BTOOOM!アニメ制作ブログ
2012年11月 9日 (金)
「爆殺アニメ夜話」【完全版】【第4回・最終回】チャレンジの先に待っているものは?
こんにちは!

いよいよ「爆殺アニメ夜話」【完全版】の最終回です!!

心してお読み下さいませ。

※この対談は、月刊コミック@バンチ本誌 12月号(10/20発売)に掲載されたものの完全版となります。



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ーー過激な表現を多分に含む作品ですが、その辺りの描写についてはいかがですか?

黒田 男だと遠慮しちゃうような部分にまで、渡邉監督が踏み込む踏み込む(笑)。2話の最初のコンテを見た瞬間、思わず「監督やりすぎ!」って駆け寄っちゃいましたから。

渡邉 けっこう抑えたつもりだったんですけど......。

黒田 抑えてないでしょ! 新人監督だけど渡邉さんだから出来る思い切りのよさというか、カミーユ・ビダン(『機動戦士Zガンダム』の主人公)的な若さゆえの過ちにあふれてましたから(笑)。

井上 僕や黒田さんって、どちらかというと左脳で分析して物を作るタイプだと思うんですよ。例えば僕の場合、まずオチを決めたうえで、どうすれば誰にも気づかれないでそこまで誘導できるかを理論立てて考えますから。

黒田 突発的な事態が起こったときのために、ちょっとだけ遊びの部分を作っておくようなこずるいことをやったり(笑)。戦場の鉄砲隊でいうと3列まで作っておいて、1列目が撃ち尽くしてもちゃんと2列目3列目を用意しておくような考え方。

井上 渡邉監督は、そういう理屈を越えたセンスが素晴らしい。

黒田 変な言い方ですけど、監督が一番男っぽかった(笑)。

渡邉 私としては、すごい理詰めで考えているつもりなんですけど(笑)。そうは言いつつも、やりたいことの方が優先しちゃっていたのかもしれないですね。

井上 それが大事なんですよ。理詰めタイプの僕らからすると、すごく頼もしいし期待したくなる部分。

黒田 そういった意味では非常にバランスが取れていましたよね。理詰めタイプが3人も集まったら、船頭が多すぎて物事が進まなくなっていたかもしれない。それに理屈は完璧であっても、映像が面白いかどうかはまた別の問題だったりしますし。ちなみに渡邉監督はキャラクターの中だと誰が一番好きですか?

渡邉 宮本です。

井上・黒田 宮本!

−−その心は?

渡邉 自分なりの哲学をちゃんと持っているところが好きですね。そのルールと相容れないからこいつは殺すとか、行動原理がしっかりしていますし。もしも私があの島に送られたら、たぶん同じことを考えるだろうなと思ったりもして。

黒田 僕は伊達が大好きなんですよ。

渡邉 あら(笑)。

黒田 もう好きで好きでしょうがないんですよ! 彼の行動が書いていて一番楽しい。

井上 それは僕も同意します。

黒田 シナリオの起伏をすごく作ってくれるんですよ。何気ないシーンでもすごくシリアスに持っていけたり、逆に緊張感のあるシーンに笑いを持ってきてくれたり。あと、心の声を書いているのがとにかく楽しい!

井上 状況と真逆のことを言っていたりしますからね。

渡邉 だけどあれって、映像にするときにどこまでやっていいものか困るんですよ(笑)。

井上 原作では基本的に村崎さんの視点で描いていたので、読者の興味を謎の部分で引っ張るのは難しいと思っていたんです。とはいえ裏の本音をここまで出しまくってもいいのだろうか? という気持ちもあって、最初の頃はけっこう不安でした。でも描き進めていくうちに、どんどんいい感じにキャラクターが転がりはじめたんですよね。

黒田 動かしやすいんですよ。伊達だったら何でもしてくれそうな感じ。味方になったらとことん味方になってくれるし、敵になったらとことんイヤな感じ(笑)。

井上 でも女性からはウケが悪いんですよね。

黒田 そうなんですか?

