能で、フォーカス感や低域の表現などは正直SD-9003より劣ります・・。よってRCAケーブルは現在の良さをさらに進める方向で製品の変更を考えています。 ここまで読んで頂けるとまだ検討しているということが判るかと思います。どこまで求めるかによりますが、ここまでで普通に聴く分には十分かなとは思います。しかし曲を聴いて感動するような合格点にはまだまだでしょうか(^^;) 3.現時点での感想 ある程度環境を整えてあげると最初の感想から変わります。使用する機器などは過去の記事を参照して頂ければ判るように安価な製品ばかりですので聴ける音質は「推して知るべし」であり、そういうレベルでの感想ですので記載された内容をそのまま鵜呑みにしないで頂けると助かります(^^;) 高域はより伸びやかになり、繊細さや柔らかさも出せるようになります。刺激的な音が出る手前のところまで良く出ています。静かな曲の場合は音の消え際が心地良いです。 中域の密度や力感もあがり、メインボーカルはよりニュアンス豊かに聴こえるようになります。また、ボーカルのみが聴こえるような状態ではその背景の静けさの中に浮かびあがるように聴こえます。 中高域については先日記載したMA-1とStage3Conceptsの組み合わせにより静寂感や音場感においてかなりの向上がありましたが「まだ向上するんだ」と驚かされました(^^;) 低域は当初より改善されて量感もある程度確保できるようになり、かつ引き締まるようになります。ボーカルに被ることもありません。 また、ケルト音楽などの様々な楽器での演奏もその楽器の特徴を出してくれますし、JAZZではベースが他の音に埋もれずにある程度しっかりと聴けるようになります。 しかしながら、ボーカルの声の厚みなどはさすがにSapphireで聴く場合と比較してしまうとまだまだな点もあります。 4.ヘッドホンについて 低域の量感が少なめの傾向が好みであればT1は良い選択肢になるかと思います。但し、ある程度環境やセッティングを整えたという前提付きです。 HD650だと今の環境では若干低域過多になりT1よりも音場が狭く感じるのであまり聴く機会はありませんが、音の厚みという点ではT1よりもある為、ボーカルのみの曲などはこちらで時々聴いています。 今の環境で試してみたいヘッドホンは以下の製品でしょうか。 総合的なバランス重視(試聴では多少音がT1よりもかっちりしていて、個々の音を聴かされているような印象が私にはありましたが・・)で、ヘッドホン単体で艶や柔らかさを求めないのであれば性能や使い勝手も含めてEdition10が良いかなと思っています。 ある程度厚みもあり、響きのある音で聴くのであればLCD-3が選択肢になるかもしれないと思っています。この製品は他のヘッドホンとは聞こえ方が多少異なるし、曲を選びそうなので自宅で試してみたいのですけど・・。 あと1つはPS1000です。試聴では良い音でバランスも悪くないなと思いました。私的には聴いていて楽しいと感じるヘッドホンでした。 密閉型については現時点では保有もしていませんし、試聴しても判断がつきません・・。これは他の方のご意見を参考にして頂ければと思います。 ●最後に 素の状態で素晴らしい音を出してくれる製品はなかなか無いと思います。かなり昔スピーカーを買い換える際にあるショップの人に「鳴らす努力をしたのでしょうか?」と言われました。また「機器の買い替えは簡単ですし、そういう人も多いですが鳴らす努力もしないといつまでも同じことの繰り返しで前に進めませんよ」と・・。ショップでそういうことを言われたのは初めてでしたし、正直ショックでした(^^;) それ以降、製品を購入した後はなるべく出来る範囲でのことはするようにしています。製品は購入しただけで終わりでなくそこが始まりであることを考えれば、白物家電ではないのですから色々と詰めたりする必要性があることは他の趣味と同じかと・・。 また、通常の製品であればコスト的に妥協する箇所はどうしても出てくるでしょうし、そういう箇所を補うことでさらに良い部分を引き出してあげられるかどうかは購入者次第だと思います。 私はこの製品に対して環境的にも色々試してきましたが結果それだけの価値があり、かつ伸び代もあると感じています。セッティングを詰めて周りの機器や環境を考慮してあげればそれにきちんと応えてくれる良い製品であると思っています。 |
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