ドイツの脱原発政策で石炭消費が増加-風力などへの移行難航
8月20日(ブルームバーグ):ドイツ政府はRWE の新発電所について、脱原発政策と一段とクリーンな発電への移行を後押しするものだと主張している。しかし、340万世帯に電力を供給可能なこの発電所は石炭を燃料とする。
ケルン近郊の新発電所の出力は220万キロワット。欧州最大の経済大国ドイツが温暖化ガス排出量の多い石炭への依存を強めつつある状況が浮き彫りになった。東京電力福島第一原発事故を受けてドイツが脱原発を宣言して以来、石炭の消費は4.9%増えた。
ドイツの電力大手、RWEとイーオン はコストが掛かることを理由に、よりクリーンな天然ガス発電の利用を控えている。一方で、排出権価格は急落しており、石炭火力にしても不利益はほとんど生じない。脱原発と排出ガス抑制の切り札である風力・太陽光発電は24時間発電することができない。
英オックスフォード大学のディーター・ヘルム教授(エネルギー政策)は「メルケル独首相の脱原発政策は原子力を石炭に一部代替するもので、石炭は1990年以降、温暖化ガスの増加に最も責任がある燃料だ」とし、石炭火力発電所の新設について電力政策を「今後30年間拘束するものだ」と指摘した。
石炭消費が増えているのはドイツだけではなく世界的な傾向となっている。他の燃料よりも安いからだ。英BPのデータによると、世界の石炭消費は昨年、5.4%増えエネルギー消費の30%を占めた。この割合は、1969年以来の高水準となっている。
原題:Merkel’s Green Shift Forces Germany to Burn More Coal:Energy(抜粋)
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更新日時: 2012/08/20 10:36 JST