渡邉 何となくわかる気がする......(笑)。

黒田 だけど今にして思えば、女の子を増やさなくてよかったですね。あれをやっていたら作品の方向性がブレていたと思う。おかげでこの作品のヒロインはヒミコだってことを明確に押し通すことができたし、スタッフの意識としても彼女を魅力的に描けなければダメだという強烈な思いも出てきた。リアリティのある作品にすることが大目標ではあるけど、一方でヒロインをかわいく描くことにどこまで力を注げるかも大切ですから。

井上 ちなみに原作では「早くヒロインを出せ!」と方々から言われたのですが、アニメだと少し状況が変わってきたりもするんですか?

黒田 いや、そこはアニメでもちょっと気にはなっていました。ソフトを買ってくださるファンの心理を考えると、やっぱり最初の1巻でヒロインが出てこないと残念に感じるでしょうから。1巻につき2話収録だとしたら、2話までにはしっかりと出しておきたい。アニメのような大きなプロジェクトになると、そういうパッケージのリリース展開を踏まえた戦略を考えることも大切にはなってきますね。

井上 先ほどお互いに理詰めタイプだという話をしましたが、分析する部分の違いが興味深いですね。僕が作品の内容にどっぷり漬かっちゃうタイプだとすると、黒田さんはパッケージといった周辺要素をひっくるめた広い視野を持っているタイプ。

黒田 でも、この『BTOOOM!』はチャレンジする作品であるとも思っていて、それはお話をいただいたときから強く意識しています。実際、キャスティングや表現の限界に対する挑戦など、とにかく攻めの姿勢が徹底されていますからね。原作からも強いチャレンジ精神を感じますし、こっちもそれに乗ってやろうというのがリアルな気分としてあるんじゃないでしょうか。

----最後に読者へのメッセージをお願いします。

黒田 とにかくこの『BTOOOM!』を本気で作っていることだけは間違いありません。作品本位のよりハードルの高い作品づくりにチャレンジしていますし、はっきり言って、海外の人も楽しめるような世界戦略商品を手がけているぐらいの気持ちですから。企画に賛同して集まった人間はみんなすごくやりがいを感じているはずだし、そう思わせる魅力が原作にはあります。僕もこの作品が人生の数ヶ月をかけるに値すると思ったから仕事をお引き受けしたし、原作の精度を再現するために自分だけで全話の脚本を書かせていただきました。

井上 黒田さんにそこまで言っていただけるなんて、もう明日死んでもいいです!

黒田 いやいや、まだ原作は続いていますからそれは困ります(笑)。僕はいい作品の多くには二面性があるような気がします。頭を空っぽにして見ても面白いし、深く噛めばそれだけスルメのような味わいが出てくる。だからこそ、より多くの人に見てもらえるのだと思うんですね。この作品もそうなれるよう、井上さんと協力して一所懸命作っています。ぜひ最後までご覧いただいて、坂本が最終的に到達する気持ちに触れてもらえると嬉しいです。

渡邉 原作で表現されている心情を描くうえで絶対的に必要な描写は、どんなに過激であっても逃げずに描くようにしています。それは闇雲に過激な表現をしたいわけではなく、あくまでキャラクターの心情を伝えるための不可欠な要素だからです。原作ファンの方にもきっと満足してもらえる作品になっていると思いますので、ぜひ期待してください。

井上 僕はもともとアニメ好きだったんですけど、最近は仕事で忙しくてほとんど見なくなっていました。そういう人間があらためてテレビでアニメを見ようと思うには、何か新しいことをやっていると目に見えてわかることが大事だと思うんです。今回のアニメ化ではそれを才能豊かなスタッフが理解してくれて、実践するという勝負に出てくれています。はっきり言って、これまでの僕の人生において最大のギャンブルですよ。そのチャレンジがどこに行き着くのか、関係者じゃなくても興味がありますよね? アニメを毎週視聴していただいて、ぜひ見届けてほしいと思います。

-今日はありがとうございました!

(撮影:佐藤慎吾(新潮社写真部) 撮影協力:海慶園(03-3373-6146))


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