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不法滞在外国人にも国保資格「ある」 最高裁が初判断
在留資格のない外国人に国民健康保険の加入資格が認められるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(島田仁郎裁判長)は15日、「加入資格が認められる場合がある」とする初めての判断を示した。厚生労働省(旧厚生省)は92年3月、「1年以上の在留資格がある場合は国保の被保険者」とする見解を示している。同小法廷は、「一般的には適法な在留資格がなければならないが、個別の事情や生活状況に照らして判断すべきだ」としており、自治体の国保実務に一定の影響を与えそうだ。
ただ、こうした規定は国民健康保険法にも、当時男性が在住していた横浜市の条例にもなく、市が国保加入を認めなかった処分に過失はないとして、男性の損害賠償請求は退けた。
この訴訟では、韓国生まれで台湾籍の川崎市の飲食店経営の男性(51)が、在留資格がないことを理由に国民健康保険への加入が認められず、子供の脳腫瘍(しゅよう)の手術で高額の医療費を負担させられたとして、横浜市と国に約1800万円の損害賠償を求めていた。男性は84年に短期在留資格で入国し、そのまま不法残留。提訴後の98年、在留特別許可を得た。
同小法廷は、男性が在外華僑として出生し、台湾でも国籍が確認されなかった境遇や、日本で長期間、安定した生活を営んでいた事情などから「国保加入を認めなかった処分は違法」とした。
ただ、「条例で在留資格のない外国人を適用除外者とすることは可能」とも指摘。5裁判官のうち、横尾和子、泉徳治の両氏は「不法滞在者は地域保険である国保加入者の被保険者としてなじまず、市の処分は違法ではなかった」との意見を付し、判断が分かれた。
一、二審も、ともに男性の賠償請求は退けたが、被保険者の資格について判断が分かれていた。
「asahi.com」2004年1月15日
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