久々に、中泉松司議員のブログに実名登場させていただいた。
私などとは比較にならぬほどにお忙しく、いろいろな重圧も背負っておられるであろう中泉議員の貴重な時間と思考の一端を割いていただいたことは大変嬉しい。
また、主義主張の違いはあれ、1つのテーマについて、こうしてオープンな場で議論をさせていただけることもまた、「県議会を開く」という意味でも大変ありがたいことだと思う。
議論というのは独りではできない。
テーマというのは、私が数日前にこの場で取り上げた「秋田市の未来づくり交付金」の使い道、すなわち、旧農業試験場跡地で「園芸農業の研修を」という10億円のことである。
中泉議員のブログにおいて、私が、あたかも農業切り捨て論者のように言われている。
私の先日のブログを読んでいただければ、私が一言も「農業切り捨て」と言っていないことは明らかなのだが、どうも「農業」に精神的あるいは政治的プライオリティを置かれている方々からすると、私の主張はそういうふうに映るらしい。
とはいえ、やはり将来を嘱望されておられる中泉議員が事実誤認されたままに論理展開されるのは、ご本人も望むところではないと思うので、この場で改めて、私が委員会において述べた意見をここに記したい。
・秋田市には、大学やインフラ、なかいちなど、県都秋田市にしかない強み、資源が多々ある。
・秋田市の農業生産は、秋田市のGDPの0.4%でしかない。
・こうした中で、園芸農業の振興に10億使おうというときに、「教育」や「市街地活性化」や「他の産業分野の振興」など様々な政策の中から、この「園芸農業」を選んだのか。
・そういう政策選択の段階から、県と市が一緒に議論してこその「協働」ではないのか。
・いろいろな政策課題がある中で、この園芸農業に10億を投入するのだ、という優先度・選択というものを県も市も、納税者にしっかり説明しなくてはいけない。
以上である。
なぜかこういう主張をすると、「農業切り捨て」のように捉えられるが、本当に農業を守りたいならば、そういう様々な政策、様々な産業がある中で、しっかりと農業の「価値」や「位置」を主張して、堂々と10億円の価値を説明されればよいのであって、「切り捨て」と叫べば農業が守られるなら、今の日本の農業はこんなふうになってはいないのである。この情緒性こそが自民党の農政失敗の根幹そのものではなかったか。
それからもう1つ、「農地の5年無償貸与」についても、中泉議員のご意見は「このご時世に新規に営農したいという新規就農者に土地代を払えというのは酷だ」とおっしゃっておられる。
このご意見も私には理解が難しいのだが、どうして農業だけがそうして特別扱いされるべきなのか、の理由が「このご時世」という一言で片付けられているのが大変残念だ。
今、どの分野であれ厳しい競争がある。その中で、若者が創業・起業しようとすること、その難易度に「農業」も「IT」も「福祉」もないのではないか。
他のどの業種・業界に、土地や設備や店舗を役所がタダで用意してくれて始められるものがあるのか。
むしろ、所得補償政策がある時点で、他の産業よりは既に「守られている」点があるのではないか。
農業だけが大変で、農業だけが「このご時世」で、農業だけが公益を担っているわけではない。
地域の商店、その1つであっても、需要が減り続ける地域で、お年寄りなどの生活を支える公益を担っている。
「他の産業との均衡を十分考えてもらいたい。なぜ、農業だけに県有地を無償で貸すのか。」
私は委員会でそう述べた。
農業をするのも納税者、農産物を食べるのも納税者、県有地も納税者の財産、である。
中泉議員と直接この件に関して議論をしていないが、こういう場で論戦させていただけるのはありがたいことで、大いに議論を盛り上げ、県民の皆さまの関心を少しでも高められるならこれに勝ることはない。是非、次なる論理性に富んだ反論を期待したいものだ。