東電社員殺害:法相「広く言えば冤罪」 政府答弁書とずれ
毎日新聞 2012年11月09日 12時04分(最終更新 11月09日 12時31分)
97年の東京電力女性社員殺害事件でネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)の再審無罪が確定したことに関する浅野貴博衆院議員(新党大地・真民主)の質問主意書に対し、政府は9日、「特定の事件が『えん罪』であるか否かについて特定の見解を有していない」とする答弁書を決定した。一方、滝実法相は同日の閣議後記者会見で「(法務省)刑事局としては、冤罪(えんざい)は厳密な定義がないという伝統的な考え方に従っているが、世間一般的な感覚で広くとって言えば、冤罪と言えなくもないと思う」との見解を示した。
滝法相は「長い拘束期間がたってしまい、私の方からも大変申し訳ないと申し上げたい」とマイナリさんに陳謝。「警察や検察も改めて大きな教訓として戒めとしないといけない」と述べたが、「今回新しい技術でDNA鑑定された被害者の爪については当時も顕微鏡で調べたが、証拠になるものが認められなかった」と、当時の捜査に技術的な限界があったとの見解も示した。【伊藤一郎】