第壱話
「今日こそ俺は平穏を……」
そう言う少年は朱い瞳自身の高校を睨みながらその敷地を跨ぐ。
「よぉ、戒翔!今日も湿気た面してんなぁ?」
戒翔と呼ばれた少年は呼んできた相手を見る。
「テメェはいつも俺にそう言っているだけだろうが。」
「テメェじゃねぇって。俺にもちゃんと名前があるんだからちゃんと呼べよな~?俺の名前は斎藤祐樹だって教えただろ?」
戒翔の隣を歩きながら高校生でありながらも茶髪に染めている祐樹は戒翔の肩を組む。
「馴れ馴れしいって言ってんだろ!」
だが、戒翔はその腕を振り払う。
「つれないな~?俺とお前の中だろ~?」
しかし、祐樹はめげずに戒翔の隣を歩く。このやり取りを他の学生達羽見ていたがいつものことなのかただ見て「またやってるな」としか見ていなかった。
「それにしても聞いたぜ~?また他校の不良と乱闘騒ぎやっただろ?」
祐樹がニヤニヤと笑って戒翔を見る。その戒翔は生まれついてからの金色の髪を鬱陶しげに掻き揚げながら祐樹を睨む。
「テメェのその情報の早さは何なんだ?確かに昨日も絡まれたが・・・。」
「その生まれついての髪と朱い目が絡まれやすいのか、はたまたトラブルの星の下に生まれたのかねぇ?」
「そんな星があるなら砕き潰してやるぞ。」
「お前ならやりかねないね。」
「まぁ、今回の乱闘は不可抗力だったんだがな・・・。」
「ん?なんか有ったのか?」
「オメェに言う訳ねぇよ。」
そう言って戒翔は自分の席に座る。
「しかし、あの戒翔がアレにハマるとは想像もしなかったな~?」
「大型ONline【Majikku&sword】だったか?俺だって予想外だったさ。」
「挙げ句の果てには二つ名持ちになってるんだから俺なんかよりもセンスあるんじゃね?」
「あんな厨二全開な物誰が欲しい?テメェに全力で譲ってやりたいってんだ。」
「って言ってもあのゲームの中じゃ有名人じゃん、歩く戦術核や紅き魔神って面白いじゃん!」
「知るか!あんなこっ恥ずかしい二つ名いるか!」
「ってもな~オークキングの討伐クエストを複数人でやるのを単身でクリアするし、イベントクエストで巨大ゴーレムを殲滅系魔法で吹っ飛ばしたりしてたから仕方ないだろ~?」
戒翔は今までプレイして来た自分の事を振り返る。
「あれは・・・オークキングの時には武器の試し斬りで・・・巨大ゴーレムは新しい魔法の試射で幾つかの魔法を使っただけだぞ?」
「既に高ランクプレイヤーのお前が言うとイヤミにしか聞こえないぞ?」
「そうか?」
「レベル上限が250だからといってその時のレベルが70で集団クエストの適性は確かに合ってるけどな、ソロプレイの時には90か100位無いと危ないんだぞ?」
実際のONlineゲームにも言える事だが集団系討伐クエストも同じ事でソロプレイをしようと思えばその適性レベルを上回るかパッシブスキルと言う持続式の術や補助アイテム等でカバーしなければ難しい。熟練のプレイヤーであれば上記の様な事をせずとも勝ってしまうと言う。
「そうか?」
「まぁ、戒翔の職業だから出来る荒業何だろうけどさ~」
そうなのである。戒翔の職業はあらゆる場面に対応出来る物ではあるが、その育て辛さから選ばれる事は中々と言うかあまりないのである。
「課金等せずとも効率を考えて行けば簡単だ。」
「俺は双剣士だけど戒翔は創造士はあらゆる職業のスキルと装備可能な夢の様な職業だけど初期段階はゴブリン並みに弱いから尚更なぁ・・・。」
「それが良いんだよ!そこから上を目指せばあらゆる場面に適していられるし不得手が無いのに越した事は無いからな・・・。」
「・・・なにその向上心?秀才はそっちの方でも秀才なんだな・・・。」
「この容姿だからな。舐められない様にするにはデキる事には関係ないからな?」
戒翔の言葉に祐樹は
「いやぁ、幼馴染みながら凄いと思うよ。武芸百般で頭脳明晰!それに鼻に掛けない性格。次期生徒会長に選ばれるだけあるな!」
「煽てた所で今日の課題は写させんぞ?」
「バレてたか・・・。頼むよ~、今日の課題を終わらせないと今年の夏は補習の地獄なんだよ~!」
「自業自得だな・・・。部活とネトゲをしていたお前が悪い。」
「そういう戒翔は余裕綽々じゃないか!」
「当たり前だ。事前の予習復習をしっかりしておけば問題無く終わる。だいたい、殆どの課題は教科書に載っているものを応用すれば簡単だ。」
「ん~、理屈は判るけど俺には無理!」
「胸を張って言う事か、この阿呆!」
「斎藤、黒逸・・・教師が来るぞ!」
「おっと、それじゃまた昼休みにだなぁ。」
「俺は次に上げるスキルでもリストアップしておくか・・・。」
そう言って二人は各々の席に着く
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