名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(31)が10日、リーグ戦残り3節をあらゆるポジションでフル回転することを誓った。3試合連続でFWとして先発中だが、この日は「DF」と大きく描かれたTシャツを着用し、本職がDFであることを背中でアピール。あくまでこれは闘莉王流のジョークで、12日に腰を手術するFWケネディの分まで前線で体を張るつもりだ。
男は黙って背中で語る−ということか。3試合連続でFWとして先発して、チーム2位の8得点を挙げている“ストライカー”の闘莉王が、DFが本職であることをTシャツでアピールした。
「友達からもらった。面白いから着てきたよ。監督に? 見せてないよ」。そう笑った闘莉王。背中を見た楢崎からは「おまえ、FWやろ!!」とすかさずツッコミが入り、周囲を爆笑させた。
FW起用が始まった7月からずっと、自身がDFであることを訴えてきた。最終ラインでゴールを守り、周囲を生かしながら攻撃をビルドアップする仕事に誇りを持っているからだ。
ただ、「現状、彼以上に得点を期待できるストライカーはいない」と話すストイコビッチ監督がFW起用を続けることは濃厚。リーグ戦残り3試合でACL出場権を獲得する3位に肉薄しており、「いやもうどこでもいいですよ。試合に出られれば。こないだは最後にDFもやったし」と覚悟を決めた。
帰り際には12日に腰の手術を受けるケネディと抱き合い、成功を祈った。「かわいそうだね。今年はもう戻れないでしょ」。2年連続得点王の代償に不本意なシーズンを送った盟友の代役ならば、やぶさかではない。08年以来2度目の2桁得点も視野に入るが、「いかないでしょ。そんな簡単じゃない」と気の緩みもない。泣いても笑っても残り3試合。大黒柱がフル回転し、4度目のアジアの舞台へと導く。
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