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FOSS Patentsのフローリアン・ミューラー(Florian Mueller)氏といえば、知財分野が専門のコンサルタントとして活動する人物で、すでに本サイトの読者諸兄にはお馴染みの名前かも知れない。そのミューラー氏が、韓国の裁判所で現地時間24日に出されたアップル対サムスンの特許訴訟に関する判決について、「ならず者国家」("Rogue State")という強い言葉を使って非難している。
(このミューラー氏、よくも悪くも話題に事かかない人物ーーAndroid支持派からは問題視されている部分もある人物にも思える。その点が気になる方はぜひ先に後半に目を通されたい)。
ミューラー氏がこの判決で問題としたのは、3G通信技術関連のいわゆる必須標準特許(FRAND特許)を使ってアップル(Apple)を訴えていたサムスン(Samsung)の主張が認められてしまった点。両社間の裁判をはじめ、各社が繰り広げる一連の特許訴訟に関連して、このFRAND特許の法廷での取り扱いやその影響について再三注意を喚起してきたミューラー氏は、韓国法廷の判断について、「必須標準特許に関連して、韓国はならず者国家になることを決めた」「諸外国に向けて、約5000万の韓国国民にテクノロジー製品を売ろうとするなら、サムスンやLGのゆすり("extortion")に屈しなければならないと宣言した」などと強い言葉を使って非難、さらに「こうした特許権の濫用で、米、欧州、日本、それに中国の各メーカーも被害を受けることになるだろう」と記していた。
ただし、既報の通り、米国時間24日には米カリフォルニア州の連邦地裁で争われていた両社間の裁判で、サムスン側の同様の主張を退ける判断が陪審員の評決で出されている(判事による最終判断はこれから)。この対照的な判断結果で、ミューラー氏の懸念はどうやら杞憂に終わりそうな格好となっている。
なお、ミューラー氏については、モバイル端末分野を中心にさまざまな特許関連の訴訟を追い続けて、とくに昨年あたりから広く知られるようになった。その発言などに反Android、反グーグル的な傾向があると以前から一部で指摘されてもいた。そのため、マイクロソフト(Microsoft)とコンサルティング契約を結んでいることを明かした際には、Android支持派から「それ見たことか」といった批判の声が上がっていた。また今年春(4月)にもオラクルと本業のほうで契約したことを自ら開示したが、(オラクルとグーグルのJava訴訟に関して)「いままでさんざん書いてきたことはなんだったのか」といった嫌疑も受けていた。
ただし本人は、いずれの場合も「本業と、ブログとは別」「ブログではあくまで自分の考えを書く」との姿勢を崩していないが、それでも「あれだけたくさんの記事を書いていて、いつ本業のコンサルティング仕事をやる時間があるというんだ?」という指摘も見られる。
なお、オラクルとグーグルが争っていたJava関連の訴訟では、このミューラー氏の開示をきっかけに、両社がメディア関係者やブロガーなどにそれぞれ金銭などを渡していたのではないかとの疑惑が浮上。8月上旬には担当判事から両社に対して、直接的な金銭のやり取りを含め利害関係のあったすべての組織・個人を明かすよう要請が出されれ、先週には両社から回答のリストが提出されていた。
【参照情報】
・Apple-Samsung ruling suggests South Korea is a FRAND rogue state - FOSS Patents
・Samsung wins split decision on Apple patents in home turf - Fortune
・Oracle v. Google trial: evidence of willful infringement outweighs claims of approved use - FOSS Patents
・Oracle tells court patent blogger Florian Mueller is a 'consultant,' Google says it doesn't pay to influence media - The Verge
・Google, Oracle Must Disclose Writer Payments, Judge Says - Bloomberg
・Google Ordered Anew To Disclose Commentators In Oracle Case - Bloomberg
・アップル対サムスン、米特許訴訟 - 「アップルの被害額は10億ドル強」とする評決結果
・アップル、モトローラを米国で新たに提訴 - クアルコム特許をめぐって
・欧州委員会、サムスンを本格調査へ - 「FRAND」特許濫用の疑いで
・「グーグルに特許権侵害なし」の判定 - オラクル対グーグルのJava関連訴訟
三国大洋(スタッフライター)
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