■美代子容疑者逮捕で金策尽き
兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件で、死体遺棄容疑で逮捕された角田（すみだ）美代子容疑者（６４）らが昨年１１月に逮捕された後、義妹の三枝子容疑者（５９）が弁護士に破産手続きを相談していたことが１０日、捜査関係者への取材で分かった。借金は総額で約３千万円にのぼるという。兵庫県警は、周辺のターゲットから恐喝まがいの手口で多額の金銭を得てきた美代子容疑者らが不在となったことで、家計が一気に“火の車”になったとみている。
捜査関係者らによると、三枝子容疑者は美代子容疑者の「金庫番」を務め、約１０人の親族ら同居人の収支を管理。生活費やぜいたく品の購入などで出費がかさんだとみられ、ほとんどの同居人が消費者金融から借金していた。さらに、自宅マンションを担保に融資も受けていた。
美代子容疑者らが恐喝まがいの手口で手にした現金などから返済していたが、一家の借入総額は最終的に約３千万円に達していた。美代子容疑者や“用心棒役”の李正則容疑者（３８）が逮捕されたことで、返済はすぐに行き詰まったという。
残った親族ら同居人もほとんどが正業に就いていなかった。中には「パチンコ店に通い詰め、月２００万円を稼いだ」とうそぶく同居人もいたが、安定した収入はなかったとみられる。
三枝子容疑者は美代子容疑者らが逮捕された昨年１１月以降、弁護士に破産の法的手続きについて相談するなど準備を進めていた。
ところが、三枝子容疑者自身も今年８月、親族の年金を無断で引き出した窃盗容疑で逮捕され、法的手続きには至らなかったという。
美代子容疑者の金策をめぐっては、遺体で見つかった仲島茉莉子さん（２９）らの高松市内の実家や親類から総額２千万円以上を巻き上げた。ドラム缶にコンクリート詰めされた大江和子さん＝当時（６６）＝の一家からも、次女の元夫、川村博之被告（４２）＝傷害致死罪などで起訴＝の退職金約１千万円を強引に奪い取るなどした。
また、平成１７年に親族らで沖縄旅行中、三枝子容疑者の夫＝当時（５１）＝が崖から転落死した後、三枝子容疑者が生命保険金計約６千万円を受領。１２年に夫名義で購入した自宅マンションのローン残高約３千万円も免除された。
一方、自宅はローン完済後の２０年１１月、極度額２２００万円の根抵当権が設定されるなどしており、自宅を担保に金融会社から融資を受けていたとみられる。自宅は今年６月、この金融会社への返済が滞り、神戸地裁尼崎支部に差し押さえられた。
捜査関係者は「三枝子容疑者は、逮捕されるまで美代子容疑者に好きなように金を使わせてきたが、“稼ぎ頭”の美代子容疑者が逮捕され、首が回らなくなったのだろう」と指摘している。